川遊びにライフジャケットを

 連日暑い日が続くようになりました。海や川など、水遊びの季節です。
 今年は新型コロナウイルスの影響で仲間達と海や川へ遊びに出かけて大騒ぎはできませんが、家族でこじんまりと楽しく水遊びというのもいいのではないかと思います。
 ところで、川遊びの時にライフジャケットはつけていますか。
 どういうものか、川遊びをしている人はライフジャケットを着けていない人が多い気がします。
 海に比べれば波も無くて安全と言うことなのかなとも思いますが、浮力に関して言えば、海よりも川の方が浮力は低いですので沈みやすいですし、堰堤や橋脚の周囲では川の流れ方が変わって川底へ沈むような水流が発生していることもあり、流れが速いと吸い込まれてしまうこともあります。
 浅い場所でも油断はできません。足のつく場所でも川の上側と下側で流れが異なり、足を取られておぼれてしまうことがあるからです。
 ライフジャケットは身体に浮力を与えてくれる安全装置です。泳いだり遊んだりするのに邪魔にはなりますし陸にいると非常に暑いですが、浮力の足りない川で安全に遊ぶためには絶対に必要なものだと筆者は考えています。
 ただ、ライフジャケットを着けていても、堰堤や橋脚の周りで水中に空気分が多いと浮力を失うこともありますから、ライフジャケットをつけているから完璧というわけではなく、自分たちで安全に遊べる場所も考えなければいけません。
 そういった知恵を巡らせながらの川遊びは、普段とは違った楽しみ方ができると思います。
 海や川で遊べる期間は短いですが、ライフジャケットを着けて安全を確保し、楽しい水遊びをしてほしいなと思っています。

お鍋でご飯を炊いてみよう

お鍋でご飯を炊くのはそれほど難しくない。慣れてくると直火でも炊けるようになる。
こうなるとおいしいお焦げも楽しめることがある。

 先日、ご家族の災害備蓄品についてどのようなものがいるのかについてご質問をいただきました。
 さまざまな場所で非常用持ち出し袋や備蓄品についてのお話を聞いておられる方は多いと思いますが、具体的な準備と言うことでさまざまなお話をさせていただきました。
 その中でキーポイントとなるのが水とご飯です。副食は缶詰やレトルト、食べられる山野草や野菜があるのでなんとかなるとして、水の備蓄とご飯の備蓄についてどの程度必要なのだろうかということになり、少し考えてみました。
 その方のご家族は3名ですので、飲料水の分量を考えると一日6リットル。3日で18リットル、7日だと42リットルが必要となります。市販品のペットボトルの2リットルの水が一箱6本ですので2日分。4箱あれば間に合うという計算になります。
 次にご飯、つまりお米をどうするかという話になり、アルファ米で計算すると一日3食食べるとして3人で9食。3日では27食、7日で63食が必要となります。
 ただ、アルファ米は日常生活ではあまり登場しないということとお金がかかるということで、備蓄を2日分、残りは普通のご飯を炊くという提案をしてみました。
 電気がないのにご飯が炊けるのかと聞かれましたのでお鍋でご飯を炊けますよと説明したところ、登山用品の鍋や飯ごう、メスティンなどの特殊な道具を用意した方がいいのかを尋ねられました。
 水害や土砂災害に遭う確率が殆ど無く、地震でも地盤改良してある最近建てた平屋建てということなので、建物が倒壊する可能性はないと判断して普通の土鍋や鍋でご飯は炊けますよと言ったらかなり驚かれてしまいました。
 確かにやったことがなければできるかどうかもわかりません。本番で初めてやって失敗したら間違いなく気力が無くなりますので、何も無い平穏なときに自分が普段使うお鍋でご飯を炊いてみることをお勧めしました。
 災害時には電気やガス、水道は止まってしまって復旧に時間がかかることが多いです。でも、とりあえず数日から1週間程度電気やガス、水道がなくても何とかなる状態を作っておけば、気分的には安心できるのではないかと思いましたので、一度カセットガスを使った卓上コンロでご飯を炊いてみることを体験してもらうことにしました。
 普段はなかなか時間がとれなくていろいろな文明の利器に頼ってしまうことも多いのですが、たまには昔に戻って料理をしてみるのも面白いのでは無いかと思います。
 おうちでできる防災訓練の一つとして、ぜひ試してみてください。なお、ご飯の炊き方はさまざまな流派があるのでyoutubeなどを参考に確認してみてくださいね。

