震度で被害を予想する

 地震が毎日のようにあちこちで起きていますが、備えはされていますか。
 おうちの耐震化、内部の家具や棚などの耐震化など、地震に関して言えば事前準備でその後の復旧作業がずいぶんと変わってきます。
 「段取り7割」や「段取り8割」という言葉がありますが、地震はまさにそのとおりで、いざ本番が起きたときにはその時点で全てが終わります。
 ところで、震度と被害の関係について考えたことがありますか。
 地震でさまざまな震度が発表されますが、その基準は次のようになっています。

 この表をみてわかると思いますが、震度5弱が黄色、震度6強で赤になっています。
気象庁が作成する色つきの表では基本的にこの色が使われていて、黄色は「注意」赤は「危険」と考えます。
 ちなみに紫は死者が出ている可能性があるときに使われる色だと思ってもらえばいいと思います。
 そこから考えると、黄色は「もしかしたら何か被害が出るかも」のスタートライン、そして赤では「何らかの被害がほぼ確実に出ている」、つまり赤表示になっている震度6強以上では何らかの災害がその地域で発生したと考えてよいでしょう。
 紫や濃い紫では確実に被害が出ていると考えてよい状況なので、それに対する対策を考えておかなければなりません。
 ところで、震度とセットでよく出てくるマグニチュード。これは震源のエネルギー量を示すもので、おおざっぱに言うとマグニチュードが一つ上がると、エネルギー量は30倍になります。
 つまり、震度3は震度1の2ランク上になるので、30倍×30倍=900倍の力が発生したと言うことになります。
 計算上はマグニチュード9以上では地球が割れてしまうことになるので、マグニチュードとしては最大が9となっているわけです。

マグニチュードと震度の関係を表す図。震源は一つだが、地盤や伝播の仕方によって同じ距離でも震度は異なる。

 いろいろと書きましたが、震度5弱以下であっても耐震化していない場合にはものが崩れたり倒れたりすることがありますので、まずはおうちの中の耐震化、そしてできれば建物の耐震化もしておいてくださいね。

地震の基準を確認しておこう

 最近また地震が増えているような気がします。地震が起きる理屈については以前触れたことがあるのですが、連日どこかで地面が揺れているというニュースが流れていますので、今回は地震の考え方をおさらいしておこうと思います。

1.震度とマグニチュード

 地震のニュースのときに必ず出てくるのがこの震度とマグニチュードです。
 ややこしい話は、筆者の能力では説明しきれないのでwikiなどで調べていただければと思うのですが、震源の地震のエネルギーを示すのがマグニチュードと言われるもので、これは一つの地震に一つしかありません。
 マグニチュードは1から10まで存在しますが、1段階が上がるごとに強さが約32倍増えます。そのため、マグニチュード1とマグニチュード3ではその強さに約千倍の差があることになります。
 地球上で記録されているもっとも強い地震とされているのが1960年のチリ地震で、このときの数値はマグニチュード9.5と言われています。
 震度はそれに伴う揺れを表すもので、現在は計測震度計により記録された数値が公表されています。揺れを示すものなので、場所によって異なった揺れ方が起き、人によってはお住まいの地域の震度を見て「そんなに弱かったの?」とか「そんなに揺れたかな?」と首を傾げることもよくおきます。
 震度1から震度4、震度5と6はそれぞれ「強・弱」が存在し、もっとも強いのが震度7となっています。

マグニチュードとは(ウィキペディアの該当ページに飛びます)

震度とは(気象庁のウェブサイトに飛びます)

震源と震度を示す図の一例。震源は一カ所だか、震度は地域によって異なっていることが分かる。

2.緊急地震速報を知っておこう

 最大予測震度が3以上の時に、緊急地震速報が発表されます。
 これは地震発生時に地震波の伝わる速度の差を利用して発表されるもので、震源がある程度離れている場合には有効です。
 ただ、速報を出す方法上、直下型や震源に近い場所では、揺れ始めてから緊急地震速報が出ることもあります。
 発信される警報音はスマホやテレビ、ラジオにより異なりますので、自分の使っている機器の出す警報音を知って、鳴ったらすぐに安全を確保する行動を取るようにしてください。

