支援物資で送られてきて困るもの

 ある程度以上の大規模災害になると、全国各地からさまざまなものが支援物資として送られています。お互い様の精神で、それは非常に素敵なことだと思うのですが、送られたものが現地に迷惑をかけているという現状があることをご存じですか。
 一番困るのが「私はもう使わないけど、まだ使える」といった感覚で送られてくる中古の服や靴、使い古した靴下や下着など。衣類の中古はまず引き取り手がありませんので、最終的にごみとして処分することになります。
 支援物資はごみの送り先ではありません。あなたが使わないものは他の人も使いませんので、あなたが使うだろうなというものを送るようにしてください。
 次に多いのがどなたか一人に届くようにとセットされたもの。中にお手紙が入っていたりして非常に素敵なのですが、そういったものが支援物資の集積場にくると、中に何が入っていて誰がつかうことを想定しているかがわからず、場所を取るだけの死蔵品となります。中身を確認して仕分けろといわれるかもしれませんが、毎日大量の物資をたくさんの避難所、避難者に届けなければならないこの仕分け業務は、行政職員や配送を請け負った業者の方が休む暇無く行っているものです。
一つ一つ中をていねいに確認して送り先を決めている余裕は現場にはありません。どうしても個別にセットした支援物資を送りたいのであれば、外箱に中にどんなものが入っているかのリストをつけてください。それもできれば細かく記載して欲しいと思います。そうすれば、場合によってはその中身に適合した方のいる避難所に送られる可能性があります。
 それから、テレビなどで「○○が不足しています」という情報が流れた後に届く大量の「○○」。現地で不足するものは刻一刻と変わっていきます。テレビで不足していることを放映していたからと言ってその物資を大量に送りつけても、寸断された流通網では届いた頃には必要がなくなっていることも多々あります。被災地の流通網は殆ど機能していないと考えていただき、もしも不足している物資を送るのであれば、自身で直接該当する場所へ送り届けるようにしてください。
 また、生鮮食料品は絶対にやめてください。避難所で生鮮食料品が不足しているからといって宅配便で発送しても、被災地には普通にとどくことはありません。1週間から2週間、場合によっては一月以上かかることもあります。生鮮食料品は確実に腐ってしまいますので、送るのは絶対に止めてください。

 ところで、支援物資で助かるのは箱詰めされている同一品目の新品です。輸送も楽ですし、送り先も考えなくていい状態のものなので仕分けが非常に楽です。
 また、Amazonなどで商品を購入し、その商品を被災地へ送るようなシステムが作られていますので、そういったもので送っていただければ非常に助かります。
 繰り返しますが、災害後の支援物資を仕分けする集積所の機能はさほど高くありません。避難所等から送られてくる必要とされる物資を集めて送り出すだけで精一杯なので、なるべく仕分けのしやすい形にして送るようにしましょう。
 あと、寄付金なら無駄になることがありませんので、ものではなくお金を寄付するのもいいと思います。被災地で機能を回復するためにはさまざまなものにお金がかかりますが、そのお金がなかなか手配できずに困っている自治体や団体は非常に多いですから現金による寄付は非常に喜ばれます。
 災害が起きるとさまざまなものが送られてきて物資集積所は大混乱を起こします。流通経路や集積所の仕分けに負担をかけないためにも、支援物資の送り方を考えていただければと思います。

