レンタルで試してみる

 以前災害対応用品とアウトドア用品は非常に親和性が高いということを書きましたが、災害に備えるための装備を準備をするにあたって、自分にどのようなものがいるのか確認ができていますか?
 いろいろなアイテムが出てきたと思いますが、その中にアウトドア用品が出てきたとしたら、一度借りて試してみてください。

 アウトドア用品というのは、やはりそれなりのお値段がするので買ってはみたが自分には合わなかったというときのダメージは結構大きいものです。
 よく知っている道具ならともかく、初めて使う道具が自分にあっているかどうかを確認するためには、持っている人に借りてみるのが一番です。

 最近のキャンプ場ではレンタル用品が充実しているので、身につけるものを除いたら大概借りることが出来ますから、いろいろと試してみて、その中から自分にあったものを見つけて買いそろえていくというのも楽しいものですよ。
 また、キャンプ場まで行かなくても、家に届けてくれるレンタルもできるようになってきているみたいです。
 特にレインウェアなどは「値段=性能」ですから買える範囲で予算をケチらないことがよいのですがやっぱり相性があります。
 人によっては何万もするレインウェアよりも数千円の雨合羽の方が使い勝手がよいと言う人(私のことです)もいらっしゃいます。
 また、寒さを凌ぐだけならウインドブレーカーを使うという方法もありますよね。とにかく一度試してみて、なるべく自分にあうものを購入するようにしたいものです。
 さまざまなアウトドア用品をレンタルしてくれるお店で郵送対応してくれるお店をご紹介しておきます。
 レインウェアなどもありますので、成長の早い子どもさんやお試しで使ってみるといった使い方が出来そうです。
 ちょっとお値段は張りますが、買って後悔することを考えれば安いもの。
 借りてみて、ぜひ使い勝手を確認してみてくださいね。

キャンプ用品レンタルならそらのした

ハザードマップの功罪

 ハザードマップというのをご存じですか。
 自治体によって表示されているものはいろいろ違いますが、ある想定の中で被害の発生する場所を地図に落とし込んだもので「被害予測地図」とも呼ばれます。
 去年の西日本豪雨では、岡山県真備町での洪水ハザードマップと浸水域がほぼ一致したと言うことで脚光を浴びました。
 あなたが住んでいる地域やお勤め先のハザードマップ、一度は見たことがありますか?
 もしまだなら、良い機会ですので自分が住んでいる場所や勤め先にどのような危険が潜んでいるのか確認してみてくださいね。
 ハザードマップは、殆どの自治体が自分のところのホームページ内で見ることができるようにしています。
 該当部分を印刷して、とりあえず安全かどうかを確認してください。

益田市の洪水土砂災害ハザードマップ

津和野町の洪水土砂災害ハザードマップ

吉賀町の洪水土砂災害ハザードマップ(防災マップの冊子の一部になっています)

島根県砂防危険箇所検索システム(土砂災害の起きそうな指定地域の地図です)

国土交通省浜田河川国道事務所(高津川系河川浸水想定区域情報)

 ところで、東日本大震災のとき、被災地に住む多くの人はこのハザードマップを知っており、ちゃんと読み込んでいました。
 でも、そのハザードマップでは「浸水しない」とされた地域の人に大きな被害が出ることになりました。
 最初に書きましたが、ハザードマップというのは「ある想定の中で被害が発生する場所」を表示したものですので、前提条件が変われば当然浸水域も変わることになります。
 余談ですが、上記で掲載しているURLの中でも、国土交通省が想定している条件と益田市が想定している条件が異なるため、両方のハザードマップを比較すると浸水域にかなりの違いがあるのがわかると思います。
 東日本大震災前に出されたハザードマップの想定は明治・昭和三陸津波で、想定波高は8.8mとなっていました。それ以上の津波が来れば当然ハザードマップ以上の浸水域が発生するわけですが、見た人はハザードマップに表示された「津波で浸かるか浸からないか」だけを見て自分の居場所が安全かどうかを判断していたそうです。
 危険を知らせるためのハザードマップが「ここは安全だと誤解させる安心マップ」になってしまっていたのです。
 ハザードマップというのは、自分がいるところの危険度を目で見ることの出来る便利な地図です。
 ですが、条件が変わればハザードマップに書かれる影響範囲も相当変わるということを頭に置いた上で、内容を確認するようにしたいものです。

