公衆電話を知ってますか?
携帯電話が普及した結果、家でも街でも固定電話が姿を消しつつありますが、かつては普通に見られた町中の公衆電話、どこにあるかと聞かれてすぐに場所の返事ができるでしょうか?
公共施設や住宅街、道路脇にたまに見ることがあるくらい存在感が無くなっている公衆電話ですが、実は災害になるとこれほど頼りになる存在はありません。
災害が発生すると、被災地にいる関係者の安否を確認したり、状況を聞こうとしたりして、多くの人が一斉に電話をかけることになります。
不要不急な電話はかけないようにと言われてはいますが、現実にはつい電話を使ってしまいます。
また、被災地にいる人たちも、自分たちの安否を知らせたり、状況を連絡しようとして一斉に電話を使います。
そうなると、被災地では爆発的に通信量が増えてしまい、輻輳(ふくそう)という状態になるので、NTTを初めとする通信事業者は、自社の通信システムそのものが動かなくなるのを防ぐため、限界を超える前に被災地に対する通信制限を行います。
こうなると、災害時有線通信の指定を受けた電話以外は殆ど繋がらなくなり、何十回、何百回と電話をかけ続けてやっと1回繋がるというような事態になります。
災害時有線通信というのは、公共の目的のために指定された各種機関があらかじめ通信事業者に登録しておくことでその電話からの発信を優先してもらえるというものなのですが、実は公衆電話もこの災害時有線通信の指定を受けているのです。そのため、被災した後でも比較的電話がつながりやすいとされています。
自分の携帯電話でいつ繋がるかわからない電話をかけ続けるよりも、公衆電話を見つけてそこから電話する方が効率的ですし、携帯電話の電池も節約できます。
ただ、この公衆電話を使うに当たっては、いくつか気をつけておかないといけないことがあります。
1.どこに公衆電話があるのかを知っておくこと。
公衆電話を使いたくても、そもそも設置場所を知らなければ使うことができません。
まずは自分の身近なところにある携帯電話の位置を確認しておきましょう。
ちなみに、NTT西日本が設置場所の公開をしていますので、参考にしてください。
2.必ず小銭を用意しておくこと
災害時には、公衆電話も電気系統が動かなくなるため、テレフォンカードを使うことができません。
また、10円玉専用の公衆電話もありますので、必ず10円玉を複数枚用意しておきましょう。
3.使い方をマスターしておくこと
ある一定以上の年齢の方は大丈夫だと思いますが、生まれたときから携帯電話やスマートフォンのあった世代だと公衆電話を使ったことがない人もいると聞きます。
受話器を取り上げてお金を投入し、通話音を確認してからダイヤルを押したり、回したりします。
場所によっては10円専用の回転式ダイヤルのもの(ピンク色の電話です)もありますので、使い方を知っていないとお手上げになってしまいます。
日頃から意識して公衆電話を確認し、たまにはそれを使って電話をかける練習をしておきましょう。
携帯電話は便利なのですが、基地局が動かなくなると復旧に時間がかかります。
各通信事業者もさまざまな手で通信回線を確保しようとしていますが、もっとも大切なのは不要不急な電話は被災地からも被災地以外からもしないことです。
輻輳状態にならなければ通信規制も入らず、電話は普通に使えます。
また、SNSで自分の安否を知らせておくのも手です。
これまでの災害では、電話に比べるとパケット通信は格段に繋がりやすく、その中でもSNSはさほどのタイムラグがなく通信ができていたという実績があります。
ただ、だからといってSkypeやLINE電話など、パケットを使った音声通信が増えれば、そちらも程なく通信が飽和状態になってしまうかもしれません。
「災害時伝言ダイヤル」等も上手に活用して、自分の安否だけは早めに知らせておきたいものです。