一口に「災害ボランティア」といっても、その内容は多岐にわたります。
でも、多くの人がイメージする災害ボランティアというのは、恐らくはゴミ出しや泥出しといった被災者のお片付けのお手伝いではないでしょうか。地震であれ水害であれ、多くの災害ではさまざまなゴミや泥が発生します。そして生活空間を取り戻すためには、まずそれらを片付けるという作業が必要です。これは短期間でやる必要があることが多いので、人海戦術となります。ただ、殆ど手作業ですから特殊な技能や知識も必要ありませんし、老若男女問わずに誰でもできる作業です。結果、多くの災害ボランティアがこの作業に従事することになりますが、作業でよく起きるのが切り傷や擦り傷と言った怪我です。
被災現場はさまざまな理由で雑菌などが大量発生していることが多く、感染すれば命に関わるような細菌に感染する確率が高くなっていたりします。特に破傷風菌はちょっとした擦り傷や切り傷の傷口から感染しますから、ボランティアに参加する人はきちんとした対応策をとっておく必要があります。
一つには、肌を露出させないこと。長袖長ズボン、マスク、手袋、長靴、帽子を着用し、なるべく肌をさらさないようにすることで、怪我を防ぎます。
次に破傷風ワクチンを接種しておくこと。破傷風ワクチンは現在でこそ接種項目に加えられていますが、昭和44年以前は接種するワクチンではありませんでした。そのため、ある年齢以上の方は破傷風に対する免疫が無い状態になっています。破傷風ワクチン自体は、初めて接種する場合には最初に3回ほど続けて射つ必要がありますが、あとは10年に1回程度接種すればしっかりとした効果が維持できるもので、接種をきちんと行えば、ほぼ破傷風にかかる可能性はなくなるという便利なワクチンです。破傷風はかかったからといって抗体を得ることができるわけではないようで、唯一抗体を得ることができるのがこのワクチン接種なのだそうです。 破傷風は発症がわかりにくいこともあり、気づいたときには重症化していることも多い病気ですので、予防するに超したことはありません。
詳しくはかかりつけのお医者様に確認していただければと思いますが、万が一に備えて、ボランティアをされる方は接種しておいた方がいいと思います。
特に災害ボランティアを趣味にしておられる熟年層は、抗体を持っていないことも考えられますので、楽しくボランティア活動を続けるためにも、ワクチンの接種を検討してください。
なお、破傷風菌自体は口から感染することはありませんので、念のため追記しておきます。