1階では寝ないようにする

 日本の一戸建の多くは平屋または二階建てだと思いますが、あなたのうちは何階建てですか。
 アパートやマンションなどのある程度の高層階はともかく、二階建ての一戸建てに住んでいる方は、寝る場所は二階にすることをお勧めします。
 足が悪かったり階段が急で上ることが困難という場合もあると思いますが、できる限り一階では寝ないようにしてください。
 最近続いている水害では、多くの高齢者の方が1階で就寝中に氾濫した川などの水に呑まれて亡くなっていますが、もしも二階で寝ていたとしたら、少なくともいきなり水に呑まれるようなことはなかったでしょう。
 水害だけではありません。地震の時に仮に建物が耐震強化していない状態でも、二階部分は割と形が残っていることが多く、助かる可能性が一階よりも格段に高くなります。
 巨大な地震試験装置であるイーディフェンスを使って耐震補強の有無で家がどうなるのかについて実験をした映像があるのですが、この映像で倒れた建物も二階部分は形が残るような倒れ方をしていました。
 むろん二階にいれば確実に助かるというわけではありませんし、普段の生活で考えると、二階に移動するのはいろいろな意味で大変になると思います。
 ただ、災害という視点で見ると生存確率を上げるためにはなるべく一階で寝ない方がいいことははっきり分かっていますから、普段の生活とのバランスを考えながら寝る場所を決めておいてほしいと思います。
 余談になりますが、災害対策を行うときの基本的な考え方の一つに、「とっさに動けない状況になる場所の補強を優先する」というのがあります。
 寝ているとき、風呂に入っているとき、トイレに入っているとき。
 これらは危険だとわかっていてもすぐに行動に移せない状態になっている場所ですから、ここにいて安全が確保できるような対策をしっかりとしておくといいと思います。
 また、備蓄品や非常用持ち出し袋は玄関や勝手口などに置くことが多いと思いますが、家がつぶれたり水没したりすると使えなくなってしまうので、一部は二階に補完しておくことをお勧めします。
 ちょっとしたコツを積み重ねて、災害なんかで死なないようにしたいですね。

低体温症を救うには

 大雨や台風の中を安全な場所へ避難しようとすると、多くの場合全身がずぶ濡れになってしまいます。
 雨風にさらされたこともありますし、道路や田畑を流れる濁流の中を移動することで、たとえ夏であっても身体は冷え切ってしまっていると思います。
 雨などの水に当たらない場所で身体の水分をしっかりと拭き取り、乾いた服に着替えれば大抵元気になっていくのですが、長時間に渡ってずぶ濡れの状態でいると、身体の熱が服についた水分の蒸発で持っていかれて体温が下がっていきます。
 身体を触ると冷たい状態が続くようであれば、低体温症を疑って対応をするようにしてください。特に高齢者や乳幼児では周囲の注意が必要です。
 がたがたと震えているようであれば、身体を動かすことで熱を作り出そうとしています。温かい飲み物を飲ませ、携帯カイロや湯たんぽを血管の集中している脇の下や鼠径部などに置いて加温してください。
 震えが止まっても意識がはっきりしない状態であれば、毛布などにくるんで周囲を暖めて安静を保ちます。
 また、低体温症が悪化すると心肺停止を招くことがあります。その場合には救急車の手配を行い、心臓マッサージをして命を繋ぐようにしてください。
 いずれにしても、可能な限り暖がとれる状態にしておく必要があります。
 よくすぐエネルギーに変わる非常食としてチョコレートがあげられていますが、低体温症の人にはチョコレートの油を溶かす熱量がないことと、分解に水分が必要とされるため脱水症状を引き起こしやすくなります。
 もし与えるのであればココアなど温かな甘い飲み物を飲ませるようにしてください。
 最後に、たばこは末梢の血管を収縮させる働きで低体温症が悪化します。アルコールも同様で皮膚の血管を広げる働きが熱を奪う効果を起こしてしまいます。
 安心すると嗜好品が欲しくなるものですが、嗜好品はしっかりと元気になってから適量を楽しむようにしてください。
 低体温症は意識していれば悪化を防ぐことのできる病気です。避難をする際にはできるだけ身体は濡らさない。もし濡れたら安全な場所ですぐに拭き取り・着替えを行うよう心がけてくださいね。

