【お知らせ】防災研修会を開催します。

 最近あちこちで災害が起きていますが、あなたがお住まいの地域の避難所はどのように準備し、どのように立ち上げたらいいか決まっていますか?
 避難所運営のイロハについてはさまざまなところで研修がされていますが、では、避難所設営の方法やどのような事前準備をしたらいいのかについて考えてみたことがあるでしょうか?

 今回はわかりきっているようで、改めて確認してみると割と漏れのある避難所の設営について「避難所設営、基本の「き」」というタイトルで、座学で一緒に勉強してみたいと思います。
 よく「段取り7割」といいますが、避難所の設置者が事前準備をきちんとしておくだけでいざというときに慌てなくて済みます。
 また、自分が避難所に避難したときに、設営方法を知っておくと段取りよく混乱なく開設をすることもできます。
 内容の詳細や申し込みにつきましては、当研究所のお問い合わせメールによりお願いいたします。

開催日時:2021年 8月28日(土)10:00~11:45
開催場所:益田市市民センター第103会議室(益田市元町)
募集人員:10名
募集方法:事前申し込み。定員になり次第締め切りとします。

参加費:500円(会場使用料、資料代)
携行品:施設運用をされる予定の方は避難所・避難場所予定施設の各部屋の寸法のわかる見取り図をご持参ください。
    
開催内容:1.避難所・避難場所の違い
     2.避難所を作るための下準備(個人編・施設編)
     3.実際に運用してみよう(HUG体験)

講 師:石西防災研究所・伊藤(防災士)

避難所設営基本の「き」その5・情報の受取と公開の方法

さまざまな機関からさまざまな情報が送られてくる。どう処理するかが腕の見せ所

 さて、避難所設営も殆ど終わったと思いますが、設営のとき、一つ気をつけておきたいことがあります。
 最初に避難所、特に指定避難所と言われる場所では「地域の被災避難者の住居」と「被災者の支援を行うための物資集積所」という二つの性格を持っているということに触れました。
 小さな避難所や在宅避難者車中避難者などは、この指定避難所に支援物資を受け取りに行くことになりますが、その際に情報も持って帰る場所でもあるということを気にかけておいてください。
 自治体が発信している災害情報は多岐に及んでおり、しかも時間ごとに変わるような内容もありますので、それらが分かるように掲示しておかなければなりません。
 情報の受信方法は、届いていることが一目で分かるFAX一択だと思いますし、避難所への掲示も紙で行った方がわかりやすいし確実です。
 発信元の自治体がそれに対応しているか、そしてどのような掲示物をどのように張り出したら良いのかについてもあらかじめ決めておきましょう。
 ところで、自治体が発信する情報はなぜか言い回しが難しくて字が小さいものが多いのですが、高齢者や疲労の溜まった避難者、日本語が充分に理解できない人などはこれをそのまま読んでもたぶん理解ができないこともあると思います。
 貼り出すときには、あまりに難しい言い回しであれば「やさしい日本語」に変換して大きな字で掲示するのもよいと思います。

 ここまで、避難所設営の基本について書いてみましたが、もしかしたらご存じのやり方と違っているかもしれません。
 ここで書いた避難所設営の基本は、あくまでも筆者が経験と知識からやっておいたほうがよいと感じているものなので、恐らくたくさん抜けがあると思います。
 また、避難所によってはここまで考えなくても良い場所もあると思います。
 要は、避難所設営のときに混乱が起きずに避難者が無事に収容できて避難すべき期間快適に過ごせればよいのですから、そういう視点で避難所の設置について考えていただければいいと思います。
 「避難所はホテルではないし、避難者はお客では無い」ということを前提に、避難所設営を的確に準備していただけるといいと思います。
 ちなみに、避難所は行政や自治体、自主防災組織が運営するものだけではありません。さまざまな事情で自宅にそのまま留まる自宅避難や、医療施設、宿泊施設などに有償で避難するのも当然ありです。
 避難所を準備する方の基本は今回少しだけ触れましたが、避難する側も自分の状況や準備、そして経済状況などを考えて避難先を決めておくといいと思います。

避難所設営基本の「き」その4・ルール作りと名簿の準備をする

 区画整理まで終わったら、次は避難者と管理運営者がお互いに守るべき基本的なルールを作っておきましょう。
 例えば「避難所に入るときには靴を脱ぐ」は避難したときからルール化しておかないと、途中で切り替えるのは大変です。
 その1からその3までで触れたような内容や、その施設特有のルールを取り込んだ「避難上の注意」を作成しておきましょう。
 また、避難所にあるものと避難者が持ってくるものも決めておいて事前に知らせておく必要があります。
 避難所は「避難するための場所貸し」でしかないのですが、未だに「避難所は無料のホテルで体一つで行けばいい」といった誤った認識を持っている方がいらっしゃるので、地域の人達への周知は絶対に必要です。
 また、避難所設営時にルールを入り口に大きく掲示しておくと「言った」「言わない」で揉めなくてすむのでお勧めです。

 ルールというと、避難所に避難してきた人の避難者リストは可能な限り早く作成しておく必要があります。
 このリストがあるとないとでは、後々の作業がかなり変わってきますので、避難者の収容がある程度完了した段階でリスト作りを行いましょう。
 どこの誰が避難しているのかということと、避難所から出るときには、いつどこへ出たのかということが管理運営者にわかるようにしておきます。イメージとしては、避難所の住民票を作ると考えてください。
 作ったリストですが、避難者の中にはさまざまな事情から避難しているという情報を開示して欲しくない方もいらっしゃいます。
 少し手間ですが、リストができた段階でそういった方を外したリストを作成し、受付にはそちらを備え付けるようにします。
 そして、避難所は生活空間になりますので、出入りは必ず受付を通すこととし、避難所入居者以外が避難所内に入れないようにしておきます。
 面倒ですが、安全上必ず受付をしてから出入りするというルールも作っておかないと、避難所内部で窃盗などの犯罪が起きたり、マスメディアが勝手に入ってきたりと収拾がつかなくなってしまいます。

