DIGをやってみよう

地図に情報を書き足していくことで防災マップが出来上がる。写真はとある仮想町を使っての演習。

 DIGというのをご存じですか。参加する人が地図を囲み、ゲームのように災害時の対応策を考える図上訓練のことで、Disaster(災害)、Imagination(想像)、Game(ゲーム)の頭文字をとってDIGと呼ばれています。
 一枚の大きな地図を用意してそこにハザードマップの内容や道路や水路、危険に見える建物や構造物、病院や薬局といった施設などを書き込みをしながら地域の強みや弱みを洗い出していきます。
 対象とする災害やテーマを絞れば短時間でもできますし、一人でも複数人でも楽しみながら作ることができます。
 また、情報を一枚の紙にまとめて図化するので誰でも理解できるものができますから、参加した人だけでなくその地図を見る人達の防災力の向上も期待できます。
 聞くと少しだけ取っつきにくい感じがしますが、実際にやってみると非常に面白く、意外な発見があったりしますから一度やってみることをお勧めします。
 参考までにDIGの作り方について記載したウェブサイトをご紹介しますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。

DIGってなぁに?」(静岡県庁のウェブサイトへ移動します)

防災マップと防犯マップの違い

 防災マップ作りというお話をすると、なぜか人気の無い通りや街灯のことについて聞かれることがあります。
 恐らくは防犯マップと勘違いしておられるのだろうなと思うのですが、この二つは似通っていながら微妙に性格が異なっているものです。
 もちろん防災・防犯マップとして一枚の紙に落とし込むことは可能なのですが、見る視点が違うと見方が当然変わっています。
 ただ、このことはやっている本人でもなかなかイメージがつかないものです。
 ざっくりと考えると、防災マップは自然現象対策、防犯マップは人対策になるのかなと思っていますが、防災、防犯でかぶっているところも多いので、なかなか割り切ることは難しいです。
 例えば、「安全な場所」で考えてみます。防災マップでは、周囲に危険物が無く物理的に安全な場所を指しますが、このときには第三者の目があるかどうかは殆ど気にすることはありません。でも、防犯マップではまず人目がしっかりとあるかどうかが先にきて、その上で逃げ込める場所を探すことになると思います。このときに物理的に危険なものがあるかどうかはあまり考慮しないと思います。
このように同じ言葉を使っていてもその定義が異なっていることがあり、この二つを混ぜるとちょっとだけ地図の作り方がややこしくなってきます。
 このあたりの交通整理が上手にできるともっと有用な地図を作ることができると思うのですが、当研究所にはまだそれだけの能力が備わっていないなと感じています。
 あえて書くとするなら、防災マップは地域全体が非常事態になっている状況、防犯マップは、地域全体は平常だが部分的に非常事態になっているということなのかもしれませんが、なかなか違いを理解するのは難しいなと感じています。
 目標は防災・防犯の両方を含んだ地域の安全安心マップです。
 この域に早く届くように試行錯誤を続けていきたいなと思っています。

どこに何があるかを知る

 被災時に痛切に感じるのは、どこにいったら何があるのかを実は知らないということです。
 例えば、家の中に飲める水がどれくらいあるのかを意識したことがあるでしょうか。
 保存している水はもちろんですが、例えばトイレの水洗タンクの中、あるいは太陽熱温水器があれば水だけで無くお湯が手に入ります。
 でも、意識していないと水があるのに水が無いと思い込んでしまうことになりかねません。
 食料でも同じです。冷蔵ものや冷凍ものは冷蔵庫が駄目になるとすぐに食べられなくなると思ってしまいますが、クーラーボックスに詰め替えれば、半日から一日程度は食べることが充分に可能です。
 冷蔵ものの上に冷凍物を乗せておけば冷気で冷蔵物の保温もできますし、冷凍物はそのうち自然解凍されて調理しやすくなります。
 家の中に何があるのかは案外と知らないものなので、災害対策の備蓄を確認する際には、どこに何があるのかをチェックしておくと慌てなくて済みます。
 同じように、自分がいる街のどこに何があるのかを知っておくと、いざというときに自分の命を守ることにも繋がります。
 避難するのに使える場所だったり、公衆電話や公衆トイレ、自動販売機、下水用マンホールなど、普段目にするものでも意識しなければ無いのと同じ。
 家や地域の防災マップ作りは危険な場所を確認するだけで無く、いろいろな資源を知る作業でもあります。
 しっかりと意識して、できれば所在図や地図を作っておいて、災害発生後、自分の生活を守るための武器として使いたいですね。

