ボランティアの仕事の過不足

 災害が起きると、現在ではほとんど当たり前のようにさまざまなボランティアがやってきて復旧や復興のお手伝いをしてくれます。
 ただ、ボランティアがあれもこれもやり過ぎてしまうと、被災者は何もできなくなって、当事者なのにお客様になってしまうという不思議な状態になってしまいますので、ボランティアをするときには全てをやってしまわないように注意が必要です。
 具体的には、当事者が何を望んでいるのかをしっかりと確認し、その意思の範囲内でボランティア活動をすることです。
 時間がかかっても、当事者がどのように考えるのかをしっかりと聞き出して作業を行うことで、当事者の復旧への意欲が取り戻せます。
 ボランティア自身はあくまでも支援者なので、支援者が勝手にあれこれ決めて行動するのはまずいのですが、ボランティアの現場に出ると、割とそういった光景に出会うことがあります。
 困ったことに、ボランティアのベテランになるほど、当事者の感情ではなくて作業の効率や技術面からの判断をしがちになるので、注意が必要です。
 ボランティア、特にお片付けボランティアは、被災者の背中を押すのが仕事ではありません。被災者の気持ちに寄り添って作業をすることが大事です。
 ボランティアはあくまでも支援者。そのことを常に念頭において、やり過ぎないように、足りないことがないように、活動をしていきたいと思っています。

災害ボランティアをやってみる

 最近はあちこちで災害が起きており、災害ボランティアという言葉もすっかり定着した感じがします。
 8月に佐賀県を中心とする大雨により発生した水害の復旧にも、あちこちからボランティアが集まって被災地の支援を開始していますが、ボランティアをするためにはどんな装備や意識が必要なのでしょうか。

1.ボランティアの条件

 災害ボランティアをするに当たって特に必要な条件はありませんが、被災地や被災者を助けたいという気持ちは必要だと思います。
 そして、体調が万全でなければ被災者に迷惑をかけてしまうことになりますから、体の調子はしっかりと整えておく必要があります。
 また、災害ボランティアは自分のことは全て自分でやることが基本ですので、自律できていない人はやらない方がいいと思います。

2.ボランティアをするには

 大きく分けるとボランティアセンターを通して行うものと、個別に回って作業を手伝うものとにわかれます。
 それぞれにメリットデメリットがありますが、ボランティア参加者の身元確認及び安全確保という点から、行政等はボランティアセンターを通してボランティアに入ることをお願いしています。
 また、現地の混乱や危険が解消されつつあるという一つの目安がこのボランティアセンター設置ですので、ボランティアセンターが設置されるまでは、地元の支援なしでボランティアに入ることはかなり困難が伴うということも意識しておく必要があると思います。

1)ボランティアセンターを通して行うボランティア

 被災地のどこで支援を行うかという場所・内容選びをボランティアセンターが行ってくれますので、時間にボランティアセンターに行けば済むという点で楽です。社会福祉協議会がやっているボランティア保険も適用されるので、何かあったときにも最低限の担保はされています。また、作業に必要な道具類や状況によっては飲料水等の提供を受けられることもあります。
 デメリットは、自分の思うようにはならないということ。ボランティアセンターの指定した時間に指定した場所で指定した内容のボランティアのみをこなすことになりますから、お隣の人から作業を頼まれてもやることができないというジレンマを抱えることがあります。
 また、誰でもできる内容が多いので、特殊技能を持っている人は物足りなさを感じることがあるかもしれません。

2)ボランティアセンターを通さずに行うボランティア

 自分の思うように思った場所で思った時間、被災者が要望している内容を要望にそって提供できるということで、被災者、支援者ともに要求を満たせて素早い復旧が期待できます。
 デメリットはまず被災地のどこへ行くのか、誰に何を提供するのかを地元の要望を確認しながら事前に決めなければなりません。また、ボランティア保険の適応がありませんので、自分で保険会社に依頼して保険をかけておく必要があります。そして、独立して作業をするので、自分の食料や水といったものだけでなく、作業に必要とされる道具類も自前で準備しておかないといけません。

3.ボランティアの装備

 個人の装備としては、長袖、長ズボン、安全靴、なければ安全中敷きをいれた長靴や運動靴、防塵マスク、作業手袋、あれば防塵ゴーグルと帽子、ヘルメット。
 リュックサックにはタオル、ウェットティッシュ、2リットル程度の飲料水、食事、怪我をしたときに使える救急セット、雨合羽。
 日帰りボランティアならこれくらいあれば大丈夫だと思いますので、あとは季節に応じて日焼け止めや冷却剤、カイロや防寒着といったもの、また個人的に必要なものを持って行けばいいと思います。
 宿泊して現地でボランティアを続ける場合には、被災地外に宿泊地を設定し、被災地には通うようにした方が現地に負荷をかけずにすみますので、移動手段及び宿泊方法も考えておいた方がよさそうです。

 行政機関は面的、一律的な対応しかできませんが、災害ボランティアはややこしいことを抜きにして被災者を助けることのできる重要なボランティアです。
 ボランティアが動けば、その分現地の復旧は進みますので、興味があったり機会があったら、ぜひ一度経験してみてください。