あちこちで山開きがされ、キャンプ場なども本営業に入る季節となりました。
よくキャンプ慣れしている人は災害時の避難生活にも強いと言われますが、実際のところはどうなのでしょうか?
今回は、災害による避難生活とキャンプ生活との違いについて考えてみたいと思います。
1.キャンプ生活と避難生活の違い
まずはなんと言っても自分が求めて出かけた環境か、それとも無理矢理放り込まれた環境なのかという違いがあります。
キャンプであれば、事前に場所や道具、食事や生活全般に至るまで、全ての主導権はそれをする人にあります。
でも、避難生活は場所や道具、食事や生活全般に至るまで、そのままだと主導権は自分以外のどこかにあり、これが一番の大きな違いなのでは無いかと思います。
次に、キャンプはその気になればいつでもすぐ日常生活に戻れるので不便を楽しめますが、避難生活ではいつ日常生活に戻れるかわからないため、不安で消耗し、不便や不自由を楽しむという感情がなかなか出てこないと思います。
そして、キャンプであれば周囲との関係は自分の思うままに調整することがある程度可能ですが、避難生活では否応なしに周囲の避難者との関係が出てきます。嫌だからと言って周りを拒絶すると、下手すると一切の救援を受けられなくなることもありますから、ある程度友好的な関係を維持し続ける必要もあると思います。
2.キャンプする人は本当に避難生活に強いのか?
キャンプを楽しむ人にもいろいろなスタイルがあります。
完璧に準備をし、事前に決めた計画に沿ってするようなキャンプをしている人だと、準備も無く条件も整っていない避難生活は苦手かもしれません。
また、道具にこだわり頼りすぎるようなキャンプばかりしている人だと、あるものでなんとかしないといけない避難生活はキャンプをしない人以上にストレスが貯まってしまうかもしれません。
ただ、キャンプに計画変更や忘れ物はつきものです。
その変わってしまった状況や変化、忘れ物を楽しめるような人であれば、間違いなく避難生活には強いと言えるでしょう。
場数を踏んでいれば、いやでもそういった経験をし、それでもキャンプを続けられているわけですから、必然的に避難生活には強い人たちが残っていることにはなりそうです。
また、日常生活と避難生活があまり変わらなければ、やはり避難生活には耐えられると思います。
3.キーワードは「日常性と非日常性」
災害による避難生活は、事前準備をすることによって実は限りなく日常生活に近づけることが可能です。
例えば耐震補強を行って家をしっかりさせることや、水に浸からないまたは浸かっても大丈夫な構造にしておけば、わざわざ避難所に避難しなくても家で避難生活を送ることができます。
それだけでも普段の生活の延長線上になるので、心身にかかるストレスはずいぶんと軽くなるはずです。
食事でも、普段から家に備蓄品があってそれを使うようにしていれば、しばらくは食事もそれまでと変化無く食べられそうです。
いつでも日常に戻れる準備さえしてあれば、災害という非日常を楽しめる精神的な余裕さえできるかもしれません。
普段キャンプをしている人たちは日常と非日常を両方楽しめる性質を持っているような気がします。
キャンプと同じような生活で自分自身がなんとかなるのであれば、あなたは人を助ける側に回ることができます。
周りを助けられると言うことは、自分自身のことを決めるのに自分に主導権がある状態です。
自分に自分の主導権がある限りそんなに凹まなくても日常を取り替えることは容易になる。そのためのさまざまな準備の一つとして、キャンプを試してみるのもいいかもしれませんね。