水害で被災したら気をつけたいこと

 日本のあちらこちらでびっくりするくらいの量の雨が降っています。河川の氾濫や決壊でいろいろな場所で水害が発生していますが、まずは自分の命を守ることを最優先に安全確保をしていただきたいと思います。
 そして被災した方にはお見舞い申し上げます。まだ状況が治まらないとも聞きますので、どうぞ体調維持にご配慮ください。

 ところで、水害で被災した後にはどんなことに気をつけたらいいのか。
 今日はやっておいたことがいいことや、忘れがちなことについて3点だけ触れておきたいと思います。

1.片付け前に写真をたくさん撮っておこう

 被災して状況が落ち着いたらまずはお片付けになると思いますが、お片付けをする前に被災したものや場所の写真をさまざまな角度から撮影し、記録を残しておいてください。このときに写真をしっかりと撮っておくと、後で役所の発行する罹災証明書や保険会社の保険申請のときにびっくりするくらい役に立ちます。
 罹災証明書の発行や保険会社の保険適用は原則として全て現地調査を行うのですが、大規模災害になると手が回らなくなります。そのため調査が遅くなり、片付け終わった家屋や周囲の状況で罹災状況の判断がされてしまうことになり、いろいろと困ったことが発生します。
 ですが写真をしっかり撮影しておくと、申請書にその写真をつけることで現地調査が省略され、証明書や保険金の支払いが早くなることがあります。
 また、行政機関でさまざまな手続きをする際にも被災状況の写真があれば説明が非常に早くでき、損になることはありません。お手元のスマートフォンや携帯電話のカメラ機能であらゆる角度からしっかりと被災状況の写真を撮影しておいてください。コツは近くと遠くで撮影すること。全景も忘れずに撮っておいてくださいね。

2.いろんな手続きは自分でしよう

 被災地では、各種申請手続きの代行業者が言葉巧みに自分に手続きを代行させるように誘ってくることがありますが、これらの業者にお願いすると多くの場合は異常に馬鹿高い手数料を取られてしまいます。
 また、代行業者に頼んだからと言って各種手続きが早くなることもありません。
 確かに書類を書くのは面倒くさいですし間違えて怒られるのは面白くないですが、役場の人や保険会社の人に教えてもらえば1時間もかからずに申請手続きをすることができますから、面倒くさがらずに自分で手続きは行うようにしてください
 どうしても自分で作るのがいやな人は、代行業者では無く、司法書士や行政書士にお願いしてください。代行業者よりも遙かに安く確実に手続きをしてくれます。

3.家族の記録の処分はちょっとだけ待って

 最後に、家族の記録写真やデジタルデータ、絵などが被災しても、復旧できる方法があるかもしれませんから、処分するのはちょっと待ってください。
 必要なのは、早い段階でしっかりと乾かすこと。劣化が抑えられれば、写真洗浄ボランティアやデータ復旧サービスなどでなんとかなるかもしれません。
 捨てるのはいつでもできますから、お片付けのときに家族の記録については優先して乾かして復旧方法を考えるようにしてください。

 水害で被災すると、後片付けに追われてなかなかじっくりと考える時間がとれません。ですが、

1.片付け前にまず写真を撮っておく

2.各種手続きは自分自身でやるか、

  もしくは司法書士、行政書士に依頼する

3.思い出の品物は早く乾かせば救えるかも

という3つだけは覚えておいてほしいなと思います。
 被災後はあらゆることが一気におそってきます。気力をしっかりと持って、自分のペースで復旧して欲しいと思います。
 どうぞご安全に、そして無理はされませんように。

