被災地に出向くボランティアに必要なこと

 災害が起きると、被災地内だけでは手が足りないので、周辺地域などに災害救援ボランティアを要請することになります。
 コロナ禍でかなり制限されていましたが、被災地にはいろいろなところからボランティアが入って、災害復旧を支援してくれます。
 もしもあなたが被災地へ応援に行くのであれば、単独であれば、まずはボランティアセンターができているかどうかを確認してからにしましょう。
 被災地では、さまざまな輩が復旧支援に見せかけて高額請求や詐欺を働いていることがあり、せっかくボランティアに出かけても、そういった連中と間違われてはいらないトラブルのもととなります。
 ボランティアセンターからの派遣は、センターがあなたの身分を保証していることになりますので、トラブルも起きにくいです。
 災害支援に長けている専門ボランティアでない限りは、勝手に被災地の復旧支援に押しかけることはお勧めしません。
 また、被災地では基本的に自給自足です。
 食事や飲み物だけでなく、場合によってはトイレも自分で用意しておく必要があります。被災地に負担をかけないためにも、全て自給自足で、当然ごみも全部持って帰るということを理解しておいてください。
 他にもいろいろとやっておいたほうがいいことがたくさんありますので、興味のある方は「全社協被災地支援・災害ボランティア情報」をご確認ください。
 余談になりますが、筆者はこれらに加えて破傷風の予防接種は絶対にしておくべきだと考えています。
 被災地での片づけで怪我をしたとき、破傷風菌に感染すると自分の命が危険にさらされます。予防接種で防げる事故ですし、一度注射すれば10年は効果が持ちますから、やっておいて損はないです。
 ともあれ、被災地に災害復旧ボランティアに出かけるときには、身体一つ行けばいいということにはなりませんので、しっかりと準備したうえでお出かけください。

全社協被災地支援・災害ボランティア情報」全社協のウェブサイトへ移動します。

ボランティアセンターでできることできないこと

 災害からの復旧・復興で必要不可欠な存在になっているのが各種ボランティアの存在です。
 災害からの復旧復興を助けたいという思いで多くの人がボランティアセンターに押し寄せ、助けて欲しいという希望を出している被災者のところへ派遣されて依頼された業務を行うわけですが、被災者と支援者を結びつけるマッチングがうまくいっていない、または被災者と支援者の要求がうまく満たされていないと感じることがあります。
 助けて欲しい人の希望というのは多岐にわたりますからその全部を満たすことはかなり難しいと思いますが、助けて欲しい人の希望をうまく取りまとめて支援してくれるボランティアにつなげることがうまくいっていないのではないか。
 ボランティアというと真っ先に出てくるのが社会福祉協議会が開設する災害ボランティアセンターですが、ここで受けることができる業務は仕事や事業などの営利ではない、非営利の家庭への支援に限定されています。
 実際に店舗の片付けや農地で被災した収穫物の撤去などはかなり人手がいるにもかかわらず、営利関係ということで、ボランティアセンターからボランティアが派遣されていません。
 ですが、支援を受けたい人から見ると、家のことは何とか自分でするけれども仕事に関する部分の片付けはとても家族でできるものではないからそこを手伝って欲しいというミスマッチが発生します。
 特に農地ではこの傾向が顕著で、高齢の方がやっている田畑の復旧には人手が必要なのですが、仕事や事業に関することのために支援が受けられないという事態になり、やむを得ず廃業したり放置されたりという事態になっています。
 ボランティアセンターは社会福祉協議会が運営する都合上、営利関係に手が出せないというのはわかるのですが、それではそういった方はどこにたいして支援要請をすればいいのでしょうか。
 地方自治体が窓口となってそういった営利関係の片付けができるようなボランティアの受け入れを行えばいいのか。あるいは商工会議所や農業協同組合などが主体となってそういったボランティアの受付を行えばいいのか。
 いろいろな手はあると思いますが、現状ではどこも積極的に動いている様子はなく、社会福祉協議会に丸投げという状態になっており、社会福祉協議会も判断に苦労しているようなお話も伺うことがあります。
 最近ではさまざまなボランティア団体が専門的な支援に入ることも増えていますが、普通の人でもできる営利をもたらす部分の後片付けについて、社会福祉協議会以外の窓口設置についても、一度整理した方がいいのではないかなと考えています。