災害時の履き物について考える

当研究所にもさまざまな履き物がある。

 災害発生時に移動するために何らかの履き物を用意しておくように推奨されていることはご存じだと思います。
 非常用持ち出し袋にも丈夫なスリッパが入っていますし、地震の時に備えて着替えや履き物を寝る場所の近くに備えておくといったこともされているのではないでしょうか。
 ただ、一概に履き物といってもいろいろと存在していますので、登山靴から折りたたみ式スリッパまで人によって準備しているものが様々なのが現状です。
 今回はこの履き物について考えてみたいと思います。

1.なぜ履き物を準備しておかないといけないのか

 屋外にいるときはともかく、屋内では多くの場合素足か靴下を履いているだけの状態だと思います。
 地震で建物が揺れた場合、大きい地震だと窓ガラスが割れたり、棚のものが散乱したり、天井が落ちたりして人が歩く場所にものが散乱してしまいます。
 そのとき、素足や靴下だけだと移動時に落下物によって足の裏を怪我してしまう危険性があります。
 また、水害などで水に浸かった場合には、水に浸かっている部分の底は見えないので、危険なものを踏んでしまう可能性があります。
 そして、どのような災害であれ外を歩いて避難しようとすると、今の日本人の多くは裸足のまま歩くことは困難だと思います。
 そのため、履き物を準備して足を守ることが必要になるのです。

2.どんな履き物なら安全か

 履き物に求められるのは
1)脱げないこと
2)何かあっても足に怪我をしないこと
3)安全に歩けること
ですから、それらの条件を満たすものであればいいということになります。
 スリッパだと、(1)を満たせないものが多いので、かかとつきスリッパなど固定できるような機能をもったものでないと困ると思います。
 こういうところでよく出てくる運動靴だと、紐やマジックテープをしっかり留めれば(1)は大丈夫ですが、(2)で釘などを踏み抜く危険性があるので、踏み抜き防止のインナーソールが入っている方が安心だと思います。
 長靴は(1)も(2)もそれなりに条件を満たしているのですが、非常に滑りやすいという特性を持っていますので、災害時に履いて避難する場合には歩き方に注意が必要です。
 (1)~(3)の条件を満たせる靴で一番いいのは登山靴でしょうが、はき慣れていないと歩きにくいという大きな欠点がありますので、登山する趣味のない人にはちょっとハードルが高い気がします。
 極論から書くと、かかとがついていて足首から下が露出しておらず、踏み抜き防止のインナーソールなどの対策が取られていて、滑りにくいこと、と条件を満たせれば何でもいいということになるので、結局お気に入りの履き物に手当をすればいいのではないかということになります。
 もちろん使い捨てのスリッパでもないよりは遙かにマシですから、何かを準備しておいてください。

3.どこに置くといいか

 最後に、置き場所について考えてみます。履き物が必要な理由を考えると、着替えと一緒で枕元に置くのが一番安心できますが、靴を部屋に持ち込むのは抵抗がある人もいると思います。
 枕元には着替えと使い捨てスリッパ、廊下に靴というのでもいいかもしれません。
 また、履き物を配置するときには、災害時に飛ぶ破片が履き物の中に入らないようにあらかじめ袋に入れて置いておくと安心だと思います。

 避難するにしろ、片付けをするにしろ、足を怪我すると素早い移動が困難になってしまいます。
 靴を履いて寝る必要はないと思いますが、いざというときにすぐに行動が開始できるように、身近に履き物を準備して置いてくださいね。