今日は9月9日、救急の日です。
災害時、警察、消防、救急には救助の電話が殺到しますが、いずれの機関も人数には限度があるため、緊急性の高い案件から対応していきます。
特に救急は、対応する救急車の台数も限られており、医療機関も重傷者優先対応になりますので、ちょっとしたけがは後回し、もしくは対応してもらえません。
ですが、怪我した本人からしてみたら、痛いですしそのままにしておくと状況が悪化する可能性もありますので、できる範囲は手持ちの道具を使い、自分で救急措置をすると考えた方が間違いないですし、精神衛生上もいいと思います。
とりあえず自分で処置しておいて、状況が落ち着いてから医療機関であらためて手当てしてもらうようにすることで、医療機関は重傷者対応に集中できるので、救える命が増えます。
非常用持ち出し袋や災害用備蓄品のチェックリストには必ず「救急セット」が入っているのは、可能な限り応急処置は自分でする必要があるために組み込まれているのですが、救急セットの中身について考えたことがありますか?
今回は、みんな必要性は認識しているけれどどうやって作ったものか悩んでしまう救急セットの作り方について考えてみたいと思います。
1.救急セットの意味
本文でも触れましたが、軽傷者をなるべく早く的確に措置することで怪我の悪化を防ぐとともに、医療機関への負担をかけないために用意するものです。
災害時には怪我をしないことが大原則ですが、それでも切ったり擦ったり折れたりということは起こりうるものですから、それに備えて準備しておきましょう。
2.救急セットの中身
救急セットに必要なものは、大きく分けると二種類あります。
一つが被災してすぐに使う外傷対応に使うもの。
もう一つは、避難が長期化したときに必要な常備薬やビタミン剤といった内服薬です。
とはいえ、持ち歩くアイテムと分量は考えないとそれだけで非常用持ち出し袋の中が一杯になってしまうので、どうしても必要となるであろうものを準備します。
1)外傷対応
まずは絆創膏です。いろいろな種類がありますので、二種類用意します。
一つは普通にカットバンと呼ばれているもので、指に巻くタイプが数枚あればいいと思います。
もう一つはハイドロコロイド素材のもの。キズパワーパットと書く方が通りがいいかもしれませんが、これのコロイド面が大きいものを数枚準備します。ハイドロコロイド素材だけのシートもありますので、面の大きいシートを一枚用意して、体には包帯やテープで貼り付けるという方法でもいいかもしれません。
用途ですが、カットバンは切り傷用。ハイドロコロイド素材のものは擦り傷や深い傷に使います。
次は滅菌ガーゼと包帯。これは数枚あればいいです。止血に使います。
「目薬」。埃などが入ったときに差して目を守るのに使います。
あとは「三角巾」が一枚。これがあると、包帯、止血帯、ガーゼなどいろいろな働きをしてくれます。
そして、はさみ、毛抜き、ピンセット、使い捨て滅菌手袋といった医療器具も一緒にしておきます。
また、使い道がいろいろとあるのでマスクと消毒用アルコールがあると助かります。
2)内服薬
まず絶対に忘れてはいけないのが持病の薬です。
通常は必要とされる日数分しか処方されませんが、救急セットを作る目的をかかりつけのお医者様に伝えると、数日分多めにもらえることがありますので、差分を救急セットにいれ、新しい薬をもらうたびに入れ替えておけば、いざというときに持病の薬がないという騒ぎを防ぐことができます。
次が「ビタミン剤」。市販されている総合ビタミン剤のようなものがあれば充分です。
それから「整腸剤」くらいがあればいいと思いますが、季節によっては「総合感冒薬」などをセットしておいたほうがいいかもしれません。
あとは「水」ですが、これは救急パックではなく、普通に非常用持ち出し袋に入っていると考えて、ここでは割愛します。
これらをパッキングすると、そんなに大きくない袋に収めることができます。
市販の防災用救急セットにはもっといろいろと入っており、もっとさまざまな怪我や病気に対応できるようにはなっていますが、最低上記のものがあれば大概のことはなんとかなると思います。
どちらかというと、問題になるのは救急セットに何を入れるかよりも、あなたが何を使えるか、ということです。
例えば、海外から輸入される軍用救急セットには、コンパクトでより多くの資機材が詰められており、状況によってはその場で簡単な手術ができるくらいに充実したものもあります。
ですが、それらの優秀なアイテムも使い方を知らなければ単なる重しにしかなりません。
それよりは、自分が使い方をよく知っているもので救急セットを構成し、いざというときに迷わずに中の資機材が使えるように習熟しておいた方がいいと考えます。
毎回触れていますが、ものを揃えればよしではなく、それを何も見なくても使えるくらいに練習しておくことが大切です。特に怪我に使う道具は、暇を見て使い方を確認しておかないと本当に必要なときに大慌てすることになりかねません。
せっかく揃えるのですから、箱から出して使ってみて、使い勝手を確認するようにしてくださいね。