牛乳パックで灯りを作る

 牛乳パックというのは、牛乳を飲み終わった後もいろいろと使える便利な道具です。例えば、洗ってから開くとまな板として使えます。その後、切り刻めば着火剤として使えますし、長く切ると簡易的なロウソクの代わりにもなります。中に食材を入れてから牛乳パックに火をつけて燃やせば簡易オーブンになりますから、灰になるまで使える優秀な道具だと思います。
 で、今日は火がないときに作ってみる前提で、牛乳パックを使った簡易ロウソクを作成してみることにします。

 牛乳パックは、内側にアルミの貼り付けていないものでないとうまくいきませんので、中がアルミでないことを確認してください。

 端っこからくるくると切っていきます。長く切るのがポイントです。

 切り終わったら、燃えない針金などを使って牛乳パックを宙に浮かせます。引火しないように、火の落下点には水を満たした皿やバケツを置いておきます。

 ライターやマッチで火をつけます。うまく引火すると、非常によく燃えて明るいです。ただ、燃える速度はかなり速いので、目を離せないのが難点です。牛乳パック一つで、切り方によりますが15分から45分くらいは燃やせると思います。
牛乳パックを使った簡易ロウソクは非常に火がつきやすく明るいのが利点ですが、燃える速度が速く燃え尽きるのが早いことが難点です。できれば屋内ではやらないほうがいいと思います。

 ちょっとした暇つぶしや実験の一つとして、ご家族でキャンプなどをされるときに一度作って燃やしてみても面白いと思います。
 ただ、繰り返しになりますが引火しないように注意が必要です。実際にやってみられる場合には、自己責任でお願いします。

非常用持ち出し袋は家族一人に一つずつ準備する

 非常用持ち出し袋を作るというお話をすると、なぜか一家族で一つ準備すればいいと思う方が多いようです。
 実際のところ、一家族に一つだと、いざというときにはどうにもならないことが殆どです。少々大きなリュックサックを準備しても、家族全部の生活を養うものを持つことは非常に難しいと思います。例えば、家族4人の生活に必要とされる水は、一人一日3リットルとして全部で一日12リットル。もし3日分持って避難となると、これが36リットル、つまり36キログラムの重量を一人が背負うことになります。これは極端にしても、非常事態の対応としても、自分の命を守るためのものが特定に人に集中している事態は避けるべきだと思います。
 非常用持ち出し袋は、家族一人に一つ必要です。リュックサックを背負うことが難しい人は仕方がありませんが、リュックサックを背負える人であるなら、子どもでも年寄りでも関係ありません。自分が持てる範囲の自分の荷物をきちんと持ってもらうことが必要です。
 例えば、3歳のこどもに一日分の水や食料、生活用品まで入ったリュックサックを背負えといわれても難しいでしょうが、例えば300mlのペットボトルのお水1本と簡単な非常用食料、着替えくらいであればきちんと背負えるのではないでしょうか。自分で背負える範囲の生活物資を持つことで、万が一はぐれたとしても背負っている物資で命を繋ぐことはできます。また、少しの荷物でもわけることができれば、その分他の荷物を持つことができるので、生活環境の低下を少しでも防ぐことができます。
 家族みんなで自分が避難所で生活するとしたらどんなものがいるのかを話しながら用意していけば、きっと満足のいく非常用持ち出し袋をそれぞれが作ることができると思います。
 非常時には、自分のことは自分ですることが基本中の基本です。小さい子でも責任を持たせて準備させ、いざというときに持ち出すように話をしておくことで、仮に大人がいないときでも自分のものを持って避難することができれば、命が助かる確率はかなり高くなると思います。
 3月末、生活環境が変わるついでに、それぞれが非常用持ち出し袋を準備する機会にもしていけるといいですね。

緊急防災放送装置を点検しておこう

 津和野町と吉賀町で各家庭に配布されている緊急防災放送装置にはないのかもしれませんが、益田市の緊急防災放送装置は定期的に電池を交換する必要があります。個人的にはなぜ充電池式ではないんだろうかと思いますが、ともかく電池を交換していないと停電時に防災無線を受信することができず、「肝心な時に役に立たない」ということになりますので、きちんと交換をしておくことをお勧めします。
 確認するポイントは緑のランプです。このランプが点滅していたり消えている場合には電池を速やかに交換しておきましょう。


