施設などの避難訓練では健常者の訓練の中に「車いすを非常階段で抱えて下ろす」というような項目が追加されていることが増えてきました。
エレベーターなどで上層階に簡単に移動できるようになりましたが、火災や災害でエレベーターが動かなくなってしまうと、車いすの方の避難は階段を使わざるを得なくなりますが、 そういうときにどうやって車いすの方を安全なところへ避難させるのかを確認して訓練しておくことは、実は結構大切なのではないかと思っています。
実際にやってみると、棚などから落下したものが通路をふさいでみたり、非常扉が通り抜けできない構造だったり、非常階段がそのままでは降りられなかったりと、健常者では問題にならないさまざまなことが問題になります。
これに気づいて対応策を考えておくことは非常に重要なことで、一度対策を身につけると、いざというときに車いすの方を安全に避難させることが可能になります。
原則は車いすごと抱えて避難ということになるのですが、このときによく問題になるのは車いすの人を階段で下ろすとき、前向きで下ろすのがいいのか、背中から下ろすのがいいのかについて毎回悩みます。一般的には抱えている車いすからの転落が怖いため、背中側を階段の下に向けて移動させるそうなのですが、移動する方向が見えないと怖いという方もおられます。車いすの人が職場の人間であれば、あらかじめ試してみてどちらがより楽かを決めておけばいいのですが、お客様で来られた場合にはどちらがより安全かについて迷うこともあると思いますが、迷っていても仕方の無いことですし、問題になるのは車いすの方を安全に避難させることなので、その場の状況やいる人数によって運び方を変えるしか手はないです。
あと、施設などに置かれている貸し出し用の車いすは非常に重たいですので、そのことも踏まえて一度訓練しておいた方が安心だと思います。
車いすに限らず、障害を持っている方が安全に避難できる環境というのは健常者にとっても当然安全な環境です。より安全に避難できるように、避難訓練にもいろいろな要素を加えていって欲しいなと思っています。