防災と減災

 当研究所の名前は「石西防災研究所」ですが、実は防災が完璧にできるとは思っていません。
 どういうことかというと、日本は災害列島と呼ばれるくらい災害の多いところであり、どこに住んでいても何かの災害は必ず起きます。
 安全な場所がない以上、災いが起きるのを限りなく0%に近づけることはできても、100%防ぐことはできません。
 例えば何十億円というインフラ投資を行っても、それ以上の自然の力が加わればかならず被害は出るわけで、もし完璧な防災ができるのなら、災害時の「想定外な事態」は発生しないのではないでしょうか。
 では、「災いを減らす」減災はどうか。
 発生した災害から受ける被害をできる範囲でなくしていくこと。
 全てを守るのではなく、できる範囲でできることを行い、結果として被害を小さくすること。
 例えば、事前にどんな災害が起きたらどこへ避難するのかや、逃げ出すタイミング、
それが減災で、これならさほどお金や労力をかけなくてもできるような気はします。

 発災しても一切の生活を変えないように備えるのが「防災」、発災したときに自分の命を守り、自分が生活し続けることができるようにすることが「減災」です。
 100%を目指さないのであれば、別にどちらでも構わないと思いますが、もしあなたが自分の財産を使って行動するとしたら、どちらを目指しますか。