お水を持って歩こう

 災害が発生して断水が起きると、自動販売機やコンビニなどの店頭から真っ先に消えるのがお水です。
 特に都会地ではその傾向が強く、公共交通機関が止まったときなどは徒歩で帰宅する人達がこぞって買い込んで遅れると水分が何も手に入らなくなります。
 断水していなければ水道で水を汲むことができるのですが、水を汲むための容器がないとどうにもなりません。
 そして、水のペットボトル以上に水を汲んで運べる容器が手に入る確率は低いです。
 そこで、普段持ち歩くカバンにペットボトルや水筒を入れてお水を持って歩くようにしてはどうでしょうか。

ダイソーで見つけた300円のステンレスボトル。140ml入るので、ちょっとした持ち歩きに便利。重量もそんなになく、カバンの中でも水漏れしにくいので便利ではある。


 最近は持ち歩くのにも便利な少量のペットボトルやステンレスボトルも出ていて、これならカバンに入っていてもさほど邪魔にならないと思います。
 ステンレスボトルで水を持ち歩くのならば、普段使いの水筒にすれば、中の水が痛んだりすることなくいざというときの備えもできます。
 殆ど中身がなくなったときに被災したのであれば、身の安全の確保をしたら、すぐに水栓で水を汲めば水は確保できます。電気やガスよりも、水道が止まるのはずっと後になりますから、容器さえあれば水の確保はそんなに難しくないと思います。
 水は飲むこと以外にも、傷口の洗浄やタオルなどを濡らして身体を冷やすなど、さまざまな目的に使うことができ、いざというときに確実にあなたの命を守ってくれますから、特に外回りの多い人や非常時に長距離を歩かなければいけないような人は、是非水を持ち歩く習慣を持つといいと思います。
 いざというときに備えて、小さな安心感を準備しておいてくださいね。

重いものは下に置く

 聞く人が聞けば「なにを当たり前のことを」と言われてしまいそうですが、地震発生時にあなたが怪我をしないためには、肩以上の高さには重たいものを置かないことが鉄則となります。
 では、ご家庭や職場にある棚に入っているものを一度確認してみて下さい。
 案外と普段使わない重たいものが高いところに置かれていませんか。
 最近ではあまり見なくなりましたが、百科事典や何かの全集といった書籍は、普段はあまり読まないということで本棚でも高いところに置かれていがちです。
 台所だと圧力鍋や大皿、普段使わない機械類が食器棚やシンクの上の棚に無造作に置かれていませんか。
 職場だと、説明書や印刷用の紙、チラシ、機械類といったものが高い位置に置かれていないでしょうか。
 空間を効率的に使おうとすると、どうしても高い位置にものを置くことになってしまうのですが、高いところに重たいものを置くと、地震の際にそれが落ちたら大けがをしてしまいます。
 収納の基本でもあるのですが、重量物は下へ、軽いものは上へを頭の中に入れてお片付けをするようにしてください。
 落下物で怪我をしない、させないように、重たいものの収納位置に少しだけ気をつけるようにしてくださいね。

「生きている」という情報を発信する

 「便りがないのは無事な証拠」と言いますが、こと大規模な災害にあったときにはそういうわけにもいきません。
 いち早く自分が無事、あるいは怪我はしているが生存していることは自分の知り合いに伝えておいた方がよいと思います。
 特に被災地外から見ると、被災地はどうなっているのかさっぱりわかりませんので、あなたが生存情報を発信することで、とりあえずは大丈夫だという安心感が確保でき、余計な気を揉ませずにすみます。
 一番安心できるのは声の聞ける音声電話あるいはテレビ電話なのでしょうが、大規模災害では通信規制が行われてまともに通じなくなります。
 そうすると、メールや災害時伝言ダイヤル、災害時伝言掲示板、SNSといったものに頼る必要が出てくるのですが、停電などで無線通信設備が止まってしまうと使うことができません。
 また、いずれも通信規制がされる可能性が高いので、うまく発信できても受信する側にいつ届くのかは神のみぞ知るといった感じになります。
 それでも発信しないよりは遙かにマシですから、自分が無事だと伝えるためには、積極的に情報を発信します。できれば複数の情報発信手段を持っておくといいでしょう。
 生存情報は、可能であれば文字情報だけで。通信規制時にメールやSNSで写真を送ると通信環境にかなりな負荷をかけてしまうので、写真は状況が落ち着いてから発信するといいと思います。
 生存情報としては「あなたが生きている」ということと、わかれば現在位置、これからどこへ避難するのかといった情報を出しておくと、あなたの関係者の人達はとりあえず安心すると思います。
 被災地外から被災地への連絡は、いろいろな通信手段はありますが、基本的には殆ど通じないと考えていいです。ただ、被災地から被災地外への情報発信は逆よりはかなり速やかにできるはずなので、被災して生きているなら、どんな手段でもいいのでまずは「生きていること」を発信するようにしてください。