防災マップを作ろう・自分の部屋編

 防災研修会をやると必ずといっていいほど出てくる防災マップ。
 地域の危険な場所やものを調べて地図に書いていき、安全な場所や安全な避難経路を確認するために大切なものです。
 ただ、地域をどんなに点検しても外に出ることができなければ、せっかく作った地域の防災マップは何の役にも立ちません。
 自分のいる場所から外に出るまでの経路もきちんと点検しておかないといけませんよね。
 そこで、今回は自分の部屋の防災マップを作ってみようと思います。

 まず、準備するものは方眼紙。書きやすく、部屋の見取り図が書きやすいものを用意してください。
 次にメジャー。5m計れれば十分だと思います。
 この二つを使って、部屋の見取り図を作っていきます。
 記入をする方眼紙は一マスのサイズが何cmかを決めておかないといけませんが、ここではとりあえず1マス10cmとして作成をすることにしましょう。
 まずは部屋の大きさを方眼紙に黒色で落とし込みます。外枠だけ書いてあれば大丈夫です。扉やガラス窓の位置がわかるようにしておきましょう。
 次に、家具の大きさを測って記入していきます。テレビ等も記入します。
 見取り図には幅と奥行きだけを書いていきますが、高さもメモしておいてください。

所長が試しに書いてみた部屋の間取り。四角一つが10cmで作成している。

 書き終わったら、今度は赤色を使って先ほど記入した家具のうち、安定の悪い面に倒れたと想定して、メモしておいた高さに従って倒れた部分を書いていきます。
 中には倒れないものや動かないものもあると思いますが、それはそのままで大丈夫です。
 次にガラス窓が割れたことを想定して飛散する区域を斜め線で書きます。窓から30cm程度斜め線を入れておいてください。
 そして、その状態で出入り口の扉が動かせるかどうかを確認してみます。
 さて、ここまで書いてもらったのは、地震に遭ったときに最悪どのような被害が出るのかを試しに書いてみたものです。
 その絵の中に、普段自分が寝ているであろう場所に青色でマークをつけると、現在のこの部屋とあなたの危険度を教えてくれる図のできあがり!

ざっくりとだが部屋の中の危険な状態はこれでわかる。あとはいかに赤い部分を減らすことに力を入れるかだ。

 どうですか? 寝ているときに地震に襲われたとき、あなたは何かの下敷きになっていませんでしたか?
 もし下敷きになっていたり脱出路が塞がれていたのであれば、どういう風にすれば安全が確保できるかを考えてください。
 例えば、家具の向きを変えてみたり、寝る場所を変えてみたり、より低い家具に変えて転ばないようにするというのもできますよね。
 一番の理想は部屋の中に寝具以外何も無い状態ですが、それが困難であるなら「落ちない」「壊れない」「倒れない」を考え方の基本にして考えてみてください。
 また、ここまでは触れていませんでしたが、部屋の照明にも注意が必要です。天井直付けの照明器具なら大丈夫ですが、釣り下げ式のものだと激しく揺れたときにはどこかにぶつかって割れてしまう可能性があります。
 例えば笠を固定して動かないようにすれば、破片で怪我をしなくてもすみます。
部屋に限らず、自分が長く過ごす場所の安全は非常に大切です。
 一度「部屋の防災マップ」を作って、どういう風にしたら自分の身が守れるのかについて考えてみてはいかがでしょうか。