緊急地震速報のしくみ(気象庁のウェブサイトへ飛びます)

3.地震では身の安全の確保を最優先する

 妙ないい方になりますが、地震そのもので死ぬ人はほとんどいません。
 亡くなる方は、地震によって倒壊した建物やものの下敷きになったりする場合が殆どです。
 そのため、建物が揺れで倒壊しないようにすることや、安全な場所の確保、そして何よりも自分が怪我をしないように安全を確保するための行動をとれるかどうかが大切になります。
 地震時の安全確保の方法は、いろいろな人がいろいろなことを言っていますが、あなたがいる場所や条件によって正解が変わりますので、さまざまな安全確保の方法を知って、その中から最適な方法を瞬時にとることができるようにしておくことが大切です。
 起震車や起震装置による体感とそれに伴う安全確保の訓練もしっかりとしておく必要があります。
 地震であなたの命を守るのは、あなたしかいないことをしっかりと理解して、機会を見つけて準備をしておくことをお勧めします。

地震あれこれ

 日本は地震大国だということはよく言われるところですが、あなたは地震についてどれくらい知っていますか?
 別に知らなくても困らないのですが、知っていると役に立つかもしれない地震の知識について、今回は整理してみたいと思います。

1.地震の種類

 地震とは、文字通り「地面が震える」ことで、大まかにわけるとプレート境界型と活断層型に分かれます。これがそれぞれどのようなものかということは、過去に「プレート境界型地震と活断層型地震」という内容で触れていますので、興味があったらリンク先をご覧ください。
理由はいろいろありますが、簡単に言うと何らかの理由で地球内部の力がぶつかる場所で起きるものだというイメージであればいいのかなと考えています。

2.震度とマグニチュード
 地震が発生すると、ニュースでは「この地震はマグニチュード4、震源は○○で深さは○○km。主な震度は、○○が震度4、××が震度2・・・」といった感じで伝えられることが多いですが、震度とマグニチュードの違いはご存じですか?
 「マグニチュード」は、地震そのものの大きさを表すものです。マグニチュードは1あがると強さが32倍になります。そのため、この計算で行くと地球上で起きる地震によるマグニチュードは10までだそうで、それ以上は地球が破壊されるレベルのエネルギーとなるため、地震としては想定しないことになっているようです。ピンと来ない方もいらっしゃると思うので、youtubeで「人の死なない防災」さんがアップロードしている「【マグニチュード比較】南海トラフの巨大さが体感できる動画」をご紹介しておきます。
 ともあれ、震源で起きる地震の強さを表すため、一つの地震ではマグニチュードは一つの表示となります。
「震度」は地震により発生した震動が伝わった場所の揺れの大きさを表すものです。距離や地盤の強度、震源の深さなどにより、同じ距離であっても異なる震度が記録されることが殆どです。

震源は一つなのでマグニチュードも一つ。同じ距離でも、様々な条件で伝わる振動が異なるため、震度は観測点の数だけ存在する。

マグニチュードの数値は一つしかなく、震度は観測点の数ほどあると考えておけば問題ないでしょう。

3.地震の揺れには周期がある
大きな地震になると、地面が殆ど揺れていないにもかかわらず、高層ビルが大きく揺れているような場合が見受けられます。
これは地震の振動が様々な波を持っていて、その揺れによるもの(揺れが一往復する期間を周期と呼びます)ためですが、大きな地震になるほどゆっくりとした周期の長い大きな揺れが発生するため、これを特に「長周期震動」と呼びます。
建物にはそれぞれ固有の揺れやすい周期というものが存在し、地震の周期と建物の揺れやすい周期が重なると共振現象が起きて建物が大きく揺れることになります。
建物が高層になればなるほど周期の長い大きな地震と共振しやすくなるため、より大きく揺れることになります。建物によっては数mの幅で揺れることも起こりますので、高層ビルの高い階はよりしっかりとした耐震対策を行う必要があります。
長周期震動については気象庁の「長周期振動について」でよりわかりやすく説明されているのでそちらを参考にしてください。