自分に必要なものと量を数字で把握しているか

 あなたは今日どれくらいの量のお水を摂取しましたか。こんな風に聞かれたら、人によっては「水は飲んでない。コーヒーだけ」というような人もいるのではないかと思いますが、ここでいうお水とは水分摂取量のこと。水に限らず、味噌汁やスープと言った食事から摂取する水分も含めての量を聞いているのですが、あなたは正確な数量を説明できますか。
 もうひとつ質問をしてみます。あなたは今日、トイレでどれくらいの量のおしっこをしましたか。
 何かの事情でおしっこの量を計測することでも無い限り、おしっこの量を答えられる人は少ないのではないかと思います。
 今回こんなことを聞いているのは、実は非常用持ち出し袋や備蓄品を揃えるときにこういった数字が必要になるからです。
 摂取する水分量は、政府の推奨では一日に2リットルということになっていますが、これは飲むだけでなく食事から摂取するようも含めてと言うことにされています。でも、お水をよく飲む人もいればあまり飲まない人もいますから、適正な量はあなた自身が把握しておくしか分かる方法はありません。おしっこの話も同じで、その量や回数によって、準備すべき簡易トイレ・携帯トイレの量や質が変わってきます。
 非常用持ち出し袋や備蓄品の内容は内閣府防災や消防庁、警視庁などがいろいろと紹介していますが、細かいところになると自分で準備しないとほぼ100%過不足が生じます。それを適正なものにするために自分に関する数値を知っておく必要があるのです。
 とても面倒くさい作業ではあるのですが、この数字を知ることによって準備に無駄がなくなり、いざ避難するときに変なものをもっていかなくて済むのです。
 自分に関する数字はいろいろありますが、食事の量、水の摂取量、トイレの回数と量など、基本に関する部分だけはきちんと押さえるようにしてください。そうすることによって、災害時や災害後に自分の体調変化を数字で把握することができ、素早い対応をすることができるようになりますよ。

デマの怖さ

 街中からマスクが消えています。気がついたら、トイレットペーパーやティッシュペーパーもなくなっています。どうやらSNSでマスクの増産をするので他の紙が供給されなくなるというデマを流した方がいらっしゃって、それを信じた人が買い占めに走り、それを見た他の人がさらに買い占めて・・・、という悪循環に陥ってしまっているようです。どういうものか、全国的に影響のある出来事が起きるとなぜかトイレットペーパーが無くなります。それだけ生活に必要と思われているのでしょうか。確かに、トイレに行って紙がないというのは考えたくないですから、買い占めに走る気持ちもわかります。
 まぁそれはいいのですが、非常時には普段なら信じないようなおかしなことが本当のように思い込まれてしまってパニックになってしまうことも多いです。その情報がどのような根拠によるものかを確認すると怪しいかどうかある程度予想ができるわけですが、大抵の場合、ぱっと見はもっともらしい理由がくっついていたりします。
 今回の場合は不織布と紙。使い捨てマスクは材料が紙のように見えますが、実際のところはプラスチック繊維です。不織布を作る材料として紙を使うこともあるのですが、マスクに関しては紙は使っていません。つまり、プラスチック繊維を使うマスクの生産増強と紙を使うトイレットペーパーの不足には何の因果関係もないということが分かると思います。

マスクの素材表示。いずれも本体はポリプロピレンというプラスチック繊維。

 「使い捨てマスクは紙のように見える=原材料は紙」という先入観と「材料の量は決まっているから、増産すれば減産されるものもある」という思い込み、そして「無くなったら困る」という不安感が現在の事態を招いていると考えられます。
 こういうデマが発生すると、なぜか義憤に燃える人が、その人が騒動の原因となったと考えている対象に強烈なクレームを入れたり、不買運動がされたりして、根拠のないはずのものが深刻な影響を周囲に発生させてしまい大問題が起きてしまうこともよく起こります。
 困ったことに、デマを拡散する人は殆どの場合、善意からその行動が起こします。よかれと思って拡散した情報によってさまざまなパニックが起こりうるわけです。そこで必要なのは、事実だけを見るということと、憶測や推測による発言はしないこと、そして不安感をあおらないこと。順当に行くと、この次は食料品不足の情報が出てくるのではないでしょうか。お米や缶詰、カップラーメンが不足するような情報が出てくると、また買い占めに走る人が現れます。
 適正な情報と適正な準備、そして意味不明に義憤にかられないこと。これだけで殆どのデマは沈静化できます。デマがデマを生むような事態だけは避けたいものです。そして、他の人に情報を提供するときには、その情報が正確なものなのかどうかを自分できちんと検証してから伝えるようにしてください。

