災害での直接死を防ぐには

 起きる災害によって異なるのですが、それぞれの災害によってある程度亡くなる方の死因というのははっきりしています。
 例えば、地震であれば建物の倒壊による「圧死」、洪水であれば「溺死」、土砂災害であれば「打撲」と「窒息」といった感じです。
 もちろん全ての災害で出てくる死因というのもあって、火災による「焼死」などは大規模災害では大概どこかで発生しているようです。
 これらの死因を元に、どうやったら災害で死ななくて済むのかを考えてみると、「居場所の耐震強化」と「早めの避難」に答えが集約していくような気がしています。
 地震は予告なしにいきなり来るものですから、どこにいてもいる建物が崩れてしまえば圧死してしまう可能性があります。そのため、建物の耐震強化というのが学校等の最優先事項として実施されていたわけです。
 他の災害の場合には、ほとんどの場合何らかの前兆があります。その前兆を見逃さないようにすれば、ある程度までは安全なところに避難することが可能だと思います。
 そして「火災」ですが、これは起こる可能性が3回あります。
 1回目は災害そのものによるもの。例えば関東大震災ではちょうど昼食の準備をしていたご家庭が多かったこともあって、発災後100件以上の家から出火したそうです。ただ、初期消火ができれば、この火はさほど怖いものではありませんので、家庭に消化器を備えておくことが重要になってくると思います。
 2回目は、災害後のある程度復旧したときの通電時。これは通電火災と呼ばれるもので、暖房器具に可燃性のものが乗っていたり、断線などによりショートすることによって発生するものです。阪神淡路大震災では、この通電火災があまり意識されていなかったため火災が多発してしまったという苦い経験から、各電力会社さんは災害復旧による通電開始時には通電予定エリアを徹底的にチェックをするようになっています。そのため、熊本地震では通電火災は1件もなかったそうです。
 3回目は、余震や不注意によるもの。例えば、停電時にろうそくを使っていて余震にあい、ろうそくが転がって火がついたというような場合です。また、災害後に気を落ち着かせようとつけたたばこの火が漏れたガスに引火して火災が発生したようなケースもあるようです。いずれにしても、災害後にちょっと意識をすると防げる火災ではあります。
 こうやって見ていくと、災害で発生する民家の火災というのは、燃え始めた初期で消火器が使えるのであればかなりの火災を防ぐことが可能なのが見えてきます。
 家屋の火災はまず初期消火。もちろん、火事と言うことを大声で周囲に知らせて応援をしてもらうことも大切です。
 災害で死ななかったのに、その後の火災で死んでしまっては何にもなりません。
 建物の耐震強化と早めの避難、それに家庭用消火器の備え付け。
 これらを忘れないようにしたいです。