避難訓練の意味

 一口に避難訓練と言ってもピンからキリまであります。
 日程と訓練の流れを作ってやったことにするところも居れば、避難訓練をやる週くらいは教えても、あとは全て抜き打ちで対応させるところまで千差万別。
 毎回同じ状況設定のところもあれば、毎回異なる状況設定でやるところもあります。
 これは訓練計画者の問題と言うよりも、その訓練を行うところの問題だと考えてください。
 よくある話ですが、何らかの施設で避難訓練をしたときにトラブルが起きると「なぜトラブルが出るような訓練をさせるのか」と騒ぎ出す人が必ずいます。
 本来避難訓練というのはトラブルが出て当たり前。出ない訓練はやる意味が無いくらいのものなのですが、そういう人は計画に従って完璧にこなすのがよい訓練だと考えていますので、ものすごい勢いで文句を言われます。
 本番環境では、どんなトラブルが起きるかわかりません。どんなトラブルが起きてもいいように、訓練では起こりうるであろうさまざまな想定を組み込んで実施した方がよいのですが、時間や手間、反対者との調整などでなかなかうまくいかないというのが実情でしょう。
 結局のところ、避難訓練がなぜ必要なのかが理解されないと、避難訓練の意味はあまりないなと感じています。もちろんやらないよりはやったほうが絶対にいいですから、どんな状態であれ避難訓練はきちんと行うべきなのですが、せっかくやるのであれば、予定調和では無く、いくつかのトラブルも組み込んでおくと、より実践的な訓練になるのではないかと思っています。
 最初は参加してもらう、それだけでも大切なことです。
 最終的には、参加者が自分の判断でより安全確実に自分の命を守れるようになることが目的ですから、もしあなたが避難計画者になったら、ちょっとだけ何かを仕込んでみると面白いのではないかなと思います。