訓練はうそをつかない

 「訓練はうそをつかない」という言葉がありますが、あなたは防災訓練に参加したことがありますか。
 人間が作った訓練設定なんぞ意味がないという方や、かっこわるい、時間の無駄などといった意見もよく聞くのですが、災害が起きたときに一番犠牲になるのがそういった理由で訓練に参加していない人達であることはご存じでしょうか。
 全てを理解した上で自分で勝手に訓練をするからいいという方はともかく、訓練に参加しない人というのはそもそも状況が理解できません。そして、何をどうしたら助かるのかと言うことも理解できていないので、まごまごしているうちに災害に襲われてしまうということです。
 防災訓練に参加すれば必ず助かるとまでは言えませんが、それでも実際に身体を動かした分だけは身になります。それが繰り返されることで、いざというときには身体が動いて自分の安全を確保する行動を取ることができるのです。
 自動車の運転を考えてみればわかるかもしれませんが、教習所に行っていたり免許を取ったばかりのときには、全ての行動をいちいち確認しながら車を動かしていたと思います。それが、毎日車を運転していると、いつの間にやら無意識に車を運転している状態になっています。これは身体が段取りを覚えてしまったからで、どんなものにでも当てはまるのではないかと思っています。
 災害はいつか必ずやってきますし、日本に住んでいる以上は何らかの災害に巻き込まれる可能性は非常に高いですから、防災訓練に参加して経験値を積んでおくことは無駄にはなりません。
 訓練はある程度想定されて条件下で行われるものですから、実際にその想定通りになることはまずありませんが、経験を積むことで予測できるものが増えていきます。そうすると、予想外の事態にも案外冷静に取り組むことができるようになるものです。

「訓練はうそをつかない」

 毎年同じ内容の訓練かもしれませんが、参加した分だけ確実に生き残る確率は上昇します。できるかぎりさまざまな機会を作って防災訓練に参加されることをお勧めします。

吸水土のうを考える

 防災訓練に出ると、心肺蘇生訓練と同じくらいの頻度で登場するのが土のう作りです。特に水害の発生しやすい地域では、必ずと言っていいほど訓練に組み込まれていて、参加した方もいらっしゃるのではないかと思います。
 この土のう。土のう袋と砂があれば誰でも作ることができ、水防工法を上手にすると、家や店舗の水没をある程度までは防ぐことが可能なのですが、水害が発生しそうなときに都合よく土のう袋と砂が充分に手元に準備できるのかという問題があります。また、土のうを積むのも災害時には自分のところは自分でやることになるでしょうから、効果的な土のう積みをしようと思ったらかなりの困難が予測されます。特に高齢者や女性などが土のう積みをできるかと言われれば、ちょっと難しいのではないかなと考えます。
 かなり以前に吸水ポリマーを使った土のう、吸水土のうが出たという話を聞いて、これで土のう積みは今までの土のうではなくこの吸水土のうに変わっていくんだろうなと思ったのですが、その後話をとんと聞かなくなり、水防工法では相変わらず普通の土のうを使っての作業。いったいどうなったのかと思っていたところで、近くのホームセンターで見つけてしまいました、吸水ポリマー土のう。

 まずは値段が高いです。そして基本は使い捨て。吸水土のう一つで普通の土のうが何個準備できるかなと思えるくらいの値段では、さすがに訓練では使えませんし、量の必要な本番の水防工法では登場しないでしょう。
 ただ、軽いのはメリットです。買ったのは4枚入りでしたが、軽々と持てます。また、薄いので持ち運びも保管も簡単。この吸水土のうの場合、吸水すると40cm×50cm×10cm、20キロくらいの重さになるそうなので、しっかりと役には立ちそうです。

裏の注意書き。いろいろと細かな注意が書かれている。

 でも、この吸水土のう。使う前に水を吸水させないと使えません。溢れてきた水に放り込むとそこで膨らんで水を止めてくれるようなイメージがあったのですが、給水時間が2分かかるそうなのでそのまま放り込むと流されて全く違う場所に土のうができてしまいそうです。