 事前のルール作りと設営後の名簿作り。どちらも大切な作業となりますので、管理運営者と避難所利用者の皆さんとでしっかりと詰めておきたいですね。

避難者と施設管理者がどちらも安全・安心に過ごすために必要なのが避難所ルールです。
細かな部分は時間が経つ毎に変わっていくと思いますが、基本的なルールだけは事前に管理運営者や地域の中でしっかりと話し合い、事前に決めておきましょう。

避難所設営基本の「き」その3・区画整理をしよう

 避難所設営でもっとも怖いのはトイレの問題なので一番最初に書きましたが、最初はそれほどでなくてもじわじわと影響が出てくる問題として、避難者の居住スペースがあります。
 一時的な避難である避難場所としての活動なら、とりあえず入れるだけ押し込めてもいいのですが、生活空間となる避難所として考えたとき、発生するであろういくつかの問題は最初に手を打っておくことで解決することが可能です。
 今回は避難所設営でトイレの次に重要な区画整理について書いてみたいと思います。
 区画整理は、ある一定の空間のどこに何を配置するということを整理する作業ですが、大きく分けると

1.立ち入り禁止エリアを設定する
2.居住許可空間は最初から決めておく
3.壁際は必ず空ける

の3つになります。

1.立ち入り禁止エリアを設定する

 避難所として専用設計された施設ならともかく、通常は他のことに使っている施設を避難所にするわけですから、一般の人には入って欲しくないエリアが必ずあると思います。
 例えば、事務室や会議室など、施設の機能復旧や避難所運営に必要と考えられるスペースは最初に確保して避難者が使わないように処置をしておかないといけません。
 また、授乳施設や医務室、発病者の収容エリアなど、無いと困る場所についても立ち入り禁止エリアに指定しておきます。
 嫌な書き方になりますが、一度解放した部屋や場所は、そこからどけて欲しいと思っても、なかなかうまく行かないものです。不毛な移転交渉に時間を取られるわけにいきませんので、最初から使えないようにしておきましょう。
 もしも避難者が溢れたとしても、心を鬼にして立ち入り禁止エリアは確保するようにしてください。そうでないと、後々管理運営者が泣くことになります。

2.居住許可エリアは最初から決めておく

 居住エリアは最初に設定をしておきます。国際的な難民支援マニュアルであるスフィア基準に照らすと、避難者には一人最低1×2mの空間が必要とされますので、その計算から収容できる人数を決定します。
 3にもつながる話ですが、居住許可エリアは最初からござやブルーシートなどを敷いて一目でわかるように場所を指定し、それ以外のところは居住禁止とします。見て分かるようにしておかないと、それぞれ好き勝手に居住空間の設営を始めてしまうので、それを防ぐためにも誘導時に「シートやござのある場所でお過ごし下さい」といった案内をするとよいでしょう。
 廊下や階段、出入り口付近はできるだけ空けるようにし、家族と家族の間には通路またはパーテーションで仕切りを入れるようにします。
 衛生環境を考えると、生活空間では基本は土足禁止とします。そうでない場合には居住エリアの高さを床よりも高めにしてください。
 これは被災地を歩き回った靴についている埃や塵、細かいごみといったものを床に寝ている人が吸い込まないようにするための措置で、あるならば段ボールベッドの上を居住空間にするともっとよいです。
 そして通路は、居住許可エリアの広さにもよりますが、広い場所なら車いすがすれ違えるくらい、狭い場所でも車いすが通れるくらいの幅は最低限確保するように設計して下さい。

3.壁際は必ず空ける

 人間の習性というのは面白いもので、個人の判断に任せると、殆どの場合壁際から居住空間が埋まっていきます。
 でも、移動や掃除の手間、後々の資機材の配置などを考えると、壁側を通路としておくほうが使い勝手がいいですし、歩行困難の人も壁を伝って歩くことが可能なので、移動がしやすくなります。
 2の居住許可エリアを設定するときには、ござやブルーシートで場所をはっきりさせると書きましたが、この場所を指定しているござやブルーシートは養生テープなどでしっかりと固定し、簡単に移動ができないようにしておきます。
 そうしないと、これらを持って壁際に移動する人が絶対に出てくるからです。
 壁際は空けること。そして壁面から居住許可エリアの間の通路は、2でも書きましたが車いすがすれ違えるくらいの幅がとれれば理想です。

 とりあえずはこの3つを考えながらご自身の避難所の設計図を作ってみて下さい。
 その上で収容人員を割り出してみると、自治体が作っている避難計画よりも収容人数がずいぶん少なくなることがご理解いただけると思います。
 避難所で安全そしてストレスを少なく過ごす気であれば、管理運営者は避難所の収容人員を超える避難者の収容はしないようにすることです。
 場合によっては、避難者の優先順位をつけてもいいかもしれません。
 大切なのは、区画整理の内容についてはその避難所を使う可能性のある地域にしっかりと共有しておくことです
 そうすることで、避難のタイミングによっては収容できないことがあると言うことがわかるはずですので、避難するための動機付けにもなります。