ケミカルライトをカバンに1本

 災害が起きた後はちょっとしたことで不安に陥ってしまうものです。
 電気や水道が止まっているかもしれません。避難したら、普段と異なる場所で場合によっては見知らぬ人達と長時間過ごさないといけなくなるかもしれません。
 そういうときにこころが折れてしまうと立ち直れなくなりますので、気分を落ち着けるための温かい飲み物が飲めるような準備、しっかりとした睡眠をとるための睡眠セット、そして正しい情報を集めるためのラジオは非常用持ち出し袋に入れておきたいものです。
 そして、明るさを確保することも実は気分を落ち着けるためには非常に有効だと言うことを知っておいてください。
 懐中電灯やランタン、ヘッドライト、ロウソクなど、灯りはいろいろとあるのですが、普段のメンテナンスがどれくらいできているかということと、発生した災害が何かによって使える道具が変わってきます。
 例えば、地震が起きたときなどは火は絶対に使ってはいけません。ガス漏れなどで爆発したり、揺れでひっくり返って火事が起きたりする可能性があるからです。
 懐中電灯やヘッドライト、電池式ランタンがあればいいのですが、勝手にスイッチが入っていて電池が切れていたり、きちんとメンテナンスできてなくて電池が入ってない、液漏れして使えないなどが問題として起こり得ます。
 また、非常用持ち出し袋を持って逃げている暇がない場合もあると思います。
 そんなときに備えて、普段使いのカバンにケミカルライトを1本入れておくといいと思います。
 コンサートなどでファンが振っている明るい棒、一般的にはサイリュームと呼ばれているものなのですが、化学反応で光を得るため総称としてはケミカルライトというそうです。熱も出さず、保管の危険性もさほどなく、常温保存できることから、非常に便利なものです。そしてその用途に応じてさまざまなものが存在します。
 強力な光で30分程度照らしてくれるものから、そこまで光は強くはないが半日以上光り続けてくれるものなど、ご自分の利用スタイルで準備しておくといいと思います。
 さほど重くなく、場所もとらないサイリューム。気をつけないといけないのは衝撃ですが、カバンの中でひどい扱いにならない限りは勝手に光っていたと言うこともない優れものです。
 そんなに高くもない便利なアイテム。あなたの普段使いの袋に一本入れておくと安心ですよ。

新型コロナウイルス感染症と災害避難

新型コロナウイルス感染症が地方でもじわじわと広がっているようですが、そんな状況でも災害は発生します。
梅雨入りして、ここで起きやすいのは大雨と水害ですが、お住まいの場所はそういった災害でも安全を確保できる環境でしょうか。
さまざまな事情で、災害が起きそうなときに避難所へ避難する場合、新型コロナウイルス感染症対策はしっかりとして避難をするようにしてください。
具体的には、非常用持ち出し袋に避難所で使用するマスクと、使用後に捨てるための密閉できるゴミ袋のセット、消毒用アルコール、体温計を入れておくようにしましょう。
また、衛生環境を考えると直接手で触れずに食べられる非常食も準備しておいた方が安心できると思います。
毎回書くことではありますが、避難所は場所貸しですので避難者用の設備は何もありません。必要なものは自分で持って行くことを忘れないで下さい。
そして、避難所ではできるだけ間隔を開けて待機場所を確保します。段ボール製やプラスチックなどでできた間仕切りがあれば一番良いのですが、ない避難所も相当数ありますので、その場合にはソーシャルディスタンスをしっかりと取ることです。
勘の良い方はお気づきだと思いますが、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行っている避難所では収容人員が想定よりもかなり少なくなります。
ひどいところになると、収容者が1/10になるようなケースも想定されますので、天気予報や気象庁発表の注意・警戒情報で逃げた方がいいと判断したら、早めに避難することをお勧めします。
レベル4避難指示が発令されるときには、小さな避難所はほぼ定員オーバー状態になっていると考えて間違いありません。
早めに避難すれば、思った避難所への避難ができる可能性が高いですし、仮に定員オーバーでも他の避難所を探す時間的余裕ができます。
あなたの命を守るために、不安を感じたら避難をすることをお勧めします。