洗面器との比較。かなりでっかい。

 一袋が結構でっかいので、この吸水土のうに水を吸わせようと思ったら、お風呂の湯船くらいしか場所がなさそうです。湯船で水を吸った20kgの吸水土のうを必要な場所まで抱えて移動はかなり厳しいなと感じます。
 ちなみに、膨らませるときには真水でないと駄目との記載がありましたので、ひょっとすると入浴剤の入ったお湯だとうまく吸水できないかもしれません。
 この吸水土のうの外袋に書いてあったのですが、あくまでも「非常用」として普通の土のうを補うような使い方になるのかなと、実物を見る限りでは思いました。
 とはいえ、保管が楽で誰でも簡単に移動・展開できる吸水土のうは便利なものではあります。普通の土のうが作れない、間に合わない事態に備えて、準備しておくのもいいのではないかと思います。

正しく知って正しく怖がる

 毎日新型コロナウイルスの話題一色になっていますが、新型コロナウイルスがどんなものかきちんと理解している人がどれくらいいるのだろうかと感じることがあります。
 マスメディアも無駄に人を怖がらせるような情報が多く出ていますし、インターネットにある情報も、何が正しくて何が間違っているのかが判断できないくらいいろいろ出ていて、混乱に拍車をかけている状態です。
 ただ、こんな状態で面白いなと思うのは、新型コロナウイルス対策として奨励されているアルコール消毒や手の洗浄の徹底、人混みを避ける、咳エチケットなどの対策をみんながしている結果、風邪にかかって病院にくる人が減っているそうです。風邪くらいで病院に行くのが怖くなったのか、はたまたかかっている人が減っているのか。特定の病院や薬局の人達からのお話なのでどこまで汎用性があるかはわかりませんが、いわゆる風邪のウイルスもコロナウイルスの一種なので、それなりにちゃんとした効果が出ているということなのだろうなと思います。正しい対応をしても100%感染しないと言い切れないところが感染症の難しいところではありますが、新型コロナウイルス対策として奨励されている衛生管理を今後もきちんと続けることができれば、風邪やインフルエンザにかかる人はずいぶんと少なくなるのだろうなと感じます。
 新型コロナウイルスによる大規模な感染症も含めて、人というものは正体が見えないと非常に恐怖を感じて疑心案議になってしまうものです。その状態では自分の中に「こうなっているはずだ」というバイアスが存在していますので、正しい知識がいくら伝えられても自分のバイアスから外れていると「信用できない」とされてしまうのが現状です。
 それを防ぐためには、普段からさまざまな情報に接していろいろなことを知っておくことです。災害という敵を知ることは、災害対策を立てるときの最初の一歩ですから、ここができていないと何をしたらいいのかわからなくなってしまいます。その結果、トイレットペーパーの買い占めに走ったりして市中の物資不足を進め、それがさらなる恐怖心をあおるという悪循環になってしまいます。
 災害は、たとえそれがどんなものであれ発生するメカニズムは必ず存在しますから、それを知ることで対策も組むことができます。正しく知っていれば怖がるべきポイントと備えるべきポイントがはっきりするので、そこだけ押さえて対策をすれば、訳の分からない行動を取らなくてもすむので精神的にも安心です。
 災害発生時にはいろいろな問題が発生しますが、その問題の多くは理解できないものに対する恐怖心に始まるパニックが大本になっています。
 何か問題が発生したなら、まずはその問題が何なのか、対処策はどのようにすればいいのかの検討をしましょう。その検討結果に従って備えを進めていくことで、パニックに巻き込まれず、精神衛生上もよい状況が保てると思います。

 余談ですが、現在足りないと言われているマスクですが、もしあなたが災害用の非常用持ち出し袋や備蓄品を準備しているのであれば、その中身を確認してみてください。
 市販品の非常用持ち出し袋や備蓄品には、塵や埃を防ぐためのサージカルマスクが入れられていると思いますので、ひょっとしたらマスクが見つかるかもしれませんよ。

新型コロナウイルスと備蓄食料

 新型コロナウイルスでは、政府が学校閉鎖まで打ち出してきましたが、それに伴ってか、インスタント食品の売れ行きがすごくなってきているそうです。
 家に籠もってウイルスをやり過ごそうと言うことなのでしょうが、生鮮食料品はウイルスで汚染されているかもしれないから買わないというような極端な話もあるやに聞きましたので、今回は備蓄食料について考えてみることにします。

1.備蓄食料とは?

