「医療トリアージ」は大規模災害で対応すべきけが人の優先度を決めるために導入されたシステムです。
「トリアージ」とはフランス語で「選別する」という意味で、 元々はナポレオンの時代に戦場で負傷した兵士の処置優先順位をつけ、有限な治療スタッフを必要なけが人に重症度・緊急度に応じて対応するために考えられたものです。
日本でも東日本大震災ではこのトリアージが行われました。
大規模災害が発生して多数のけが人が発生すると、医療機関の処置能力を超えてしまいます。
通常時のように先着順や文句の多い順に処置をしていては、処置しないと死んでしまう人を助けることができません。
そのため、処置を開始するまでに二回のトリアージを行って重症で緊急性の高い人から対応するようになっています。
けが人は、まず救護所などで重症度及び緊急度の判定を受け、その判定に応じて対応する場所に送られることになります。
判定区分は4つで、間違いが起こらないように色で分けられています。
「緑」はかすり傷など治療不要または簡単な処置で入院や通院が不要な人につけられます。
「黄」はすぐに命に関わる状態ではないが後できちんと処置を行わないといけない人です。
「赤」は今すぐに治療を開始しないと命を落としてしまうことがはっきりしている人です。
「黒」は既に亡くなっているか、医療措置をしても助かりそうにない人、つまり手の施しようのない人につけられます。
最初に運ばれた救護所では、トリアージ以外は気道確保や止血措置など簡単にできるものに限定した処置を行い、トリアージ後に送られた場所で本格的な処置を受けることになります。
つまり、早く行っても軽傷の人は後回しにされますし、いくら大声で凄んでも手当の順番に変更はないことになります。
また、最初のトリアージで「赤」となっても、搬送先でのトリアージでより緊急性の高い人がいれば待たされることになります。
大規模災害時には、まずは自分で手当を行うこと。そして手に負えないときに医療機関へ搬送をするという風に考えてください。
手に負えない場合とは、骨が折れている場合や長時間何かの下敷きになっていたような場合、意識が混濁しているような状態です。
そういう点では、普段から持病を持っている人は災害時にどのような段取りをすればよいのかについてかかりつけの医師や薬剤師などと相談し、自分の身を守るための準備もしておかないといけません。
トリアージの細かな内容については、機会があればまた触れることにします。