外出自粛と買い占め

 4月16日に政府から全国に対して「緊急事態宣言」を行いました。
 そして、それを受けた都道府県や市町村が新型コロナウイルス対策として人の移動の自粛要請や業務の縮小などの依頼をかけ始めています。
 この事実だけをみると、確かに非常事態のような感じもしますし、その影響を受けてか、今日はスーパーマーケットのレトルトやインスタント食品のコーナーがほとんど欠品状態になっていて、買い物かごにそれらを満載した高齢者の方が群れを成してうろうろ。正直、なんだかなぁと思ってしまいました。
 売れ筋を見ると、袋のインスタント麺、レトルトカレー、それからパスタソースや乾麺、缶詰など。生鮮食料品や保存期間の短いものは通常通りの分量がありました。
 これから考えると、緊急事態宣言で外出自粛要請が出されたために出歩かなくて済むように保存のきく食料品を調達しているということだと思います。
 面白いのは、パックご飯や冷凍食品はいつもどおりの売れ行きだということ。出会う人達の年齢がかなり高い感じがしましたから、高齢の方が自分たちに馴染みのある保存性の高い食料品を買い占めたというところでしょうか。
 ところで、こうなっている原因の緊急事態宣言とはどんなものなのでしょうか。
 調べてみると、その昔新型インフルエンザで大騒ぎになったことがありましたが、その時に整備された新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)の第32条「新型インフルエンザ等緊急事態宣言等」をそのまま当てはめていて、この特別措置法の附則第1条の2で「新型コロナウイルス感染症に関する特例」を加えて今回対応できるようにしているようです。
 この法律でできるのは、さまざまな要請で命令はほとんどできないようになっています。第45条「感染を防止するための協力要請等」でいろいろと書かれてはいますが、あくまでも要請であって、他国のように都市の出入りを止めてしまったり、戒厳令を敷いて人の移動を制限したりすることはできないのがこの法律です。
 現時点で特に災害で物流が混乱したり停止したりしているわけではないので、食料品はきちんと入荷されています。少し前にトイレットペーパーが無くなるという騒動がありましたが、あれは生産が停止したから無くなったのではなく、物流網の供給能力を超えて買い占められてしまったために手に入らなくなったことは、記憶に新しいと思います。

買い占めが進むと、物流が正常でもあらゆるところで物資不足が発生する。
(写真はイメージです)

 不要不急の外出自粛の中では、食料品や生活必需品の買い出しは規制されていないのですが、外出してはいけないと勘違いした人達が一度に買い出しに出て買い占めを行っている状態になっています。
 想定されている不特定多数の人が一カ所に集まってしまっているわけなので、ここからクラスター感染が発生してもおかしくないのではないかと考えてしまいます。
 どうせレトルト食品やインスタント食品を大量に買い占めても、数日もすれば生鮮食料品を買い出しに出かけることになるのですから、無駄な買い占めはしないようにしたいものですね。
 新型コロナウイルスが蔓延し始めたので政府が緊急事態宣言を出したこと、それを受けて地方自治体が外出自粛要請を出したこと。これはどちらも正しいことだと思います。ただ、出された宣言や要請を曲解して新型コロナウイルス蔓延の機会を作り出すことは、今回の宣言や自粛要請の本意では無いと考えます。
 繰り返しますが、物流は正常に稼働しています。食料も正常に供給されています。慌てて買い占めることはせずに、様子を見て必要と考える分量を何の発生もない時期に調達しておきたいなと思います。

 ちなみに、海外製のインスタントラーメン(タイや韓国)、ラビオリなど見慣れないパスタ、大盛りのレトルトカレーなどは残っていましたから、自分たちが理解できる長期保存できる食べ物ということで調達がされているみたいですね。