 詳しい電池交換のタイミングや方法については、益田市役所のウェブサイトをご確認ください。
 寿命は概ね一年だそうですから、非常用持ち出し袋や備蓄品の点検をするついでに電池交換してしまうようにするといいかもしれませんね。

口の中を清潔に保つ

 口の中がきれいでないと、さまざまな雑菌が繁殖します。その雑菌によるいろいろな病気にかかってしまう可能性が高くなるので、口の中をきれいに保つことは普段の生活でもとても重要なことです。
 通常は歯磨きやうがい、ゆすぐなどをして口の中に繁殖している雑菌を追い出しているのですが、災害時にはそれができなくなることがあります。特に発災から数日間は口の中がなんとなく気持ち悪くても、言い出せずに我慢してしまい、いつの間にかその気持ち悪い状態が当たり前になってしまうことが起きます。
 特に高齢者では口の中で雑菌が繁殖した結果誤嚥性肺炎を起こしてしまうことが多々あります。高齢者以外の方も免疫力が落ちていれば同じような症状になることはあり得ます。他にも虫歯やその他の疾患にもいろいろと口内環境が影響を与えているという話はありますので、気をつけるべき重要項目といっても過言ではないでしょう。
 口の中をきれいに保つために一番簡単な方法は、非常用持ち出し袋に歯磨きセットを入れておくことです。洗口液を一緒に準備しておけば水がなくても歯磨きから口をゆすぐところまで可能ですし、洗口液なら罪悪感もありません。

被災時の歯磨きでは水がない場合歯磨き粉は使わない方が無難。歯ブラシできれいにした後は、洗口液でゆすぎ口の中の汚れを撤去する。

 歯磨きセットがない場合には、清潔なティッシュ類や布をお茶や水に浸して絞り、歯を磨いてから少しの水でゆすぐようにすればとりあえずの口の中の衛生環境は守ることができると思います。

ティッシュや布を写真のように指に巻き付けて少し湿らせ、歯を磨く。

また、定期的に歯磨きの時間を生活の中に組み込んでおくことで、被災後の生活にもメリハリができて病気になりにくくなると思います。
 口の中は菌が繁殖しやすい環境が整っていますから、生活環境以上に衛生的であることに気を遣わなければいけません。
 あなたの非常用持ち出し袋にも、歯磨きセットは必ず入れておいてくださいね。

マスクの表と裏

 マスクが市中になくなっていて、普段買っているなじみのものが手に入らなくなっています。花粉症にはつらい状態ですが、そこはお互い様。マスクが手に入った人が周りにおすそわけしてくれたりすることがあります。
 今回マスクを一つわけてもらったところで、マスクの付け方が私とくれた人で異なっていることに気づいてしまいました。
 どうやらメーカーによって違うらしく、普段私が使っているものは、耳紐とマスクの接着面が内側になるようにつけるという説明書きがあり、何も気にせずにそんなもんだと思っていたのですが、今回もらったメディコムジャパンさんのマスクは、耳紐とマスクの接着面が外側になるように作られているそうです。

普段使っているマスクの説明書き部分の抜粋。接着面が内側になっている。

 教えてもらったので事なきを得ましたが、使い捨てマスクは表裏を間違えると殆ど意味がなくなってしまうので、メーカーさんによって違いがあると言うことを今回知って、正直びっくりしました。最近の使い捨てマスクの多くは鼻の部分を押さえるための針金のようなものが入っていることが多いので、上下を間違えることは少なくなったのですが、つけるときには気をつけないといけないようです。

鼻を押さえるための針金のようなもの。ノーズフィッターというらしい。

 気になったので他のマスクも調べてみたのですが、一つ共通点があったのはマスクのプリーツの向きはひだひだが下に向かって伸びるように取り付けること。でもこれもひだひだが中心から上下に伸びるようになっているものもあったりしてやっぱり悩むことになります。
 こんなご時世なので、どんなマスクが手に入るのかがわかりません。マスクの表裏については、外装の表示にあるマスクの取り付け方を確認するか、表示がない場合にはメーカーさんのウェブサイトで付け方を確認した方がよさそうです。

