支援物資で送られてきて困るもの

 ある程度以上の大規模災害になると、全国各地からさまざまなものが支援物資として送られています。お互い様の精神で、それは非常に素敵なことだと思うのですが、送られたものが現地に迷惑をかけているという現状があることをご存じですか。
 一番困るのが「私はもう使わないけど、まだ使える」といった感覚で送られてくる中古の服や靴、使い古した靴下や下着など。衣類の中古はまず引き取り手がありませんので、最終的にごみとして処分することになります。
 支援物資はごみの送り先ではありません。あなたが使わないものは他の人も使いませんので、あなたが使うだろうなというものを送るようにしてください。
 次に多いのがどなたか一人に届くようにとセットされたもの。中にお手紙が入っていたりして非常に素敵なのですが、そういったものが支援物資の集積場にくると、中に何が入っていて誰がつかうことを想定しているかがわからず、場所を取るだけの死蔵品となります。中身を確認して仕分けろといわれるかもしれませんが、毎日大量の物資をたくさんの避難所、避難者に届けなければならないこの仕分け業務は、行政職員や配送を請け負った業者の方が休む暇無く行っているものです。
一つ一つ中をていねいに確認して送り先を決めている余裕は現場にはありません。どうしても個別にセットした支援物資を送りたいのであれば、外箱に中にどんなものが入っているかのリストをつけてください。それもできれば細かく記載して欲しいと思います。そうすれば、場合によってはその中身に適合した方のいる避難所に送られる可能性があります。
 それから、テレビなどで「○○が不足しています」という情報が流れた後に届く大量の「○○」。現地で不足するものは刻一刻と変わっていきます。テレビで不足していることを放映していたからと言ってその物資を大量に送りつけても、寸断された流通網では届いた頃には必要がなくなっていることも多々あります。被災地の流通網は殆ど機能していないと考えていただき、もしも不足している物資を送るのであれば、自身で直接該当する場所へ送り届けるようにしてください。
 また、生鮮食料品は絶対にやめてください。避難所で生鮮食料品が不足しているからといって宅配便で発送しても、被災地には普通にとどくことはありません。1週間から2週間、場合によっては一月以上かかることもあります。生鮮食料品は確実に腐ってしまいますので、送るのは絶対に止めてください。

 ところで、支援物資で助かるのは箱詰めされている同一品目の新品です。輸送も楽ですし、送り先も考えなくていい状態のものなので仕分けが非常に楽です。
 また、Amazonなどで商品を購入し、その商品を被災地へ送るようなシステムが作られていますので、そういったもので送っていただければ非常に助かります。
 繰り返しますが、災害後の支援物資を仕分けする集積所の機能はさほど高くありません。避難所等から送られてくる必要とされる物資を集めて送り出すだけで精一杯なので、なるべく仕分けのしやすい形にして送るようにしましょう。
 あと、寄付金なら無駄になることがありませんので、ものではなくお金を寄付するのもいいと思います。被災地で機能を回復するためにはさまざまなものにお金がかかりますが、そのお金がなかなか手配できずに困っている自治体や団体は非常に多いですから現金による寄付は非常に喜ばれます。
 災害が起きるとさまざまなものが送られてきて物資集積所は大混乱を起こします。流通経路や集積所の仕分けに負担をかけないためにも、支援物資の送り方を考えていただければと思います。