避難情報の再確認

 避難情報は現在は「レベル」で表示されるようになっています。
 数字が大きくなるほど危険が差し迫っていることがわかるようになっていて、過去の災害で「避難勧告」や「高齢者避難開始」といった言い回しがよくわからないという意見を反映したものですが、結果としてレベルだけでは緊急性が高いのか低いのか一般の方には理解されず、現在はレベルと発表情報の併用で情報が発信されています。
 ただ、この言い回しもちょっと難解な感じがするのでもっと簡単ないい方ができないのかなと考えてみました。
 一番問題になるのは、レベル3の「避難準備・高齢者避難開始」情報で、この情報、発表されて次のレベルに上がるまでには非常に間隔が空いています。
 内容は「このままの状態だと逃げる必要がある場合もありますので逃げる準備してね」という意味なのですが、この次の「レベル4 避難勧告・避難指示(緊急)」になるともう一部地域では災害が起きている状態なので、起きるか起きないかの境界線がレベル3ということになります。
 実際のところ、レベル3が出るとレベル4も出る場合が多いので、レベル3がでたら「逃げる準備して安全な場所へ移動開始」と考えると余裕のある避難ができると思います。
 このあたりはそれぞれの判断になりますのでこうしろとは言えない部分ですが、早めに逃げてしまえば少なくとも自分の命は確実に守れると言うことだけは確かです。
 避難所の開設は各市町村の防災担当課によって判断が異なるために一概に言えませんが、もしあなたが安全だとされている避難所に避難するときには、市町村の防災担当課に連絡しておくと避難所の入り口が開けてもらえることが多いようです。
 できれば緊急連絡先にお住まいの市町村役場の防災担当課の電話番号を書き加えておいてください。
 ちなみに、レベル4になると災害対応でてんてこまいになりますので、電話はまず通じません。同じ現象は消防でも警察でも起きますので、逃げ遅れたら行政機関に連絡して助けてもらうという発想は捨てた方がいいです。
 早めに行動を開始して、空振りでも怒らない。100回逃げて何も無くてもいいんです。逃げるのはあくまでもあなたの命を守るため。面倒くさいとか、今まで起きなかったからといった感覚的な逃げない理由を探さないでください。
 そういえば避難する場所についてですが、現在は新型コロナウイルスのことがあって大規模な避難所でも収容人員を押さえる方針が採られています。
 避難所はあくまでも行き場のない人に利用してもらい、つてや経済力のある人は知り合いのいる高台のおうちやホテルなどの宿泊施設を使うようにして3密を避けるようにしてください。
 また、自然災害は一度に一つしか起きないという保証はありません。
 一度に複数の災害が起きるかもしれないと考えて、それでも安全な場所を確認し、早めに避難行動を開始するようにしてください。

水平避難と垂直避難

 九州の方では大雨に見舞われて大きな災害が起きました。被災された方にはこころからお見舞い申し上げます。ただ、現在梅雨前線がまだまだ暴れそうな予報も出ているので引き続き注意が必要です。被災地を含めて、どうぞ警戒を続けていただきたいと思います。
 そこで今回は改めて水平避難と垂直避難について確認をしておきたいと思っています。本来は、水に浸からないような場所に住まいを求めるのが一番なのですが、普段の生活を考えるとそうも言っていられません。
 そのため、気象情報には敏感になっておくことが必要です。

1.水平避難

被害が起きる前にあらかじめ高台など安全が確保できる場所へ避難しておく。

 水平避難は屋外避難を行う場合の基本的な避難です。
 できうる限り安全な場所へ移動が安全にできる間に避難して、災害が起きている間はそこで身を守ること。
 例えば大雨とそれによる水害であれば、大雨警報が出た段階で水害が起きても水に浸からない、そして山が崩れたりしない安全な場所に避難してしまえば、仮に家が水没してもあなたの命を守ることができます。
 極端な話、被害が起きない地域、例えば海外などに移動して災害をやり過ごすという方法もあるのです。
 一番安全な方法ですが、移動中に被災してしまう場合もあるので、確実に安全が確保されている状態、最悪でも災害発生前には移動を完了しておく必要があります。

2.垂直避難

垂直避難は事前準備はあまりいらないが、逃げられるのは自宅の屋根の上までと言う高さ制限がある。
それを超えると流されていくことになるのであくまでも緊急避難として考える。

