個人の防災では非常用持ち出し袋や避難所のことがかなり頻繁に言われますが、非常用持ち出し袋や避難所の準備について都会と田舎では異なっているのはイメージできますか。
以前に聞いた話ですが、大雨でとある田舎の集落が孤立したとき、数日後にその集落に救援部隊がたどり着いたら、住んでいた人達は特に困っていなかったということがあったそうです。
もちろん電気は止まっているのですが、水は井戸から取っていて、熱源はプロパンガス。トイレはくみ取り。そして米は備蓄していて野菜は庭から取ってくるというような生活で、冷蔵庫と照明が使えないくらいでそこまでの不自由はなかったということのようでした。
もしこれが都会地だと、停電は水も熱源も人の生活から奪ってしまいますし、食料の備蓄もそこまでの量はないのではないでしょうか。
ライフラインが集中管理されている状況だと、一つのダメージが致命的な影響を与えることになりますが、普段の生活ではそこまで意識はしていないと思います。
都会地と田舎での防災に対する準備の違いや意識の違いは、こういった普段の生活環境にもあるのではないかと思っています。
実際、防災のご相談をいただくときにはよくライフラインと備蓄の話になって、そこまで非常食の準備をしないといけないのかと言われることがあります。
災害への備えは住んでいる環境によって大きく異なるので、必要なものを選んで準備していただくような話になるのですが、都会基準で作られているマニュアルに完全に従うと、過剰準備になるのかもしれないと思うことがあります。
もちろん、井戸が枯渇したりする可能性もありますから最低限の命を維持するための道具は必要なのですが、お住まいの環境や条件によって、準備するものを切り替え、命を守れるようにしてほしいなと思います。