 備蓄食料とは、災害など何らかの理由で流通が途絶または滞りがちになったときに命を繋ぐための保存型食料のことです。、
 備蓄食料には大きく分けると二つのタイプがあります。一つは非常用持ち出し袋に入れていつでも持ち出せるようにしてある非常食。そしてもう一つは状況が落ち着いて安定した食糧供給が再開されるまで食べ繋ぐための備蓄品です。また、長期保存ができるタイプのものとそうでない普通のものがありますので、これらを組み合わせて命を繋ぐための食料を備蓄しておくことになります。防災教室などでよく言われているローリングストック方式は、賞味期限が数ヶ月から一年程度の普通の保存食や乾燥食品を普段の食生活に組み込むことで日常生活の中で食料の更新をしていくという考え方です。また、長期保存タイプは保存期間満了までは点検不要で楽なのですが、単価が高いことと、保存期間が長すぎて逆に点検を忘れてしまうような事態がよく起こりますので、自分の生活スタイルにあわせた備蓄を検討すればいいと思います。

2.備蓄食料に向いているもの

 備蓄食料の候補としてまっさきに上げたいのはお米です。水や電気、ガスがきちんと供給されていれば簡単に白ご飯が炊けますし、雑穀を混ぜると栄養価も高い食事にできます。住んでいる人数に合わせて一月分位残るように補充していけば、主食として困ることはまずないと思います。
 あとはパスタやうどん、そばの乾麺、干し大根や高野豆腐といった乾物、缶詰などを組み合わせると繊維質と栄養がしっかりととれるでしょう。ビタミン類の補充を考えると、マルチビタミン錠や粉茶なども用意しておくといいと思います。
 インスタント食品、とくにインスタントラーメンは塩分が多く繊維質が不足するため、単品で備蓄品にすることはお勧めできません。備蓄する場合には、何らかの乾燥野菜を組み合わせて使えるような方法も考えておいてください。

3.新型コロナウイルスに対する備蓄食料

 どうやらWHOの見通しよりも感染力は遙かに強いようで、新型コロナウイルスは災害であることは間違いないと思います。
 人が集まるイベントや集会が片っ端から中止され、学校も4月前半まで休校して欲しいという要請の出るような状態だと先が見通せませんので、不安になってしまうのも当然です。
 ただ、イベントや集会が中止されたからといって物流が完全に止まってしまっているわけではありませんし、お店での食料品販売がなくなるというわけでもありません。これが他の自然災害と異なる部分で、物流が生きている限りは生鮮食料品が手に入ります。それを考えると、最悪の事態に備えてインスタント食品を準備するのは必要だと思いますが、現時点で備蓄食料に切り替えて生活する必要はまったくないと思います。
 今から備蓄品に手をつけていては、本当に物流が途絶えたときに食べられるものが無い状態になってしまいます。ある程度保存の効くものを準備しながら、当面は通常の生活を送ればいいと考えます。
 また、野菜は汚染されている可能性があるので買わないという極端な意見があるそうです。生野菜をそのままで食べるのはいろんな意味で問題があると思いますが、水でしっかりと洗浄すれば他のウイルスや菌、汚れと同じように洗い流すことは可能です。また、新型コロナウイルスも他のコロナウイルスと同じように熱には弱いようですので、しっかりと加熱した料理であれば感染することはまず無いと思われます。果物などは洗浄して皮を剥けば安全に食べられると思いますし、ビタミン類や繊維質などが安全にしっかりと取ることもできます。
 野菜不足になると、身体のあちこちに問題が出てきます。大規模災害では野菜不足から口内炎で苦しんだ方もたくさんいらっしゃいますので、野菜はなんらかの形で摂取することをお勧めします。どうしても生野菜が信用できないという場合には、缶やパックになっている野菜ジュースもありますので、それらの活用を検討してください。

