粘膜を守る

 地震では発生直後から、水害では発生して数日すると、地上1mくらいまで細かな粉じんが舞います。
 この粉じん、粒子がかなり細かいものなので、目や鼻、のどといった粘膜につくとさまざまな病気を引き起こすことがあります。
 そのため、背の低い乳幼児やペットの散歩には留意する必要があります。
 また、災害後に行う掃除でも、そういった粉じんが舞うため、粘膜を痛めてしまいますので、しっかりとした対策を行う必要があります。
 鼻や口を守るマスクは必須アイテムですし、できれば花粉症用の眼鏡、または水泳用のゴーグルなどで目を守るようにしたいものです。
 身体につくと、その粉じんを生活空間に持って入ってしまうことになるため、外出時にはできるだけ雨合羽など粉じんが付着しにくく落としやすい素材のものを着用し、帰宅時には家に入る前に外ではたくようにしておくとよいでしょう。

避難するときの格好の一例。

 いずれもちょっとしたことなのですが、災害後に起きる感染症や炎症に対してはかなり有効な手立てですので、非常用備蓄品や非常用持ち出し袋に入れておくといいと思います。
 ちなみに、写真は地震発生後に避難するときに安全が確保されやすい格好の一例です。こういった格好を準備することは難しいかもしれませんが、できる範囲で構わないので、粘膜を保護するための道具も準備し、避難のときやお片付けのときに忘れずに着用するようにしてください。

誰でもできる感染症対策

 新型コロナウイルス感染が広がっているようで、連日マスコミが騒いでいますが、新型コロナウイルスに限らず、感染症対策の基本は手洗いになります。
 石けんと流水を使って手をしっかり洗うこと。これが感染症対策の基本となります。
 あとはマスクの着用。これは周囲にウイルスをまき散らさないために必要なものです。また、気休めですが防除できるかもしれません。
 この二つがしっかりとされるとどうなるのかを表した図があります。
 国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップの2018~2019年と2019~2020年(現時点では「今シーズンの動き」にあります)の流行状況を比較してみてください。
 新型コロナウイルス対策が叫ばれ始めてから、インフルエンザの感染者数が明らかに減っており、収束も早くなっていました。
 このことを考えると、手洗いをしっかりとすること、そしてマスク着用が有効であることがわかると思います。感染対策としては、できればフェイスシールドで顔を覆えば、飛んでくるウイルスの顔への付着を防ぐことができますのでより安全になるのではないかと思います。
 また、飲み会の席で酒が入ればどうしても大声で騒いでしまうことになりますので、飲み会では無く食事会にし、食べている間は静かに食べて、それから、マスクをつけてゆっくりおしゃべりをするようなスタイルだと安心できると思います。
 これからまたインフルエンザや感染性胃腸炎などが流行る季節になります。
 新型コロナウイルス対策だけで無く、冬に流行するさまざまなウイルス対策として、石けんと流水での手洗い、マスク着用、できればフェイスシールドの着用をして感染しないようにしたいですね。

参考:インフルエンザ流行レベルマップ(国立感染症研究所のウェブページへ移動します)

避難所での感染症対策を考える

 先頃国から新型コロナウイルス対策での避難所運営の方針について、事例が提示されました。
 単純にいうと、「感染者の隔離」「感染した可能性のある人の隔離」「避難者が1m以上離れて生活できる生活空間作り」「感染者・感染の可能性のある人が健常者と接触せずに隔離場所へ移動できる動線作り」といった感じで、新型コロナウイルスに限らずノロウイルスやインフルエンザといった在来の感染症対策としても使える考え方になっています。
 ただ、問題この新型コロナウイルス対策を実施すると、避難所の収容定員が大幅に低下してしまうことで、そのため今回の新型コロナウイルス対策の事例公表にあわせて避難所以外への避難や自宅避難などを平行して呼びかける内容になっています。
 元々避難所は「自宅が住める状態ではない人」や「自宅が倒壊する可能性のある人」そして「その地域に生活の根拠地がない人」などが安全確保のために避難する場所なので、自宅の耐震強化や高台移転、歩いて避難できる範囲に避難を受け入れてくれる友達を作っておくといった対策で避難所への避難者を減らすことになります。
 現在の国の方針では大規模な避難所を作ってそこを中心に地域の支援をしていくという感じになっていますが、感染症対策だけを考えた場合には、小規模な避難所をたくさん作ってそこを支援するような形に変更した方が感染症が発生した場合に被害を局所化することができます。
 大規模避難所である指定避難所は物資や情報の集積所としての機能も備えていますが、サテライト型の小さな避難所を連携させることで、小回りのきく避難所運営ができるようになるのではないかと思います。
 指定避難所が遠かったり小さかったりする場合には、家の近くの安全な場所を自分たちの避難所として設定しておくと、いざというときに安心ですね。

参考までに国が出した避難所の事例についてご紹介しておきます。

府政防第939号・消防災第87号・健感発0521第1号 避難所における新型コロナウイルス感染症への対応の参考資料について(令和2年5月21日)