災害における避難所は、それなりの人を収容できるそれなりの大きさの施設と言うことになります。例えば小学校などの学校、ショッピングセンター、工場、体育館などで、そこには普段から管理している人がいて、災害とは何の関係もない業務をしている場合が殆どだと思います。
で、いざ災害が起きる、または起きそうになると避難所が開設されるわけですが、その避難所の責任者は誰になるのか、考えたことがありますか。
民間施設、公的施設とも、実は案外とはっきり決められていないのです。
小さな地区公民館の場合、開設・運営ともに地元自治会で問題ないと思いますが、複数の地区をまとめるような大きな公民館の場合には誰が責任者なのでしょうか? 体育館や文化ホールなど、施設管理を外注しているような公的施設は誰が開設・運営の責任者なのでしょう???
ほぼ必ず避難所に指定されている小学校や中学校、高校と言った学校施設では、そこの先生方はまず最初に自分たちの教え子を守る義務があり、避難所の開設や運営をする義務はありません。
防災計画上は自治体職員が派遣されるようになっているはずですが、送り込まれてくる職員は避難所運営はおろか防災について知識のないことがほとんどで、へたすると足を引っ張るレベルの人が多いです。
避難所が運営されていくうちにはだんだんと秩序ができてそれなりの形ができていきますが、開設当初、誰にするのか決まっていないことがほとんどなので、施設管理者が権限を持たないままに開設や運営をする羽目になり、抜けられなくなってかなりもめることになります。
避難訓練や避難所運営訓練ではちゃんと責任者を設定して粛々と訓練を進めていくのですが、本番に備えて、施設管理者と避難所運営者がうまく噛み合って施設を回せるようになっているでしょうか。
東日本大震災で多くの児童や教員が亡くなった大川小学校では、大川小学校が地域の避難所に指定されていたそうで、避難所の設置と開設を巡って教員と自治会役員との間で揉めていたという証言がある(書籍「釜石の奇跡」による)そうですが、避難所が小学校だから「小学校が避難所を開設しろ、逃げるな」というようなことで無駄な時間を過ごしたのではないでしょうか。
避難所に指定された学校の管理者が避難所開設をすることはやむを得ないのかもしれませんが、学校においてもっとも優先すべきは子どもたちの命であり、避難所の運営ではないはずです。ひどい言い方になりますが避難すべき場所を貸してるだけなのですから、最悪立ち入って欲しくない場所だけ鍵をかけてこどもをつれて別な場所に避難してもよいわけです。その後に避難所が津波で洗われようと水の中に水没しようと、それは避難所に指定したり避難所を開設したりした者に責任がある話であって、施設の管理者が責任を負う話ではありません。
あなたのいる地域の避難所では、避難所開設と運営の責任者ははっきりしていますか。他に守るべき命をあずかる仕事をしている人に押しつけようとしていませんか。あちこちの防災計画を読んでみても、この部分が明確化されているものはまだお目にかかったことがありません。避難所としてさまざまな施設を指定するのであれば、避難所開設と運営のルールについてもきちんと取り決めておく必要があると思います。
あなたがもしこういったことを考えたり決めたり助言したり実行する立場にあるのなら、平時にここだけはきちんと決めておいてください。そうすることによって避難所の開設や運営が明確になり、誰もが仕事のしやすい状況を作り出すことができると思います。