チェーン規制導入

 山陰地方を始めとする早朝から始まった大雪は峠を越えたようですが、久しぶりに集中的に山間部を始めとする場所では雪が積もっているようですので、雪道を走行される方はどうぞ気をつけてください。
 ところで、今年の冬から「冬用タイヤ規制」に加えて「チェーン規制」が作られました。
 全国で13区間が指定され、近くの浜田道の「大朝IC~旭IC間」が該当しています。また、県内では島根県と広島県を結ぶ国道54号線の赤名峠も該当しているようです。
 この「チェーン規制区間」では「大雪特別警報や大雪に関する緊急発表が行われるような降雪時」にはスタッドレスタイヤでは駄目でタイヤチェーン装着者のみが通行可能になるとのことで、道路交通情報などでも言い回しを変えるといった話も聞きました。また、高速道ではそこまで厳しくないという話もありますが、念のためにタイヤチェーンは用意しておく方がよさそうです。

チェーン規制区間を示す看板
国土交通省の報道発表資料から抜粋


 ところで、あなたは車のタイヤチェーンをきちんと巻くことができますか?
 過去、チェーンを着用した車が、そのチェーンによって損傷を受けるケースがかなり出ているようです。
 原因は、チェーンの装着方法。
 指定されたとおりの装着ができていなかったため、チェーンがタイヤハウス内で跳ね回ってあちこちダメージを受けてしまうようです。
 事前に一度装着練習をしておけば防げたトラブルですね。
 また、制限速度以上の速度で走ったために切れてしまったというケースもあるようですので、 チェーンをつけたらいつも以上に慎重に運転した方がいいですよね。
 ところで、今回の規制にあわせて私も久しぶりにゴム製のタイヤチェーンを買いました。
 で、練習でつけてみようとしたら車のタイヤよりもタイヤチェーンの方が小さいのですね。どうやらサイズを間違えて買ってしまったらしく、数字が覚えられない自分に思わず苦笑い。
 今回は事前に練習しようとしたからそれがわかりましたが、いざ本番のときにそうなっていたらと思うとぞっとします。
 タイヤチェーンを準備する、そしてシーズン前には一度取付の練習をしてみる。
 たったそれだけでたくさんの事故が防げます。
 シーズン前の習慣にしたいものですね。

通電火災を防ごう

地震が起きると、電力会社は被災した一帯の送電を止めます。
発災後、電柱や電気施設の確認をした上で通電を再開するわけですが、この時、地震で壊れた電化製品や断線した電気コードがショートしたり、電気ストーブなどの暖房器具が倒れてきた洗濯物や本など可燃物と接触したりして火災が起きることがあります。
これを通電火災と呼びますが、1995年の阪神淡路大震災で起きた出火はこの通電火災が原因とされているものが数多くあります。
また、東日本大震災でも、発生した火災の6割が通電によるものとされ、中には避難所として使われていた施設も、通電火災により閉鎖になったケースもあります。
電力会社でも対応は進めていて、2016年4月の熊本地震では通電火災は0件となっています。
これは通電前に通電予定箇所を広報して回ったり、倒壊した家屋への引き込み線を撤去することにより達成できたものです。
とはいえ、規模が大きくなったり被災範囲が広範囲になってしまった場合には、全ての場所に電力会社が対応できるとは限りません。
そのため、自衛手段として配電盤を「感震ブレーカー付き」にしておきましょう。
感震ブレーカーと言ってもさまざまな種類があり、配電盤内に感震装置を内蔵しているものや設定した揺れが起きた段階でボールやバネの力によりにブレーカーのスイッチを切るするものなど、いろいろあります。


GV-SB1 リンテック21 感震ブレーカーアダプター【簡易タイプ】 YAMORI(ヤモリ)



簡易型感震ブレーカー「スイッチ断ボール3」 SWB03


感震ブレーカーはその名の通り地震に対して有効な電源切断装置ですが、他の災害では機能しません。
そして、地震以外の災害時でもブレーカーで電気を遮断しなくてはいけないことは変わりません。
ただ、いきなり来る地震ではブレーカーによる電気遮断のことを忘れがち。
そのため、自分の財産を守るためにも、周囲を燃やさないためにも、感震ブレーカーを設置するようにしましょう。
また、当たり前ですが普段から電気ストーブやファンヒーターの周りには可燃物を置かない、使っていない電化製品はプラグを抜いておくといったことも意識しておくようにします。
東京消防庁の調査では、東京消防庁管内で発生したストーブ火災のうち、電気ストーブによるものが実に7割を占めていたそうです。
災害時だけでなく、普段からも火災を出さないように意識したいものですね。

