災害に備えてさまざまな訓練をするわけですが、その訓練の目的は2つあると思っています。
一つは資機材に習熟すること。訓練でしっかりと取り扱いができるようになっているからこそ、いざ災害のときでも問題なく資機材を使うことができるので、災害対策で備えている資機材は必ず使って慣れておく必要があります。
そしてもう一つは、いざというときに発生するであろう問題点をあらかじめ洗い出しておくことです。
実戦を想定した訓練では、どんなに完璧に行動しようとしても必ず問題が出るものです。その問題への対策を考えて又訓練し、という繰り返しによって、いざというときに機敏で確実に助かるための行動をとることができるようになります。
ただ、なぜか訓練ではシナリオに従って完璧にこなさなければいけない風潮があり、訓練のための訓練になっているような気がしてなりません。
訓練だからこそ、さまざまな意地悪な想定をしてさまざまな失敗をし、それを踏まえてより安全に助かる方法を考えることができるのですが、「うまくいかなかった=失敗」となると、心情的に失敗は嫌なので失敗させるような訓練は阻止しようという意識が働くものです。
訓練のための訓練だとやる側は考えなくて済むので楽ですし、運営側も理不尽に怒られなくて済むので、本当に災害が起きるかもという考えがない限りは自然にそちらへ流れていくのは仕方のないことだと思います。
それはともかく、訓練をしたときにどのような問題が発生したのかをチェックすることは非常に重要なことです。
本当は参加者全部から訓練に対する意見を出してもらって訓練結果に反映できるようにすることが理想ですが、もしも意見を集める場がないとしても、あなたが災害対策の訓練に参加するときには、ぜひ問題点を考えながら参加して欲しいと思います。そして、できればその問題点の解決方法も併せて考えてください。
訓練のための訓練であっても、問題点を探す目と解決策を考える頭が動いていれば、その訓練はあなたにとって必ず役に立つものになります。
せっかく訓練に参加するのですから、あなたが生き残る確率を上げるために、少しだけ目線を変えてみて下さい。