災害が発生するときには、避難は基本的に徒歩となります。
たとえば地震であれば、路面の地割れや火災、落下物や倒壊した家屋などが道路上に散乱して車両が通れなくなることが過去の災害ではたくさん発生しています。
水害であれば、道路に水があふれ出すと車が浮いて流されたり、貯まった水に突っ込んで動けなくなったりします。また、逃げようとしても扉や窓が開かないという事態も発生します。
歩きであれば、少なくとも動けなくなるということだけは防ぐことができるため、歩いての避難が原則とされているのです。
ただ、実際のところは車を使ってしまうのが現実で、あの東日本大震災を受けた東北三県でその後に起きた大きな余震と津波警報発令時(2012年12月7日)には「歩いて避難」とわかっていながら避難する車の大渋滞があちこちで発生しました。
そのため、自分が「歩いてどこへ避難できるのか」ということを確認しておく必要があります。
一度やってみると、案外と自分が歩けないなと言うことに気づくと思います。
できれば移動開始から到着までの時間も計っておくと、自分が避難するのにどれくらいかかるのかが数値によって理解できます。
歩くことは災害時の基本です。さまざまな場面で自分がどれくらい歩くことができるのかを把握しておくことはとても大切だと思います。
津波や水害で自分が避難しようとする先にたどり着けるかどうかも、実際に歩いてみればわかります。
そうすると「どの段階までに避難を開始しなければいけないか」や「どの災害の場合にはどこへ避難するのか」がはっきりと見えてくるわけです。
「避難」は「避難場所に逃げる」でなく、「自分の命を守ることのできる場所に逃げ込むこと」です。
水害や津波の場合、走っても逃げ切れないなと思ったら、近くにあるなるべく高い建物の高い場所に逃げ込むのも「垂直避難」と呼ばれる立派な避難です。
自分がどこまで歩けるのかを知ることで、自分の命を守るために打つべき手が見えてきます。
まずは歩いてみることです。