段ボールベッドと病気の予防

段ボールベッドの構造は簡単で、たくさんの箱の上に座面を載せるとできあがる。
段ボールの強度をどう出すのかが問題。

 避難所で必要な資材の一つに段ボールベッドがあります。
 被害を受けた地域などでは非常に必要とされているのですが、供給体制がさほどしっかりとしていないため、発災後に頼んでも届くのは数ヶ月後といった状態になっています。
 事前にきちんと準備しておけばいいのですが、値段と「たかが段ボール」という感覚があるのでしょうか、なかなか普及が進んでいない現状があります。
 では、発災後にどうして段ボールベッドの需要が出てくるのでしょうか。
 これは衛生管理と連動している話になるのですが、不特定多数の出入りがある場所では細かいほこりやゴミが常に舞っている状態です。避難施設が出入口で土足禁止になっていればそこまでひどくはありませんが、再度の避難を考えて土足のまま避難所で生活する場合もありますから、そうなると砂やゴミで床は常に汚れている状態になります。
そんな状態で床に寝るとどうなるか。
 空気中に舞っているさまざまな細かなゴミは最終的には床に落ちます。そしてそこで寝ている人がそれらのゴミを吸い込むと、ゴミによる肺炎やゴミに付着したウイルスや菌による感染症の原因となってしまいます。
 床面から数cmでも高い位置で寝られるとこういった病気を劇的に防ぐことができることから、高さを稼ぐために段ボールベッドが必要となるのです。
 また、段ボールベッドはその構造上中に避難者の生活物資をいろいろといれることができますから、狭いスペースを効率的に活用する意味でも、ないと不便なアイテムです。
 さらに言えば、寝る場所から立ち上がるのにベッドからの起き上がりだと、身体への負担が少ないので、高齢者の方の寝たきりを防ぐ効果も期待できます。
 段ボールベッドは、同じサイズの箱の数があれば専用キットがなくても作ることができます。段ボールの強度を出すための工夫が必要となりますが、作り方を知っておくことは無意味ではないと思います。
 また、自宅で避難生活をする場合でも、床にそのまま寝ることができない場合もあると思いますから、そういった意味でも準備しておいて損はないと思います。
 もし段ボールベッドが手に入らず、段ボールもないようであれば、床から10cm以上の高さが確保できるような就寝スペースの構造を考えてみてください。
 雑誌を積み重ねたり、机やいすを並べたり、その場にあるもので工夫すれば、数は足りないと思いますがいくつかを作ることは可能だと思います。
 床に直に寝なくても済むように、いざというときにどうしたらいいかを考えてみてくださいね。