灯りを作ろう~サラダ油の場合~

灯りというのは人が人であるために必要不可欠なものの一つなのでは無いかという気がします。
普段は電気を使った照明で明るく闇のない生活をしているわけですが、災害が発生すると、途端に真っ暗な世界が誕生します。
そんなとき、手近なもので灯りを作ることができたなら、気持ちがほっとするのではないでしょうか。
そんなことを考えて、さまざまな家でありそうな材料を使って灯りを作ってみようという研究をしてみることにしました。
今回は割と定番のサラダ油を使って灯りを作ってみることにします。
材料は次のとおり
1.お皿
2.ティッシュペーパー
3.アルミホイル
4.サラダ油
5.ライター

サラダ油ランタンの材料
良く時代劇に出てくる菜種油の行灯の中身を作ります

まずはティッシュペーパーを一枚取り出し、半分にちぎって、そのまた半分をこより状にします。

ランタンの芯作り
ランタンの芯作り。たこ糸やなんかの方が楽かもしれません。

細く切ったアルミホイルでティッシュペーパーの芯をくるみます。

ランタンの芯作り2
細く切ったアルミホイルを二つ折りにし、ティッシュペーパーの芯を包みます

お皿にサラダ油を入れます。実験なので、燃焼が確認できる程度、大さじ一杯半ほどにします。

お皿に油をいれます
耐熱性のある背の低いお皿に油をいれます。

ティッシュペーパーの芯を油に浸します。吸い上げるかなと思ったら、いつまでたっても芯の方に油が上がってこないので、全体を油に浸しました。

芯に油を回します
ティッシュペーパーの芯にはサラダ油は上がりにくいみたいです。

そして点火。芯の部分がいい感じに燃えてくれます。

芯に火がついた
芯の部分はアルミ箔の上に出ているところだけ燃えてます。

芯を伸ばしてみると、火も大きくなります。

芯を伸ばすと火も大きくなる
アルミ箔の上の芯を伸ばすと、火が大きくなりました。

アルミ箔を外すとどうなるのかやってみます。

アルミ箔を外して芯だけにしてみた
アルミ箔を外して芯だけにしてみるとどんな燃え方をするのだろう?

芯がどんどんと燃え、大きな火になってしまっています。サラダ油なので、簡単には火がつきませんが、ティッシュペーパーの芯だと激しく燃えてしまいます。

芯が大きく燃えている
芯がかなり大きな火になって燃えています

というわけで、アルミ箔があることでそれ以上芯は燃えず、そこでサラダ油がうまいこと温められ、いい感じに気化しているのではないかと考えられます。

芯にはアルミ箔がいるのかも?
芯をアルミ箔で支えると安定して燃えてくれるようです。

もっとも、油の量が多くて芯の太さが一定であれば、恐らくは昔の行灯のような燃え方をしてくれるのではないかなと思いました。

また、芯が長くなると、芯が燃えて煙が立ち上ることもあり、あまり芯の長さは伸ばさない方が良さそうです。

臭いは殆どありませんでした。

ろうそくよりも温度が低そうなので、炉に使うには火力は弱そうですが、手近な素材で簡単に灯りを作ることは可能なようです。

アルファ米を試してみるその1

防災用品の中でよく出てくるアルファ米。
有名なところでは、尾西食品、アルファ食品、サタケなどがありますが、あなたは食べたことがありますか?

