天井が落ちてくる?!

建物の中の落下物と聞くと、どんなイメージがありますか?
照明器具、高いところに置かれた本や食器、テレビや窓ガラス、いろんなものが浮かぶと思います。
その中に「天井」が落ちてくるという意識があったでしょうか?
一般家屋ではあまり問題にならないのですが、施設では天井そのものが危険ではないかという認識が持たれています。

1.天井が問題になっている理由
天井のうち、「吊り天井」と呼ばれる構造のものが問題になっています。

吊り天井内部
吊り天井内部。石膏ボードをビスやクリップで支えています。

「吊り天井」とは本来の天井から下がったワイヤやシャフトに下げられた鉄骨にビスやクリップで別の天井が作られているもので「安価で音の遮断や断熱、防炎効果」ができ、天井裏の配線などを隠すことができることからあちこちの施設で採用されています。

ここに使われている主な素材は石膏ボードでは7kg/㎡程度、ロックウールでは4.9kg/㎡と重量のあるものです。
地震や経年劣化によりこの天井素材と鉄骨を止めるビスやクリップが外れ、素材が落下することにより事故が発生するもので、東日本大震災では東京の九段会館で2名の方が亡くなっています。

天井用石膏ボード
天井用石膏ボード。持ってみると結構重いです。

建物の耐震基準では、柱や梁は倒れたり落ちたりしないことが絶対的な要件になっていますが、天井は内装物とされ、とくに基準がありませんでした。
平成28年に建築基準法が改正され、初めて吊り天井の強度や構造について決められましたが、それまでに建てられた建物については「増改築時に基準として適用すること」という取り扱いになっています。
2.解決する方法
一番手っ取り早いのは、吊り天井を撤去してしまうことです。構造物が無くなれば問題は解決します。

天井用ワイヤメッシュ
石膏ボード落下対策のワイヤメッシュ

とはいえ、防音防炎断熱をここまで安価にできる代替素材もありませんので、その機能が必要な場合には落下防止対策をする必要があります。
石膏ボードの下にネットやメッシュワイヤーを置くことで、破壊されたときに大きな破片がいきなり落ちることは防げます。
また、軽量化された代替品も出ているようですので、それらに置き換えていくのも一つの方法です。

いずれにしても、施設では天井の落ちる可能性があると言うことを頭の中において行動することが必要なようです。