ハザードマップを確認しておこう

 梅雨入りし、雨が続く毎日になりそうな感じですが、あなたがお住まいの場所はどんな災害の場合に避難しなくてはいけないのかを知っていますか。
 避難する対象としては、地震、水害、台風、そして土砂崩れや火事等があり、それぞれに安全に逃げる経路や安全な避難所を検討していることと思います。
 このうち、雨で気をつけないといけないのは、水害と土砂崩れ。
 水害では浸水を、土砂崩れでは巻き込まれることに注意しておかないといけませんので、これらの情報が一目でわかるハザードマップを確認しておきましょう。
 ハザードマップでの水害は、ある条件下での浸水状態を表しているもので常にそうなるとは限りませんが、急傾斜地や地すべりなどの土砂崩れが起きるかもしれない場所については影響範囲と危険な場所がしっかりと明記してありますので、お住まいの地域にある場合には、しっかりと把握しておいてください。
 これは避難時に限らず、通勤通学経路を決めるときにも確認しておき、できる限りそういった場所を避けて経路を設定しておくようにしてください。
 ちなみに、小学校の通学路に指定されている経路は安全という方もいらっしゃるのですが、小学校の通学路は車との事故を防ぐことを主眼にして設定されていることが多く、もう何十年も見直されていないといったものもざらにありますので、あまり信用しない方がいいと考えます。
 ハザードマップを元にしてできるだけ安全な場所を移動経路にしておくこと。そして自分が安全だと思われる避難場所を確認しておくこと。
 これからの時期、さまざまな災害が起きる可能性がありますから、それに備えて確認しておいてくださいね。

靴のにおいを減らす方法

 長時間靴を履きっぱなしだったり、かなり激しい運動をしたりした後に靴を脱ぐと思わず眉をしかめてしまいそうな臭いになっていることがあります。
 足をきれいにしたり、きれいな靴下に履き替えたりするとそこまで気にならない状態になりますが、避難所生活ではそういうわけにいかない場合もあります。
 ストレスの多い避難所生活では、靴のにおいが喧嘩の元になりかねませんから、ちょっとした消臭の方法を知っておくと便利ですよ。
 今回は2つの方法をご紹介します。

1.使用済みの使い捨てカイロを使う

使い捨てカイロには活性炭が含まれていますので、カイロとして使用した後、靴に入れておくと脱臭と湿気取りの効果があります。
湿気も靴のにおいの原因になりますから、これを活用することでにおいを消すことができます。

2.10円玉を使う

 10円玉を靴の中に入れると、10円玉の銅イオンでにおいの元となる細菌を殺菌し、においを消すことができます。10円玉1枚では効果が薄いので、靴1足に5~10枚程度入れておくと効果的です。
 ただし湿気まではとってくれませんので、定期的に陰干しするなどして靴の中を乾燥させるようにするといいでしょう。

 ひょっとすると、一番効果的なのはこの両方を一緒にすることかもしれません。
 においの元を絶ち、湿気を取り去ればにおいが籠もることもありませんので、災害時に限らず、気になる方は一度試してみて下さい。

大雨への備えをしておこう

2020年の氾濫危険水位まで上昇した高津川高角橋付近。このあと雨がやんで事なきを得たが、今年はどうなるかわからない。

 令和3年5月15日、中国地方は梅雨入りしました。観測史上、2番目の早さだそうです。
 ちなみに、一番早かったのは1963年5月8日だそうで、その次が2011年5月21日となり、今回の梅雨入りが2番目の早さとなったということでした。
 さて、ここ最近の雨の傾向を見ると、短時間にピンポイントで大雨が降るというのが続いています。
 排水能力を超えて内面越水をしてしまうケースも増えていますので、家の雨どいや側溝の掃除は早めにしておいた方がよさそうです。
 その上で、水没しそうな環境にあるのであれば、土のうや水嚢の準備、そして貴重品の階上への移動は早めにやっておきましょう。
 そして、線上降水帯には要注意です。これが発生すると、局所的な大雨が降り続くことになり、水害の危険性が増してきます。
 避難所だけでなく、安全な宿泊先への移動など早めの避難をするようにしてください。特に高齢者の方や普段の生活に人の支援が必要な方については、災害時に備えて万が一の受け入れ先や受け入れ体制、被災後の生活場所について予め詰めておきましょう。備えて使わなくてすむことを目標にして避難計画を作ることです。人や地域によっては備えることが害悪のようなことを言われる方もいらっしゃいますが、考えたくないから備えないというのはあなたや周囲の人の命を危険にさらす行為です。
 できる範囲でしっかりと備えて、いざというときにも命を守る、命をつなぐ行動ができるようにしておきたいですね。

