支援物資の送り方

 災害が発生すると、被災しなかった地域からさまざまな支援物資が被災地へ送り届けられています。
 ただ、多くは善意で送られたはずのこれらの支援物資が被災者に届かなかったとしたら、あなたはどう思いますか。
 被災地で支援物資を差配するのは行政ですが、ずいぶんとマンパワーが不足しています。そのため、いくら思いのこもっている支援物資であっても、すぐに仕分けができなければそのまま放置されてしまいます。
 落ち着いてきたらいろいろな詰め合わせを作って送るのもいいと思いますが、被災してすぐ、もっとも支援物資が必要とされるときに自分で直接届けない場合には、次のことに気をつけてください。

1.生鮮食料品や賞味期限の短いものは絶対に送らない

 どうしたものか、被災地でも普通に物流が動いていると考える人は多いようで、普段使う宅配便のような感覚で生鮮食料品や賞味期限が短い食品を送る人がいますが、これは非常に迷惑になるので絶対に止めてください。
 大規模災害では道路損壊や交通のマヒ、トラックや運転手不足などで届けたい被災地にいつ届くのかはまったく予測ができません。
 そのため、生鮮食料品などを送ると、届くまでに腐ってしまう場合が殆どです。
 生鮮食料品や賞味期限の短いものは絶対に送らないようにしましょう。

2.一つの箱には一種類、ワンサイズのものだけを詰める

 一つの箱にさまざまなものを入れると、それらを詰め替える手間が発生します。そのため、そういった手間のかかるものは後回しにされることが多いです。
 一番手っ取り早いのは、お店で箱買いしてそのまま被災地へ送ること。
 そうすると割と早く被災者に届くことが多いです。被災地で困っている人のことを考えるとあれやこれや入れたくなるものですが、なるべく仕分けの手間がかからない状態で送って下さい。

3.送る箱には中身が分かるように全ての面に内容物の表示をしておく

 平常時に荷物を送るときには、内容物の説明は書いても上か横の一面くらいだと思いますが、非常時にはすぐに中身がわかるようになっていることが重要です。
 そのため、底辺を除く全ての面に内容物がなにかわかるように油性ペンなど消えないものでしっかりと記載するようにしてください。

4.宅配便業者が物資搬送可の合図を出すまでは業者に搬入しない

 被災地に輸送されるものは優先順位が定められていて、個人や団体での支援物資の位置づけは割と低いです。
 業者の発送案内で到着が「未定」となっている場合や「不明」となっている場合に依頼すると、本来優先される支援物資を保管すべき倉庫の場所を取ってしまうことになります。
 支援物資を購入する前に、必ず宅配業者に状況を聞き、届くようになってから送り出して下さい。

5.送るものは原則新品で

 被災地向け支援物資でもっとも困るのが、実は衣類です。
 大規模災害になると、これ幸いとタンスの肥やしになっていた衣類を大量に送りつけてくる人がいますが、被災者がそれを着ることはまずありません。
 そして、送りつけられたものはゴミとなり、そうでなくても災害ゴミでてんてこ舞いしている自治体のゴミ対策を一層混乱させます。
 政府や行政機関の送る支援物資は全て新品ですので、もしあなたが善意で衣類を送るのであれば、お店で新品を調達して送るようにしてください。

 正直なところ、SNSやマスメディアで避難所が取り上げられ、そこで「○○が足りません」というと、数日後には処理できないほどの「○○」が届いてしまい、最終的に処分に困る事態が毎回起きています。
 一番良いのは、物資ではなく現金を送るか、もしくは自分や仲間達で直接避難所まで届けることでしょう。
 被災地での渋滞という問題はありますが、流通に負担をかけた上にゴミになるよりは遙かにマシです。
 被災地への支援物資を送り出すときには、あなたでなければそれを届けられないのかをしっかりと考えた上で、現地にとってもっとも助かる方法を考えて欲しいと思います。