アルファ米の写真
アルファ米も種類があってメーカーごとに味も違います。好みのものを見つけましょう。

当研究所で研究員のうちの子3人にそれぞれのアルファ米の五目ご飯を食べてみてもらうことにしました。
第一弾は、尾西食品の五目ご飯。
災害イベントでは割と良く出てくる定番のアルファ米で定番のメニューです。

尾西食品の五目ご飯
尾西食品の五目ご飯。防災イベントの常連です。

中に入っている乾燥剤とスプーンを取り出し、お湯を注いで待つこと15分。
できあがりは、どんぶりに軽く一杯という量。パッケージには「お茶碗軽く2杯分」と書かれています。

五目ご飯のできあがり
できあがりはこんな感じです

五目ご飯をお皿に盛ったところ
五目ご飯をお皿に盛るとこんな感じです

お茶碗に半分ずつ、4等分して試してみた子ども達の感想は
「味がしっかりしてる、というか、濃い」
「ちょっと堅い。お年寄りは食べづらいと思う」
「んまい」
とさまざま。
少し芯があるような堅さに仕上がっているのは、お湯の量の問題かもしれません。
規定量で作ると堅めに仕上がる感じですので、柔らかいのが好みの方は、お湯を気持ち多めに注げば、うまく食べられるのではないでしょうか。また、五目ご飯は全体的に味が濃いというコメントを他の人からももらったことがありますので、薄味が好みの方は、白ご飯と合わせて作るのもよいと思います。
若い人や汗をかくような仕事をした後などは、恐らくかなりおいしいのではないかと思います。
ここのメーカーさんはいろいろな味を出しているので、自分の好みにあったものを見つけてみるのもいいかもしれません。
最後に詰め合わせセットをご紹介しておきますので、興味がある方はぜひ一度試してみてください。

尾西食品のアルファ米12食全種類セット ★最安値挑戦中!★賞味期限5年以上をお約束!

価格:3,348円
(2019/1/16 21:10時点)
感想(9件)

新聞紙は万能選手だ

新聞紙は万能アイテムです。
もしも普段配達してもらっているなら、一週間分くらい手元に置いておくと、いざ災害が起きたときにいろいろなことに使えます。
また、非常用持ち出し袋にも1日分くらいいれておくと、本当に便利です。
どんなことに使えるのか、いくつか例をあげてみることにします。

1)敷物になる

野外では湿気てしまってあまり長くは使えませんが、体育館などに避難したとき、新聞紙が1日分あれば、床に敷くことで断熱材の代わりをしてくれます。
あるのとないのとでは大違い。ブルーシートだけでは寒い日でも、さほど床の温度を気にすることなくしのぐことができます。

2)添え木になる

一日分の新聞紙を四つ折りし、四つ折りの真ん中に折れた腕や足を入れてガムテープなどで固定すると、簡易型の添え木になります。
週刊誌や雑誌でも可能なのですが、柔らかさや使いやすさでは、新聞紙の方が上です。

3)燃料として使う

新聞紙は紙ですから、非常によく燃えてくれます。
くしゃくしゃにすればたき火をするときの焚き付けに使えますし、しっかりと堅く丸めれば、薪のようにしても使うことができます。

4)簡易トイレの吸収剤として使う

断水すると、トイレは基本的に使えなくなります。
大きなビニール袋にちぎったたくさんの新聞紙を入れて便器にはめると、簡易トイレができます。
大小問わず対応できるので、とても使いやすいです。
終わったら、ビニール袋の蓋をきつく縛れば、可燃ゴミとして処理が可能な場合もあります。
自治体によって異なるようですので、気になった方はお住まいの自治体にご確認ください。

5)防寒具として使う

新聞紙を下着の上に挟むと、断熱材の代わりになり、とても暖かく過ごせます。
また、大きなビニールのゴミ袋を加工して上着代わりに着込んで併用すると、かなりの寒さにも耐えることが可能です。
新聞紙は湿気を吸いますので、湿気を逃がさないゴミ袋を着込んでいても、快適に過ごすことが可能です。

6)日用品になる

新聞紙を折り紙すると、スリッパや食器、ゴミ箱など、さまざまなアイテムを作ることができます。

7)退屈しのぎになる

新聞記事を読んだりちぎったり折り紙するのに使えるので、思ったよりも時間がつぶれます。

他にもちょっとしたことでも使えるのが新聞紙です。
最近は新聞をとらないというお宅も増えているようですが、非常持出用防災セットに1日分、家の保管ボックスに2日分くらいを入れておくと、何かと重宝すると思います。
いろいろと試してみてくださいね。

おんぶと抱っことベビーカー

災害でいざ避難というとき、小さな子をどうやって移動させるかということは割と悩む部分です。
「おんぶ」「抱っこ」「ベビーカー」が3大避難方法のようですが、どれも一長一短です。
今回はおんぶとだっことベビーカーでの避難について考えてみます。