 垂直避難は屋内避難の場合が殆どになると思います。
 何らかの事情で水平避難ができない状態の人や、タイミングを逃して逃げ遅れた人などが、迫り来る水から逃げるため、水に襲われないであろう上層階に避難することを言います。
 この場合、避難できるのは自宅の屋根の上までになるので、それ以上水に浸かると流されてしまいます。そのため、垂直避難をすることがあらかじめわかっているのであれば、より高い位置に避難できるような準備を整えておいた方がよさそうです。

 少し前までの水害では、せいぜい数メートル浸かるといった感じでしたが、ここ最近は地球温暖化の影響があるのか、短い時間で極端な雨が降る場合が非常に増えています。
 地元のお年寄り達がよく言う「過去にはここは浸からなかった」は通用しない状況になっているのです。
 幸い、最近は気象情報がかなり充実してきています。気象庁発表を待たなくても、雨雲レーダーやアメダス、河川水位情報など、自分で判断できる情報がいろいろと公開されています。
 それらの情報を使って、ことが起きる前に安全な場所へ避難を完了しておくようにしてください。
 また、もし行政の指定する避難所や避難場所に移動するのであれば、その避難所が安全であるかどうか、そして避難所と避難場所の違いについても理解しておいてください。
 最後に、あなたの命を守るのはあなたしかいないことを忘れないでくださいね。

「災害時に便利なアプリとWEBサイト」を紹介するリーフレットのご紹介

リーフレットで紹介されているアプリの一つ「Safety tips」の日本語版の画面。
天気や避難所案内だけで無く、災害とは何かを学べる「事前学習」や
簡単なコミュニケーションができるコミュニケーションボードもついていて便利。


 他の国から来て地域に住んでいる人が、地域活動に参加されることも増えてきました。日本に住む以上さまざまな災害と無縁ではいられないのですが、顔見知りになったとはいっても、お互いの意思疎通というのは、以前ご紹介した「voicetTra」などの翻訳ソフトを使っても、なかなか難しいところもあります
 とはいえ、災害時などの緊急事態には、どのような情報をどこで見たらいいのかくらいはきちんと伝えておきたいですよね。
 このたび内閣府防災が災害時に情報を集めることのできるスマートフォンアプリとWEBサイトを紹介するリーフレットを作成しました。
 内容は、本当にアプリとWEBサイトの紹介なのですが、その国の方が使っている言語があれば、このリーフレットを渡して説明していくと理解がしやすくなるのではないかと思います。
 また、災害に対する備えが勉強できたり、コミュニケーションボードが搭載されているアプリもあって、いざというときに途方に暮れなくてもすむかなと思えるくらいのないようにはなっています。
 どこの人であれ、災害なんかで死んでいい人はいません。情報がうまく伝わらなくて逃げ遅れてしまったと言うことが起きないように、地元の集まりのときなどに、こういったリーフレットを配って、地域の安全につなげていただければと考えます。

災害時に便利なアプリとWEBサイト(多言語)」(内閣府防災情報のページに移動します)

