普段持ち歩く防災アイテムの一考察

 1月3日に起きた熊本の地震では、幸いにして大規模な被害がでなかったようですが、被災された方にこころからお見舞い申し上げます。
 今回の地震では、九州新幹線が数時間にわたり運行できなくなった影響で、数百人の方が列車内に閉じ込められたとの話を聞きました。
 発災から20分は照明が消えていたこと、そしてそれから数時間は列車が動かなかったことは、乗っていた人から見るととても不安だったと思います。
 ところで、駅に着いた人のコメントの中に「車内に自動販売機が1台しかなくて、すぐに全部売り切れ。数時間の間飲み物がなくてつらかった」というのがありました。
 確かに電気の切れた電車はただの箱ですので、空調も効かず、さぞ蒸し暑かったろうなと思います。
 また、いつ動くのかという不安や緊張から喉が渇いたであろう事も推察できます。
 この場合、いったい自分で何を準備しておけばよかったのかについて考えてみたいと思います。

1.災害はいつ起きるか分からないことを意識する

 今回の地震もそうですが、災害というのはいつ起きるか予測できません。
 起きてから慌てても遅いので、それまでに準備することが必要だと思います。
 この準備というのは、普段から自分の安全を意識するということ。
 少々重くはなりますが、自分の荷物の中に自分の生命が維持できる程度の備えを用意しておかないといけないということです。
 もっとも、防災持ち出しセットみたいな大がかりなものを持って歩くのも非現実的なので、数時間から1日程度飢えと渇きをしのげるようなもので構わないと思います。

2.何を用意したらいい?

 水を入れた小さな水筒、キャラメルや飴、チョコレートといった簡単で高カロリーなおやつを少々、タオル、モバイルバッテリー、暇つぶしの本といったところでしょうか。
 出来るなら、これに乾燥防止用のマスクや保温用シート、携帯ラジオがあるとよりいいと思います。
 私の場合には、330ml入りの水のペットボトルと羊羹が1本、モバイルバッテリーとマスクが鞄の中に入っています。
 タオルや本は入っていたりいなかったり。
 住んでいる地域を走っているのがディーゼル気動車ですので、冷暖房が切れる心配はいらないかなという判断をしています。
 このセットは普段から持ち歩いているので、いざというとき、とりあえず一食は大丈夫という安心感もあります。

3.待つしかないという諦め

 列車の場合には、大原則として勝手に線路を歩いたりするわけにいきません。乗務員の指示に従って行動することになります。
 そのため、自分で出来ることは殆どありません。
 緊急事態で乗務員に助言することはできるかもしれませんが、基本的には救助を待つか、動くのを待つかの二択しかないわけです。
 焦っても仕方がないので、そんなときこそ深呼吸。
 そして携帯ラジオで現在の状況を把握しておけば、この後どうなるのかという予測もできますから、さほど焦りも慌てることもありません。
 また、普通であれば、列車内へ閉じ込められてもせいぜい半日から1日くらい。それまでには何らかの手が打たれます。
 乗務員を怒っても怒鳴っても状況は変わりませんので、のんびりと待つことにしましょう。

4.面倒くさかったら


 そうは言っても、できるだけ身軽に過ごしたいという方も大勢いると思います。
 そんなときは、閉じ込められるかもしれない場所にいるときだけ、水やお茶を買っておくという方法があります。
 電車やバス、エレベーターに乗るときに、ペットボトルを1本買っておけばいいのです。
 ジュースやコーヒーでは、緊急時には水分になりません。かえって喉が渇いてしまうので、買うのは水かお茶に限定します。
 使わなかったら、そのまま持ち歩いて飲んでしまいましょう。

 最初は面倒くさいし重たいなと思いますが、慣れると意識しなくなります。
 お出かけのときの携帯雨傘と同じくらいの感覚で持って歩けると、いざというときに頼りになりますよ。