1)おんぶ

避難させるときにもっとも楽で危険が少ないのはおんぶです。
背中に背負っているので、背負っている人の重心があまり狂わず、両手も空いて素早く移動ができるからです。
ただ、最近の小さな子はおんぶされ慣れていないせいか、おんぶ紐で背負うと仰け反ってしまうようで、「避難時のおんぶは危険」としているところもあるようです。
そういえば、抱っこやベビーカーはよく見ますが、おんぶで移動している親子はあまり見なくなったような気がします。
でも、非常時におんぶができるとさまざまなメリットがあります。
食事の準備や家事をするとき、おんぶ慣れさせておくと、いざというときに役に立ちそうです。
また、背中が使えないので、非常持出用防災セットはウエストポーチやベストにセットすることになり、さほどたくさんの資材は持てないのが欠点です。

2)抱っこ

避難時には手だけで抱っこして移動すると衝撃や振動などにより子どもを落としてしまう危険性がありますので、必ず大人の身体に固定する道具を使います。
抱っこひもやスリングといったものを使って移動することになりますが、なにぶん重心が前にあるためおんぶほど軽快に動くことはできません。
また、片手は固定具を支えなければいけませんので原則両手を空けるということも無理です。
ただ、首の据わらない新生児になるべく負担を掛けずに輸送する方法はこれが一番だと思います。
また抱っこで避難する場合、非常持出用防災セットをリュックサックで背負えるのがメリットと言えます。
おんぶ慣れしている子どもが少ないことを考えると、抱っこで避難所まで移動できるような訓練をしていた方がいいかもしれません。

3)ベビーカー

一度に複数の子どもを移動させるときには、ほぼ唯一の手段がベビーカーです。
親も非常持出用防災セットを背負って移動することができ、ベビーカーによっては子どもの資材を載せることも可能です。
ただ、タイヤの半径以上の障害を越えることができないことやベビーカーを押すことで両手がふさがってしまうことが難点だといえます。
また、大量の避難民がいる都会地では、ベビーカーが邪魔者扱いされて破壊される場合も考えておかなければいけません。
避難した先ではベビーカーを子どもの居場所として使うことが出来るので、それもメリットと言えるでしょう。

小さな子どもが大勢いる保育園では輸送用のお散歩車・避難車や多人数用乳母車を使って一気に避難所まで輸送するという方法を取られることが多いですが、これらの運搬車はいずれも車輪の径が大きく少々の障害物は乗り越えられるようになっています。
どの方法も良いところ悪いところがありますので、あなたとあなたの住んでいる地域の実態にあわせて準備しておくことをお勧めします。

リュックサックについて考える

防災セットの準備の中でよく「リュックサック」に触れていますが、なぜだかわかりますか?
リュックサックを使う「理由」は、「両手が空くこと」と「動きを妨げないこと」それに「防災セットが入ること」「ある程度の重さでも持って移動できること」です。
例えば、手提げカバンや肩掛けカバンに非常持出用防災セットを入れてすぐに走れるかというと、かなり難しいと思います。
でも、身体にしっかりと固定できれば、走るのはそんなに難しくありません。
ようは荷物を入れて両手が空いて、自分の動きが妨げられなければよいのです。
そうすると、背負子やボディーバック、普段使いの肩掛けかばんでも、紐やテープなどで身体に固定できれば使えそうだという判断ができます。
子どもを抱えて移動するのであれば、必要なものを詰め込んだベストやヒップバックでも問題ないでしょう。
ここであえてリュックサックを勧めているのは「誰でも使い方を知っていて準備や装備に手間がかからず、たくさんの荷物を入れて運べる道具」だから。
また、リュックサックは大小さまざまなものが市販されていますので、自分にぴったりのものを選ぶことが可能です。
お勧めのメーカーを聞かれることもあるのですが、いろいろなメーカーのものを試してみて一番自分にしっくりくるものがお勧め品です。
その上で、縫い目がしっかりとしているかどうか確認してください。
そして、肩紐の幅が太くて、できればクッションの入っているものにすると長時間背負っていても痛くなりません。
また、背中が当たる部分にはパット、腰と胸に留め具がついているものだと、よりしっかりと身体に固定ができるので楽に移動ができます。
非常持出用防災セットを詰め込むときには、軽いものを下、重たいものを上にして詰めていきます。
着替えや毛布は底に、水や食料品などは上に詰め込みます。左右のバランスを気にして詰め込んでください。
恐らくは一番の重量物となる水は、大きなボトル1本ではなく500ミリリットルのボトル数本にわけると詰め込みやすくなります。
また背中側には新聞紙や敷物を詰めておくと、荷物のでこぼこが気になりません。
この状態で背負ってみると、驚くくらい軽いことに気づくと思います。
試しに、次は重たいものを下、軽いものを上で詰め直して背負ってみてください。
同じ重量のはずなのに、今度は恐ろしく重たく感じると思います。
背負うものに関しては、重心が高い方が自分の体の重心との誤差が少なくなるため軽く感じるのです。
この中には生活用品のストックが入っていて、モノがなくなるたびに入れ替えをするはずですから、いろいろと中を組み替えてみて背負ってみて、自分が一番軽いと思う詰め方を見つけてください。