災害ストレスと向き合うには

 災害ストレスという言葉があります。被災した人達がさまざまな理由から受ける通常とは異なるストレスで、不安やイライラ、不眠、感情のコントロールができなくなる、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、さまざまな形で発露します。
 でも、これらの災害ストレスはそれを受けるとわかっていると、ある程度の予防ができますし、何らかの事情で症状が出てきても適切な治療を受ければ症状を抑えることができます。
 例えば不安やパニックを感じたときには大きな深呼吸をゆっくりと繰り返すことで落ち着きを取り戻すことができます。
 また、誰かと話をすることで心に抱えたさまざまなストレスは軽くなることが多いです。家族、友人・知人、地域の人などと会話することで気持ちが楽になることもよくあります。知り合いに話すのがちょっと憚られる気がするなら、巡回相談の保健婦や傾聴ボランティアの方に話を聞いてもらうこともできます。
 災害ストレスで一番よくないのは一人で頑張ろうとすること。そして頑張らないといけないと思い込んでしまうことです。
 被災後、気持ちを切り替えて復旧・復興にあたることになりますが、周囲の様子は気にしないことです。あくまでも自分のペースで復旧・復興を進めること。まわりと差がついても気にしない。「まぁ、いっか」が合い言葉です。
 そして頑張りすぎず、疲労を感じる前にしっかりと休憩したり、リラックスタイムを設けて気持ちを休ませてください。被災したことによるストレスを抱えているのですから、休み休みの復旧でちょうどいいのです。
 どうしてもなんとかしたかったら、ボランティアなど他人の手を借りてください。一人での復旧はまず無理ですから、助けてもらうことは決して恥ずかしいことでも情けないことでもないのです。
 そうやって意識していても、災害ストレスは多くの人に襲いかかります。もしもあなたがいつもと違うなと思ったら、そのときに「ああ、今災害ストレスなのか」と思ってください。そんな風に自分の状態が分かるとなんとなく落ち着くことが多いですが、おかしい状態が続きそうな気がしたら、お医者様に相談してください。
 ストレスは早めに治療すれば症状を抑えることができる病気です。
 そして、災害復旧は長期戦ですから、体調管理をしっかりと行いながら復旧をしていくくらいでちょうど良いのです。
 災害ストレスは感じ方が一人一人みんな違います。自分の違和感、周囲の違和感、そういったものを意識して上手にいなしていきたいものですね。

災害時の危険ってどんなこと?

 防災関係でよく言われる言葉に「災害が発生しそうなときに危険だと思ったらすぐに避難してください」というのがあります。
 命を失いかねない状況になることだと考えると、「避難=命を守る」ということになりますので、命の守り方をしっかりと理解していないといけません。
 では、災害で起きる命を失いかねない状況を考えてみましょう。
 まずは大雨。大雨になると水路や地面が水を裁ききれなくなって越水や水没、土石流、地すべり、土砂崩れなどの土砂災害が発生し、それに巻き込まれることによって命の危険が生じます。
 対策はというと、海抜高度の低いところや川の周囲、又は川の跡、土砂災害の起きそうな場所には住まないことが一番です。とはいえ、実際のところはそこまで考えて住んでないと思いますから、危険なときにだけそれらの危険のない、海抜高度が高くて土砂災害の起きない場所に逃げておけば危険を避けて命を守ることができます。
 台風も同様で、これに風対策が追加になります。家の周りのものが飛ばないように、他からものが飛んできても被害が出ないように、例えば植木鉢やバケツなどは屋内にしまっておく、屋根の修理は早めにしておく、窓には飛散防止フィルムを貼っておくなどの準備をした上で、水の被害が起きそうなら、やはり水に対して安全な場所に逃げておくことで命を守ることができます。
 風が強いと停電になることが多いので、ランタンや懐中電灯といった照明具やカセットガスといった調理器具の準備も必要になるかもしれません。
 最後は地震。いきなり来るとは言え、大きな揺れだけでは心臓の悪い方以外で危険を感じる方はいないと思います。
 問題になるのは揺れによって発生するさまざまな被害です。例えば、家屋の倒壊、土砂災害、高いビルだと長周期振動も問題になりそうです。
 対策としたら、家屋の耐震調査をし、必要があれば耐震補強すること。家具が人のいる場所に倒れないようにしておくこと、なによりも危険な場所には住まないことです。

 「三十六計逃げるに如かず」という言葉もありますが、危なければ危なくないところへ逃げれば良いだけで、その情報の一つとして自治体のハザードマップが存在します。
 ハザードマップを過信してはいけませんが、一つの目安になるものであることは間違いありません。
 自治体が配っているハザードマップにしっかりと目を通して、避難所以外でも危険がなさそうな場所も探しておいてください。

 また、ものの特性を理解しておくこと。例えば、水は高いところから低いところへ必ず流れていきますので、水の通り道を避けて高いところへ移動すれば安全は確保できます。粘土質な土地なら、土石流や地すべりが起きやすいかもしれませんので、早めに逃げておく方がいいかなという予測ができます。

 災害なんかで死なないために、自分の身を守るための行動基準を作ることはとても大切なことです。いろいろなことを検討しながら安全に逃げられるやり方を見つけてくださいね。