防災グッズと代用品

代用品作りの一つとして防災クラブでやっているゴミ袋で作る防寒着作成の一コマ。あるのなら普通に合羽の方が確実で安心。あくまでも代用品を知ることが目的の講座。

 防災グッズは防災用のためにだけ準備すると考えると場所をとってしまう厄介者になってしまいます。
 ローリングストックという言葉もありますが、必要なものを少し多めに準備することである程度以上はものを増やさず、生活の質も下げずにすむような災害への備えができると思っています。
 ここでよく聞かれるのが代用品の話ですが、代用品はあくまでも代用品でしかなく、そのために作られた道具と比べるといろいろな意味で不便を生じることになるので注意してください。
 よくあるのが、おむつの作り方。
 おむつがないときにビニール袋とタオルで作るよう書かれているものが多いのですが、避難生活を過ごすときにその代用品で凌ぐとすると、いったいどれ位の材料が必要になるでしょうか。
 タオルは吸水力はそこまで大きくありませんし、ビニール袋は蒸れて子どもの肌がかぶれたりします。汚れたタオルはそのままにしておくと汚臭が出てきますので、その処理についても対応が必要となります。
 本当に緊急時何も無い状態ならともかく、手間や発生する問題を考えると、紙おむつを1週間分くらい余計にストックしておいた方が役に立ちます。
 布おむつ派の人も、災害時には布を洗うことが難しい場合もよくありますから、数日程度凌げるだけの紙おむつを準備しておくようにしておきましょう。
 そして、心配だからといって大量にストックするのも御法度です。
 おむつが必要な年齢の子どもは、あっという間に大きくなりますので使える期間は短いです。そのため、目安としては1週間または普段使っているおむつを一袋多く準備しておくといいと思います。
 サイズアウトしたおむつは、例えば子どもの通っている保育園や子育て支援センターなどで使ってもらえないか聞いてみて下さい。割と喜んでもらってもらえることが多いです。
 そして、引き取り手がなかったからといって捨てる必要はありません。給水部分を何枚か重ねると、大人用の非常用トイレを作ることができます。これも代用品の一つですね。代用品のことは知っておいた方が絶対にいいですし、作り方もマスターしておいたほうがいいです。
 でも、最初から代用品で対応することは考えず、可能な限り普段使っているもので対応できる方法を考えておいてください。
 ちなみに、代用品としてよく出てくるビニール袋は、最近では地球温暖化やエコ問題から災害時に確実に手に入るとは限らない状況になっていますから、必要があれば非常用持ち出し袋に備えておくことをお勧めします。

手洗い、できていますか?

 新型コロナウイルス感染症がなかなか終息しません。終息しないどころか何度目かの蔓延が起きているようです。
 アルコール消毒やマスクの着用、不要不急の外出自粛を続けていても感染が拡大していることには正直驚きを感じています。
 ところで、あなたは石けんでの手洗いはしっかりとできていますか。
一時期アルコール消毒液が不足したときに、石けんによる手洗いが推奨された時期があり、そのおかげでか、去年は普段流行る感染症各種が殆ど見受けられなかったようです。今年に入ってから、「コロナ疲れ」といわれるような状況になって、さまざまな感染症が小さい集団ですが流行始めているようです。
 アルコール消毒はあくまでも簡易的なもので、基本的には流水による石けん洗浄が衛生を確保するための要件なのですが、アルコール消毒液が潤沢に手に入るようになった結果、流水による石けん洗浄を忘れているのではないかという気がするのです。
 被災地で感染症が流行するのは、充分な水が手に入らないことに起因する衛生環境の悪化が原因です。いくらアルコール消毒液があっても、いつもしっかりとした消毒ができるとは限りません。
 石けんでウイルスを浮かせて流水で流す。災害対策から見た衛生管理ではそれが一番確実で効果的な感染症対策です。
 マスク着用やアルコール消毒、不要不急の外出自粛に加えて流水を使った石けん洗浄を忘れないようにしたいですね。
 参考までに、しっかりとした手洗いの方法について紹介されている動画の一つをご紹介しておきます。手洗い方法で悩んだら、一度確認してみてください。