避難情報の再確認

 避難情報は現在は「レベル」で表示されるようになっています。
 数字が大きくなるほど危険が差し迫っていることがわかるようになっていて、過去の災害で「避難勧告」や「高齢者避難開始」といった言い回しがよくわからないという意見を反映したものですが、結果としてレベルだけでは緊急性が高いのか低いのか一般の方には理解されず、現在はレベルと発表情報の併用で情報が発信されています。
 ただ、この言い回しもちょっと難解な感じがするのでもっと簡単ないい方ができないのかなと考えてみました。
 一番問題になるのは、レベル3の「避難準備・高齢者避難開始」情報で、この情報、発表されて次のレベルに上がるまでには非常に間隔が空いています。
 内容は「このままの状態だと逃げる必要がある場合もありますので逃げる準備してね」という意味なのですが、この次の「レベル4 避難勧告・避難指示(緊急)」になるともう一部地域では災害が起きている状態なので、起きるか起きないかの境界線がレベル3ということになります。
 実際のところ、レベル3が出るとレベル4も出る場合が多いので、レベル3がでたら「逃げる準備して安全な場所へ移動開始」と考えると余裕のある避難ができると思います。
 このあたりはそれぞれの判断になりますのでこうしろとは言えない部分ですが、早めに逃げてしまえば少なくとも自分の命は確実に守れると言うことだけは確かです。
 避難所の開設は各市町村の防災担当課によって判断が異なるために一概に言えませんが、もしあなたが安全だとされている避難所に避難するときには、市町村の防災担当課に連絡しておくと避難所の入り口が開けてもらえることが多いようです。
 できれば緊急連絡先にお住まいの市町村役場の防災担当課の電話番号を書き加えておいてください。
 ちなみに、レベル4になると災害対応でてんてこまいになりますので、電話はまず通じません。同じ現象は消防でも警察でも起きますので、逃げ遅れたら行政機関に連絡して助けてもらうという発想は捨てた方がいいです。
 早めに行動を開始して、空振りでも怒らない。100回逃げて何も無くてもいいんです。逃げるのはあくまでもあなたの命を守るため。面倒くさいとか、今まで起きなかったからといった感覚的な逃げない理由を探さないでください。
 そういえば避難する場所についてですが、現在は新型コロナウイルスのことがあって大規模な避難所でも収容人員を押さえる方針が採られています。
 避難所はあくまでも行き場のない人に利用してもらい、つてや経済力のある人は知り合いのいる高台のおうちやホテルなどの宿泊施設を使うようにして3密を避けるようにしてください。
 また、自然災害は一度に一つしか起きないという保証はありません。
 一度に複数の災害が起きるかもしれないと考えて、それでも安全な場所を確認し、早めに避難行動を開始するようにしてください。

行動パターンを正しくはめる

 災害が起きそうなとき、自分の命を守るために避難をすることがありますが、一つ気を付けておきたいことがあります。
 それは、「行動パターンを正しくはめておく」ということです。
 例えば、水害で川から水が越水しそうな状況を考えてみてください。住んでいる家が低地であれば水没する可能性は高いですから、直ちに避難を開始する必要性があるでしょう。では、どこへ避難するのか。答えは「安全を確保できる高いところ」です。多くの人は近くの避難所への避難を選択すると思うのですが、「避難=避難所」ではないことに注意してください。
 漫然と「避難=避難所」と考えている人の場合、避難先の避難所が安全かどうかの検討はしていない場合がほとんどです。最近では避難所にその避難所がどのような災害なら安全かについて表示されているところも増えてきましたが、この表示はハザードマップの情報を前提にしてされていますから、それが常に正しいとは限りません。ハザードマップの想定を超えていれば、当然被災する可能性があるということは意識しておくべきです。

吉賀町の避難所所の一つ、吉賀高校体育館にある避難所表示。土石流と崖崩れ・地すべりの時には使えないことがわかる仕組み。この適応表はハザードマップがベースになっていることに留意。

 東日本大震災で多くの教員や生徒が犠牲になったとある小学校では、その小学校が避難所になっていてハザードマップでは津波でも水没しないとされていたことから、避難所を開設するしないで揉めているうちにみんな津波に飲まれてしまったという話(詳しくはwikipedia「石巻市立大川小学校」を参照)もあります。今いる場所に危険が迫っていて避難するときに必要な行動パターンは「避難所へ避難する」のではなく、「安全な場所へ避難する」です。
 緊急時にはどこへ避難するかを時間はありません。
 水害でも津波でも、より高い場所へ避難してあなたの安全を確保すること。結果的にその場所が無事だったとしても、高台に逃げてはいけない理由は何もないのです。
 同じように、避難しなくてはいけない災害が起きたときには、どのようにすれば自分の安全を確保できるのかについての行動パターンを作っておいてくださいね。

避難開始のルールを決めておく

 災害情報や警戒レベルについては以前「災害時の情報にはどんなものがあるだろう」という記事で触れたことがありますが、警戒レベルについてはレベル順に発表されるとは限りません。
 短時間に集中してピンポイントで降るような雨の場合だと、警報から二つレベルが上がっていきなり「避難勧告」が出るケースも想定されます。
 そのため、警報が出たらその後どのように雨が降りそうなのかについてアメダスや降雨量、雨雲レーダーなどの気象情報を確認して置かなければなりません。
 緊急時に判断するときには、大抵の場合「これくらいなら」とか「まだ大丈夫」といった正常性バイアスによって気がつくと避難するのに手遅れの状況になっていることもよく起きますので、自分たちが「何が起きたらどこへ避難を開始するのか」を平常時に決めておかなければ冷静な判断はできないと思います。
 平常時に決めた避難基準、例えば「時間雨量が30mmを超えたとき」や「近くの川の水位が一定量を超えたとき」「家の前の側溝が溢れたら」などの条件が満たされたら、いろいろ考えずに避難を開始することをルール化しておきます。
 もし避難後に何も無くても、「何もなくてよかった」のですから喜べばいいのですし、判断基準がおかしいかなと感じたら、その感覚を元にして避難開始のルールを変更すればいいだけの話です。
 「避難所」が開設されていなくても「避難できる場所」を決めておけばそこで過ごせばいいですし、「避難場所」であれば条件なしに避難をすることが可能です。ただ、避難場所は殆どの場合場所だけの提供となりますので、雨を凌げる装備が必須となることに注意してください。
 また、水没や崖崩れなどの心配が無い場所や近くに避難できる場所がどうしても見つからないなら、家の中の上層階への避難でもやむを得ません。(避難所の詳しいことについては当研究所の投稿記事「避難所の種類と機能について考える」をご覧ください。
 いずれにしても、避難開始のルールを決めておくことで避難遅れはなくなりますから、どうなったらどこへ避難するというおうちのルールを作って、家族みんなで共有しておいてくださいね。