防災教育がそれなりに注目されているようですが、どうも知識に偏っているのではないかなと言う気がすることがあります。
教育現場では知識の説明はできても、実際にそれを体験してみたり、なぜそうなっているのかについて考える時間を取ることが難しいのかなと感じますが、それでもただ知っているだけよりも何か一つでも体験をしておくことで持っている知識がしっかりとした知恵に変わるのでは無いかと思います。
例えば、ブランコに学校の運動会などで使うテントの張りの部分をひっかけると避難用のテントになるという記事があるとします。こうすると便利だよという紹介を発表用の資料で生徒が書いているのですが、実際にやったのかどうかについては触れられていません。
実際にやると、ブランコの角度とテントの張りの縫い目があわなくてうまくテントにならないことが殆どなのですが、教科書や本などの知識で書くとそれで完全にできるような気になってしまいます。
知識でみると、ブランコとテントという組み合わせで無いと避難テントは作れないと考えてしまいますが、なぜこの組み合わせでテントができるのかを考えれば、例えば鉄棒とブルーシートでもテントを作れることがわかるでしょう。
道具の組み合わせでは無く、どういう理由でその組み合わせになっているのかを知ることは、防災教育においては非常に重要なことなのではないかと考えています。
お仕着せの知識は学べばいくらでも得ることができますが、実践という自分の身になる知恵は、実際にやってみようと思わなければ得ることはできません。
せっかく知識を持っているのであれば、できるところはやってみて、自分のものにしていく、つまり知恵にしていくことで、自分の生き残る確率を上げることができるのでは無いかと思います。
ちなみに、よくある避難訓練では避難をすることを知っていて、計画通りに避難訓練を行うことが知識、途中でさまざまなトラブルが起きてもそれを解決して避難訓練を成功させることができるのが知恵ではないかと思います。
いずれにしても、成功だけでは学ぶことはできません。訓練こそ失敗をしっかりと行って、知恵の習得に励んで欲しいなと思います。