災害時に頭を護るあれこれ

 災害、特に地震では「頭を護りましょう」ということがことあるごとに言われます。
 例えば有名な「ダンゴムシのポーズ」は手で頭と首を守るような姿勢を取ることになっていますし、防災ずきんは必ず被るように指導されているところも多いと思います。
 また、ヘルメットも着用を勧められているわけですが、これらで頭を守るためには正しく着用することができるようになっていなければ意味がありません。
 地震報道時のマスコミがヘルメットを前後ろ逆に着用していたり、あごひもをつけていなかったりした映像はネットでちょっと調べるといくらでも出てきますし、防災ずきんは冬場はともかく夏場は暑くて熱中症になってしまう場合もありそうです。
 これらの用途は「頭上からの落下物から頭を護る」ことなので、例えば頭上の安全が確保されている避難所であればかぶらなくてもいいわけですから、場所と状況に応じて臨機応変につけたり外したりすることが大切です。
 また、防災ずきんや通常のヘルメットを洪水や大雨時の避難で着用することは危険かもしれません。

普通のヘルメットと自転車用ヘルメットの比較。穴が空いているかいないかの違いだが、水関係の災害ではその穴が重要な意味を持ってくる。

 あごひもをちゃんと締めて避難しているときに水で流されたりすると、防災ずきんや普通のヘルメットでは水の勢いをもろに受けて流され、あごひもで首が絞まることにもなりかねません。
 こんなとき、自転車用のヘルメットであれば、汗を逃がすための穴が開いていますので、水に流されても首が絞まることはありません。

 川遊び時にライフジャケットとヘルメットを着用することは標準的になりつつある。

 水遊びなどでヘルメットとライフジャケットを着用して遊んでいる人を見かけることがありますが、被っているヘルメットは高確率で自転車用だと思います。
 もっとも、自転車用ヘルメットが災害対策に使えるなんてことはメーカーさんはたぶん言わないと思うので、使う際には自己責任ということになりますが、自転車に乗る子どもがいる家では、かなりの確率で自転車用ヘルメットがあると思いますので、それを避難時に着用するとより安全な避難ができると思います。
 また、普通の帽子や手ぬぐい、タオルでも上から降ってくる細々とした破片から頭部を守ることは可能ですので、あればかぶるようにしてください。

ヘルメット、マスク、ゴーグル、雨合羽に非常用持ち出し袋を背負ってフル装備での避難モデル。

 余談ですが、ショッピングセンターなどで地震にあったら「その場でかごをかぶる」といったことが言われることがありますが、通路の両側にある商品が落ちてくるのを防ぐことはできませんので駕籠をかぶっても頭部へのダメージはそのまま通ります。かごをかぶるよりもなるべく落下物の少ない場所へ移動する方が安全だと考えています。
 もし手に鞄などを持っていたのであれば、それらを両手で支えて頭の上を守ることはできると思います。
 ともあれ、頭部を守れれば自分が生き残るための判断が継続できますから、いろいろな方法で頭を護り、自分の行動が止まらないようにしましょう。