食事の問題を考える

1日くらいは興奮や不安で食事が喉を通らないかもしれませんが、時間が経つと、どんな状況であれお腹が空いてくるものです。
その時、自分がいかにきちんと食事ができているかで、それから先の気力や体力に大きな違いが出てきます。
ここでは生きるために重要な食事について考えてみたいと思います。

1.非常食は何を準備しておこう?

アルファ米各種。同じ品名ですが、味はそれぞれに違います。

災害に備えて持出用防災セットを作るとき、割と多くの人が悩むのがここの部分です。
インターネットで「非常食」と検索すると、アルファ米やビスケット、クラッカー、乾パンといった乾燥しているものか、カロリーメイトやシリアルバー等の栄養補助食品、飴・羊羹・チョコレートといったおかしで高カロリーのものが検索の上位にきます。
どれも非常食として頼もしいものですが、これらの非常食をうまく使うためには「水」が必要です。
一般的には1日3リットル必要といわれていますが、これは食事から摂取する量とあわせてのものですので、例えば水気の多いレトルトおかゆなどを持っている場合には、その分水を減らすことは可能です。
水を準備した上で、自分が持ち歩ける量の非常食を考えていけばよいと思います。
非常食にもっとも必要な事は「自分が食べて元気になれること」です。
あなたが普段よく食べているものの中から選ぶのがよいかもしれません。
例えば、ナッツ類や乾き物といったお酒のおつまみもカロリーが高くて食べやすいですからお勧めです。
自分が好きなものや食べやすいものを中心にして準備し、新しいものを買ってきたらストックから出して食べる。
数日持てばいいのですから、そんな風に管理していれば消費期限切れも起こさずにすみます。
そうそう、避難先で火が使える環境とは限りませんので火を使わなくても食べられるものの方がいいと思います。
また、非常食は一般的に高カロリーですので、持出用防災セットには歯磨きセットを必ず入れておくようにしてください。

2.配慮の必要な人の食事

もしあなたや家族がミルクや離乳食、介護食やアレルギーなど食事に配慮の必要な人であるなら、支援物資をアテにせず、あらかじめ自分で準備しておく必要があります。
食料は支援物資の中でも最優先に指定されているもので、必ず送られてきます。
ただ、大量の食料を短時間で発送する関係上、残念ながら健康な成人対象のものばかりで、配慮は期待できません。
そのため、身体の都合で食べられないものがある人は、自助で備えておく必要があるのです。
最近は液体ミルクやレトルト離乳食、レトルト介護食やアレルギー対応された非常食も販売されていますので、自分にあったものを選んでストックしておきましょう。
また、ストックした食料や水は必ず食べる人に試してもらっておいてください。
普段は母乳や手作りのものを食べていても、災害が発生すると母乳が出なくなったり、手作り食を作る場所や材料がないことが発生します。
そのとき、非常用に用意しておいた既製品に切り替えると、味や喉ごしなどの問題で食べられなかったりするものがあるからです。
あらかじめ試しておくことで、いざというときに必ず使えるものが準備できます。
また、成長や症状の変化によってもストックすべき食料は変化していきます。
新しいものを買ったらストックから使うようにし、いつも適したものがストックされているようにしてください。
ところで、粉状の授乳用ミルクの調製や離乳食・介護食についてはお湯や温めができないと困るという問題が発生するかもしれません。
そんな場合には、火を使わなくても温められる「ヒートパック」「湯沸かしボックス」といった発熱・加熱剤を使うことも考えてください。
これは発熱に水を必要としますが、避難先で授乳用ミルクなどお湯が必要な場合にはこの発熱・加熱剤を使うことでお湯を作ることが可能ですのでお勧めします。
また、不安なときに飲む一杯の暖かな飲み物はそれだけで緊張をほぐし、安心できるものです。
非常食を準備する際には、そのあたりも考えておくとよいでしょう。

3.ストックで気を付けておかないといけないこと

缶詰やレトルトの組み合わせで簡単においしいものができる、かも?

災害時に支援物資として提供される食事は、どうしてもおにぎりやパンといった炭水化物中心の食事になります。
避難所の開設が長くなると、災害支援用に特別に作られたお弁当が配布されるようになりますが、やはり野菜が不足しており、衛生管理上の問題からかなり冷えているものが提供されます。
火が使えるようになったら、それらの支援物資に加えて切干大根や干し椎茸、高野豆腐、お麩といった乾物を使った汁物をぜひ添えてください。
できれば野菜や魚介類や肉類の缶詰、レトルトパックなどを使ってもう一品、、不足する栄養素を補充するようなおかずが作れるとよいですね。
また、生鮮食料品が不足しがちになることから、ビタミン不足による口内炎や肌荒れなど身体の内外でさまざまな不調も発生してきます。
それらを防ぐために、粉末状の緑茶や青汁、野菜ジュース、ビタミン剤などもストックの中に加えておいてください。
実際のところ、非常食からいつものご飯にいかに早く復旧できるかが、体力と気力を維持するのに重要になります。
非常食のストックをすることはもちろんですが、保存食品でどういう風に作ればいつもの食事に近づけるかについても、いろいろとやってみてはいかがでしょうか。