不特定のお客さんが出入りする施設の安全対策

 不特定多数の人が出入りする施設で、災害発生時、特に地震発生時に出入りする人たちの安全を施設側が確保することは、正直なところ非常に難しいのではないかと思っています。
 もちろん安全対策をしなくてはなりませんが、かといって何をすればいいのかというと、防災担当者は途方に暮れてしまうのではないでしょうか。建物の安全対策は当然として、施設内部でもものが倒れたりひっくり返ったりしないように固定しておく必要がありますし、できれば高いところにものを置きたくないでしょう。でも、通常の運営においてできるだけデッドスペースを無くしたいというのもありますので、そのバランスが難しいところです。
 それらの安全確保ができたとして、職員さんやお客さんはどうすればいいのか。
 職員さん用にヘルメットが準備されていることはよくあるのですが、とある金融機関ではお客さんの待つスペースの後方にヘルメットがデンと置いてありました。
 「お客様用危険防止ヘルメット」と書かれた紙もありましたので、必ずしも災害対応用だけのために置いてあるわけでもなさそうですが、目に見える場所に使い方のはっきりしている防具が置かれているのは非常に大事なことなのではないかと思いました。得てしてお客さんが多数出入りする施設は見た目重視でいろいろなものが配置されているのですが、こういった実用重視の考え方は、災害対策としては必要なのではないかなと感じます。

積み重ねられたヘルメット。これが必要なときには、この積み方だと危ないのかなと言う気もするが、あるという安心感は手に入る。

 この置き方でいざというときに使えるのかという問題はありますが、それでもお客さんのことを気にしているよというサインにはなるような気がします。最近耳にする「プラスアルファの付加価値」という視点を考えたとき、こういったやりかたもありなのかもなと感じましたので、ご紹介だけさせていただきました。