  最後に、ウイルス対策は結局のところ身体の免疫システムに頼るしかありません。そのため、睡眠時間をしっかりととることと栄養のあるものをきちんと摂取すること、そしてしっかりと身体を動かすこと。要するに健康を維持するために必要な行動をどれだけ維持できるかにかかっていると思います。
 身体の健康をしっかりと維持しながら、万一に備えて備蓄食料を準備しておく。それにより、いざというときでも生活の質をさほど落とさずに乗り切ることができると思います。

続・新型コロナウイルスとBCP

 遅ればせながら政府がいろいろと新型コロナウイルス対策を打ち出し始めました。「お願い」や「依頼」「配慮」など、どうみても責任は取りませんといった文字が目白押しですが、政府はともかく、一住民としては生き残るための自衛策を考えなければなりません。
 ここのところの騒動で過去に「新型コロナウイルスとBCP」や「BCPを作ろう」といった記事を書いてはいますが、個別のBCPについて質問されることが増えてきているので、何を考えたらいいのかをもう一度整理してみたいと思います。
 BCPの究極は「いかに自分のところを構成している人・もの・金にダメージを受けずにやり過ごすか」です。このため、自分あるいは自社にとって守るべきものは何なのかを決めておく必要があります。
 ポイントは二つ。事業をどのタイミングで中断するかという判断と、事業をどのように再開するかという判断を決めておくことです。自分や自社にとって事業の中断による社会的ダメージと事業の継続による社会的ダメージのどちらが大きいかを判断することになるでしょう。
 また、経済的・人的・資材的にどのタイミングで止めたら一番再開が安定して行えるのかということも検討しておきます。どの段階でどこから何をどれくらい持ってくればどんなものが再開できるのか、自分や自社の都合だけでなく「社会的に必要とされるものの優先度はどうか」を考えながら対応策を組んでいくことです。
 準備も必要です。新型コロナウイルスは潜伏期が14日程度と言われていますから、怪しいと思ったら14日は隔離される覚悟をしておかなければいけません。そのために必要な食料品や資材は準備できていますか。自分や家族、従業員に何かあったとき、きちんと休みが取れる体制になっていますか。また、休業状態になってどのくらいの間経済的に持ちこたえることが可能ですか。
 BCPは根性論ではどうにもなりません。必要とされるものを洗い出し、対策を考え、準備することで初めて稼働できるものなのです。
 現時点ではマスクも消毒用アルコールも市中には無い状態でいつになったら安定供給されるのかについても目処が立っていません。自分たちでできる自衛策は限定的ではありますが、それでも手がないわけではありませんから、根拠のある対策を調べて実行してください。ネット情報ではファクトチェックしているサイトもありますので、そういったところで内容の真偽を確認し、少しでも安全な対策をとるようにしてください。
 長々と書きましたが「どうなったら休業するのか」「どうなったら再開するのか」、取り急ぎその二点だけ決めておけば今後の対応は格段に楽になると思いますよ。

棚にはかごwith地震対策ジェル

 地震対策はどんな人に聞いてもやるべきだという答えが返ってくるのではないかと思います。地震が起きるとさまざまなものが転倒したり落下してきたりして危険なので、できればしっかりとした対策を取っておきたいものです。
 とはいえ、いきなり家の耐震補強をやれといっても難しい人もいると思いますので、とりあえず手近な地震対策から手をつけてみませんか。
 今回は、棚からものが落ちにくくなる簡単な作業をやってみたいと思います。

 写真の棚は、我が家にあるものです。棚の上にはいろいろなものが置いてあるのですが、写真のとおり滑り止めも落下防止対策も全然していません。災害対策を皆様に発信しているのにもかかわらず、自分の家ではできていないというのもあんまりなので、今回はここを耐震化したいと思います。

 といっても、道具は二つだけ。一つは棚の大きさにあったかご。もう一つは、貼り付いて揺れを制御するタイプの地震対策ジェルです。どちらも百円均一ショップで調達してきました。

 地震対策ジェルの中身はこんな感じ。一応25kgまでは対応しているとのことですので、このかごを支えるくらいなら十分だと思います。

 かごの底に貼り付けます。かごの下には高台があるものもありますので、ジェルの高さを考えて準備します。高台の中にジェルが収まってしっかり固定されていると、見た目がかなり美しくなります。

