支援と受援

 災害が起きると被災地域の道路や鉄道といったインフラが損壊し、さまざまな物資が不足することになります。
 行政機関がさまざまな手当はするのですが、必要な人が少人数だったり、優先度の低い物資は後回しにされることが多々あります。
 そんなとき、SNSを使って不足している物資の提供を呼びかけ、それに応じてその物資を必要だと言っている場所に直接届けるという動きを作ることで、きめ細かな被災者支援を行っているというのが現在です。
 ただ、支援をお願いする側も、支援を行う側も、お互いにちょっとだけ気をつけておくことがあります。
 それは支援依頼者は発信日時と必要数量を明示し、支援する人はいつ時点の情報かということを必ず確認することです。
SNSを使った物資支援が本格化した東日本大震災以来、さまざまな災害が起きるたびにこのやりとりが行われて物資が届けられているわけですが、その場所で必要とされる支援物資は時間の経過とともに変わっていきます。
でも、発信された情報がいつまでも拡散していくと、発信時点で不足していた物資がいつまでも届き続けるという困ったことになってしまいます。
東日本大震災では乳児用の缶入りミルクがそんな状態でしたし、熊本地震では水が大量に余り、期限切れで倉庫を占拠している状態になっているという話もありました。
拡散した情報のコントロールを上手にしないと、善意で送られてくるものが迷惑なものになってしまうことが起こりえるということです。
ところで、先日の佐賀を中心とした大雨による災害で、佐賀県武雄市が「水不足です。水を送って」というメッセージを発信しましたが、今後のSNSでの物資支援の一つのスタイルになるのかなと思う配信をされていました。
 何がいるのかということが画像として書かれており、発信日時が発信される全ての画像の同じ場所に記載されています。
 本文上ではそれを何のために使うのかということと、どこへ送ってほしいのかが書かれています。

佐賀県武雄市のフェイスブックから抜粋。発信時は物資支援要請だったが、受け入れ中止に記事が変更されている。
支援要請の発信日時は8月31日14:03、記事修正として【9/1 16:00】と変更日時が表示されて迷わないようになっている。

 そして、必要がなくなったときには「水を送って」につけられていた画像が「受け入れ中止」の画像に、元の文章も「ありがとうございました」に変更されていて、古い支援要請がこれ以上拡散しないようにされていました。
 一目見て現在の状況がわかるようになっており、非常に上手に支援要請をされていたのですが、調べてみると2019年の2月に受援マニュアルを作られていたとのことで、それが早速活用されたのかなと感じています。
 さて、一度支援要請を行うと、さまざまな人が支援をしてくれますが、一人一人は小さくても件数が多くなると大変な量になってしまいます。
 そのため、避難所など割と小さい単位での物資支援をお願いするときには、支援要請日時にくわえて必要数量も明示しておくと、わかりやすくていいと思います

 そして、物資が必要量届いたら、かならず受け入れ中止と感謝のメッセージを流すようにしましょう。それによって支援者は他の支援に意識を向けることができます。