お湯の確保について考える

 災害が発生すると、ライフラインの復旧までは自力でなんとかしないといけません。
 ですが、冷たい非常食が続くとそれだけで気力が無くなっていきます。
 寒い中や、緊張しているに温かい飲み物を飲むだけで、元気になったり安心したり。
 温かい食べ物や飲み物が気力に与える効果を考えると、どれくらい早く温かい食事にありつけるかというのは、結構重要な問題だと感じます。
 今回は温かい食事や飲み物を作るのに使うお湯について考えてみたいと思います。

1.お湯をどう確保するか

災害が発生し、状況が見えない中でも腹は減ります。
特に乳児はミルクを飲ませないわけにはいきませんが、乳児用ミルクを冷たいまま飲ませるとお腹を壊してしまう可能性があります。
また、ほ乳瓶の消毒にもお湯が必要です。
お湯を沸かすためには、次のものが必要です
(1)水
(2)水を入れる容器
(3)水を温めるための道具
もしも非常持出用防災セットの中に鍋と携帯コンロが入っているのであれば、簡単にお湯を作ることができます。
また、発熱・加熱剤を持っていれば、やはりお湯を作るのは難しくありません。
ただ、持って出られない場合もありますし、コンロがあっても「燃料がない」ということもありえます。
その場合にはどうしましょうか。
もし何らかの熱源があれば、それを借りてお湯を作ることにします。
例えばたき火、ストーブといった暖房器具なら簡単にお湯が作れます。
ローソクや油、純度の高いアルコールとマッチやライターがあるなら、空き缶を使ってコンロを作りお湯を沸かすことが可能です。
油やアルコールを使った手作りコンロについては、インターネットのさまざまなところに作例がありますので、見てみてください。
また、そのうちに当研究所でも研究してみようと思っています。

2.お湯をどう保温するか

沸かしたお湯はそのままにしておくとあっという間に冷めてしまいます。
保温用ポットがあればよいのですが、そうでない場合にはどうするか。
クーラーボックスがあれば、その中に容器毎納めることである程度の保温が可能です。
その時には、食べたいレトルト食品や缶詰なども一緒に入れておくと、次の食事の時にある程度温かいものにありつけます。
また、空のペットボトルに入れてタオルを巻くことで即席の湯たんぽを作ることが出来ます。
これで人を温めると、どちらも温度が維持できて一石二鳥です。
このとき使うペットボトルは「ホット専用」「ホットコールド両用」と書かれたものを使うようにしてください。
表示がない場合には、肉厚のものであれば利用可能です。簡単にくしゃくしゃにできるようなものは熱に耐えられず、変形したりして事故が起きますのでご注意ください。
せっかく作ったお湯なので、できるかぎり無駄遣いしないようにしましょう。

3.保管はなるべく水に近いもので

お湯を作ると、すぐにお茶にしたがる人がいます。
やかんなどでお湯を沸かした後そのまま茶葉を放り込むと一度に大量に作れるため便利なのですが、一度お茶にしてしまうと他のものへの転用が効きません。
お湯であれば、乳児用ミルクやインスタントラーメン、スープにも使えますし、冷めてもただの水に戻るだけなので、お茶を作るときには面倒でもその都度容器を変えて入れるようにしましょう。
余談ですが、粉末タイプのお茶であれば必要な量を必要なだけ使うことが可能な上ゴミも出ないのでお勧めです。