災害復旧のボランティアに出向くと、ちょっと考えさせられることがあります。
それは、田畑の復旧は誰がするんだろうということ。
災害ボランティアでボランティアセンターに行くと、泥だし、ゴミ出しといった家やお庭の片付け、側溝の整備、出された泥やゴミを集積地に輸送するなどいろいろな業務があります。
でも、一番人手が欲しいはずの田畑の掃除や泥出し、汚染された農産品の収穫は、一般的には災害ボランティアセンターの業務としては受けないというのが一般的なようです。
受けてはいけないということにはなっていないようですが、農業が営利事業であるということ、保険の適用や後のトラブルを避けるなどの問題からやらせないというところが殆どです。
では誰がそれをするのかというと、地元の有志や農家の人の個人的つながり、またはボランティアセンターを通さない農業ボランティアと言われる人たちによってなされているようです。
災害ボランティアが制度化された元が阪神大震災であり、この災害が都市型だったために必要とされるボランティアの中に農業関係のものが入らなかったと聞きますが、災害が起きるのは都市に限りません。田舎などでは田畑がやられてしまうことが多いですし、被災したのが高齢の農家の方だと復旧にかける費用を考えて廃業する方も多いようです。被災した後に田畑を作れるようにする復旧作業が営利事業ということになると、農家の方は復旧のためのスタートラインにつくことさえできない状態になり、国土は荒廃していくのではないかとも考えます。
ちなみに、ちょっと調べてみると。農林水産省が「農村災害ボランティア」という制度を作っているようなのですが、これはほとんど利用されていないようです。
平成29年7月九州北部豪雨の時には、福岡県朝倉市で地元JAを主体とする農業ボランティアを募集して対応したということがあり、これが一つの参考になるのではないでしょうか。
いずれにしても、現在の災害ボランティアの派遣システムが基本的にボランティアセンターを経由するようになっている以上、田畑の復旧についてもどうやったら可能になるのかという検討をし、対策をしておく必要があるのではないかと思います。