避難所にテントを持って行く

写真のテントは5人用。寝るスペースと荷物を置くスペースしかないが、避難所での設営には向く。

 コロナ禍での避難所運営では行政や避難所運営委員会の方々が試行錯誤しながら安全に避難所を運営するための手法について検討されています。
 現時点での安全策として、140cm以上の仕切りを建てることや2m以上の間隔を空けるといったことがルール化されつつあるようですが、仕切りが準備してある避難所は現状では皆無なのではないでしょうか。
 ブルーシートや新聞紙などで仕切るという方法も考えられているようですが、自分の安全を確保するという視点から、自立式のテントを準備しておいてはいかがでしょうか。
自立式のテントであれば屋内屋外問わずに使うことが可能ですので、避難所でも屋外でも避難先として使うことが可能です。
 スペースの問題はあるのですが、避難者一人あたり1×2mのスペースがあれば、自立式テントは充分に立てられます。
 以前に乳幼児向けに日よけテントを持参しようということを書きましたが、自立式テントであれば生活を人に見られなくても済み、その分のストレスは軽減できます。
 新型コロナウイルス対策とプライバシー保護をかねて、非常用持ち出し袋と一緒に自立式テントを用意しておくと便利だと思います。

子どもが避難したイメージ。風の通りが悪いので、夏場は風向きや排熱に注意が必要。

 自立式テントはアウトドアメーカーに限らずさまざまな商品が売られていますが、サイズがいろいろとあります。
 快適な生活空間を維持するための大きなテントもありますが、それを避難所に持ち込むとトラブルの元になりますので、適当な大きさのテントをご検討ください。

新型コロナウイルスと避難所運営

 新型コロナウイルスの流行は避難所の設営や運営方針についても多くの影響を与えています。
 それまで割とあいまいだった避難所への避難か自宅待機かについて、基本は自宅待機、その災害で危険な場所になっている場合には避難所へ避難と明確に指示がされるようになりました。
 そして、詰められるだけ詰め込んでいた避難所は、ソーシャルディスタンスを確保するために家族ごとに十分なスペースが与えられることになり、避難所の生活環境も一気に改善されることになりました。ただ、そのぶん避難所の収容人員が減らされてしまいましたので、避難所として使える施設を増やす他にも車中泊やテント泊なども避難所の一つとしてカウントされるようになってきています。
 今まで避難所では避難者を受け入れることが重視されすぎていて、衛生環境の維持についてはおざなりにされていました。
 そのため被災地に設置された避難所ではインフルエンザやノロウイルスといった感染性の病気が一度発生すると蔓延することがよく起きていましたが、新型コロナウイルスの流行のおかげで、避難所に感染症患者の隔離場所が作られることになり、衛生環境が改善されてきています。世界保健機関(WHO)が推奨している難民キャンプの基準であるスフィア基準にようやく追いついてきたといった感じでしょうか。
 トイレの問題についてはまだまだ検討する余地があるとは思いますが、それでも災害が起きるたびに改善や改良がされてきており、悪くなってはいないでしょう。
 ただ、新型コロナウイルスの影響で避難所の設営や運営方法も以前と比べてずいぶんと変更が加えられていますが、それに対応した訓練や資機材の準備が追いついていません。また、新しい避難先の周知についても避難すべき住民がまだまだ理解できていないということもあります。
 新型コロナウイルス騒動がいつごろ収まるのかがわかりませんが、避難所運営に関して言えば、治まったから以前のすし詰めに戻すのでは無く、このまま新型コロナウイルス対策がなされた基準で設置して欲しいなと思っています。

 余談ですが、内閣府防災が新型コロナウイルス対策で避難所運営についてのポイントを整理した動画を作成しています。
 興味のある方はご覧いただき、参考にしていただければと思います。

新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営のポイントについて(内閣府防災情報のページへ移動します)