防災計画と書くと、行政の防災計画や自治会、自主防災組織の防災計画が浮かぶのではないでしょうか?
実際、今までの地域防災の考え方は行政が手が回らない部分を自治会や自主防災組織がカバーし、それで足りない分を個人が備えるというものでした。
ただ、行政の予算や職員の縮減・素人化、そして高齢化や少子化といったさまざまな要素が絡み合い、最近の災害ではこれがうまく回らなくなっています。
そこで熊本地震から後は、まず自分が備え、そこで足りないものを自治会や自主防災組織がカバーし、それでもできない部分を行政が担うという形に国の方針ががらりと転換されました。
元々行政は災害対策を「○○地区」という「面」で考えます。そこには数字は合っても「××さんの家」という特定の人が想定されることはありません。ただ、被災するのは○○地区の××さんなわけで、被災した人と行政との間にギャップが生まれてくるのは考え方の前提が違っている点で仕方が無いことだと言えます。
もう少し細かく書くと、「○○地区」に「××さんの家」以外は全て高齢者だとしたら、「○○地区」の支援は高齢者向けのものが優先されることになり、例えば大人用の紙おむつは大量に来ても、赤ちゃんのいる「××さんの家」に必要な乳児用のおむつやミルクはなかなか配布されない状態になります。
これは最大公約数の人の救援が前提になっているためで、救援物資は多くの人が求めるものが優先して送られてくることが理解できていれば、××さんは行政に頼らず、自分の子どものためにあらかじめ備えておかないといけないと言うことがわかると思います。
アレルギー体質の方や体や心に障害のある方も、同じ理由で救援が遅れますから、災害時には自分や家族がどのように行動するのかを、平時にしっかりと考えておく必要があります。
各個人や各家庭で作られた防災計画を集めることで地域の防災計画が出来、それをあつめると行政の防災計画ができる。現在行政が考えている自主防災組織は、その作業を行うために設置が推進されていると考えてください。
言い換えれば、今まではトップダウンだった防災計画が、個人の備えがボトムアップされてできる防災計画に変わってきているということです。
各個人や各家庭でそれぞれ個別の防災計画を作ることは正直なところ大変だと思いますが、そもそも災害に対する問題は各個人、各家庭で全部違いますから、それを洗い出してどのように備えるのかを考え、共有化していけば、それぞれが最適化された防災計画ができることになります。
まずは自分や家庭の防災計画作り。これからの防災計画は、そこが出発点になると考えています。