 ジェルをかごに貼り付けて、棚に置いてみました。最初はくっつきかたが微妙ですが、すぐにしっかりとくっついて仕事をしてくれます。

 で、棚にあったものをかごに収めてみます。見た目もすっきりして、少々の揺れではものが落ちてこない状態を確保できたと思います。で、ここまでやってきて、温度湿度計の固定のことを全く考えていなかったことに気づいてしまいました。この温度湿度計、固定台の中は空洞になっているのでジェルでぺたりというわけにいかない代物。結局これの固定は後日また考えることにしました。
 地震対策では「目の高さよりも高い場所にものを置かないこと」が基本です。ただ実際のところそうも言っていられませんので、直接貼れるものは地震対策ジェルを貼り付けて、直接貼れないものは貼れるものに収めてなるべく落下してこないようにしておきましょう。
 使い勝手をあまり変化させずにできる地震対策。気になるところにやってみてください。

非常食は実食して確認しよう

 非常食の備蓄というのは非常に重要なことです。特にアレルギーのある人や食事制限のある人、好き嫌いの多い人などは避難所で配給される弁当や炊き出しの食事は食べられなくなるかもという前提で準備をしておいたほうが無難です。
 そうでない場合でも、配給食が潤沢に届くようになるまでは自前である程度の食事を確保できるようにしておかないと他の人が食べているのをみてひもじい思いをすることになりますので、そうならないために最低限の備えだけはしておきましょう。そして準備をした非常食は、それが自分の口にあうかどうか、そして期限切れを起こしていないかどうか定期的に確認しておくことが必要です。いざというときに自分の口に合わない食事ほど悲しいことはありません。
 我が家では外へ遊びに行くときの食事代わりとしてこれらの非常食を活用し、あれこれと感想を言い合うことが多いですが、その感想を元に準備を変更することで、非常時にも口に合ったバラエティーのある非常食が食べられるのではないかと思っています。
 今回は、備蓄用の暖めなくてもおいしいレトルトカレーでどんなことをしているのかをご紹介します。


これは備蓄用のカレーです。冷えていても油が固まらないように植物油で作られています。寒い場所でやってみようと思ってスキー場で試してみたのですが、折からの暖冬で寒冷地の試験にはなりませんでした。
ご飯は普通に炊いたものをおむすびとして持参し、お皿にカレーと一緒に盛り付けます。

 これだとただの非常食で作ったカレーです。何の問題も無いのですが、悪戯心で先日買ってきたごぼうチップスをトッピングしてみました。

 これが妙にあっていておいしかったので、ポテチや野菜チップスなどの素材をそのまま活かした○○チップスだとどうなるのかなという話になりました。
 また、駄菓子としてよく売られているカツをのせてもおいしいかもしれないとの意見もあり、次回はこれらのトッピングが登場することになりそうです。
 非常食と違って、駄菓子や○○チップスの賞味期限は半年程度しかないのですが、おやつとして食べたり、今回のようにお昼のトッピングとして使ったりすれば、期限切れは起こしませんし、非常食の管理もこまめにすることができます。
 我が家ではみんな食べるのが大好きなので、非常事態であっても食に手が抜けません。そのため、家族みんなで自分たちの非常食についてこういう機会に意見交換をして、好みに近づける努力をしています。

 食べ終わったら、食器はティッシュペーパーで汚れを拭き取り、持ち帰って洗えるようにしておきます。災害時には洗う水がありませんから、今回お皿にラップをかけてやってみればよかったのにという子どもの言葉に、彼らの成長と次回の問題点を洗い出せたなと思っています。
 災害に対する備えは、準備だけではなく、準備したものがいかに上手に使いこなせるかが大切です。
 備えたものは、普段の生活の中で使ってみて、より使い勝手がいいようにしていくことをお勧めします。

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※リンクとして暖めなくても食べられるカレーをご紹介していますが、ダイソーさんなどの百円均一でも買えますので、行かれた際には探してみてください。