「THE救難食料 ER」を食べてみた

 非常用持ち出し袋はなるべく軽くした方が動きやすくて避難も早いです。ただ、非常用持ち出し袋の中の重量の大半を食料品と飲料水が占めていることは確かで、ここをどれくらい軽くすることができるかというのが腕の見せ所という部分はあります。もっとも、飲料水を削るわけにはいきませんので、いかに食料品を軽くするかということになってきます。
 非常食にはいろいろとあるのですが、今回はその中でも割と有名どころの商品である「THE救難食料 ER」を試してみることにしました。

 当然地元では売っていませんので、インターネットでのお取り寄せとなります。ゼリーのついたものもあるのですが、今回はビスケットだけ購入しました。


 期限は2025年となっていますので、5年間保存です。重さは一箱500gちょっと。これ一箱で一日に必要なカロリーを摂取することができます。

 箱の中にはキューブ状の真空パックが9つ入っています。このキューブが非常食になります。

 空けてみると、キューブ状ですが手触りはざらざら。ビスケットのように焼き固められた感じではありません。粉末状のものを圧縮して固めたような感じです。

 指で簡単にほぐれます。割るのもたやすいです。
 口に入れると、塊はあっさりとほぐれて口の中に広がりますが、割と水気を持っていかれます。口の中の水気を吸うと、ねっとりとしたペースト状になったように感じます。

 味は、私自身はきなこのように感じたのですが、一緒に食べた人達は「クッキー!」「ビスケット?」「カロリーメイトの粉っぽいの」とさまざま。
 日常生活の延長線上として使うにはちょっと微妙な気もしますが、そんなに味は悪くありませんし、結構腹持ちもいいように感じます。
 避難所での食事にこだわらない人であれば、持ち歩くのには便利ですから一度試してみてもいいと思います。

THE 救難食料 ER 9食入り 【萬有栄養 非常食 災害対策 救難食糧 備蓄食糧 ER9 イーアール】《あす楽》

非常用持ち出し袋をどう作るか

市販品の非常用持ち出し袋セット
毎度おなじみ子ども用の非常用持ち出し袋。実際にはいるものいらないものを整理していくので、内容の参考程度に見ておくといい。

 研修会や勉強会などで「非常用持ち出し袋には何をいれたらいいのか?」とか「○○を入れろとあったが、何に使うのか?」というご質問をいただくことがあります。
 答えを先に言ってしまうと「生活に最低限必要だと思うものを入れてください」です。非常用持ち出し袋は何のためにあるのかというと、あなたが家から避難した後、避難先であなたの生活を維持するのに必要なものを入れておくためです。そのため、内閣府防災消防庁などで推奨されている非常用持ち出し品が揃っていれば大丈夫と言うことではありません。あなたが使わないものや使えないものが入っていても仕方ありませんし、あなたが必要なものが入っていないようでも困ります。
 最近はネット通販などで「防災士が考えた非常用持ち出し袋」や「被災地の経験から作られた非常用持ち出し袋」などというタイトルで売られているものもあるのですが、それらを買ってもあなたに必要なものが全て過不足無くはいっているわけではないのです。あなたが使い方がわかっていて、そして避難先で必要なものを揃えていくのが非常用持ち出し袋を作る基本ですし、実はその方が値段も安かったりします。
 では、あなたの生活に最低限必要なものはなんでしょうか。「衣・食・住」で考えれば、着替えが一セット、食事が1日分、寝るための毛布や寝袋といったところでしょうか。これに懐中電灯や雨合羽、救急箱、新聞紙、充電器、ラジオ、ゴミ袋などを組み合わせて自分の非常用持ち出し袋を作っていくのです。
 避難所では時間がたくさんありますから、文庫本や携帯できるボードゲームやカードゲーム、塗り絵、折り紙などが入っていてもいいと思います。スマートフォンが生活に欠かせない人であれば大容量の充電池も必要でしょう。テレビが趣味なら、携帯テレビが必要かもしれません。要は普段のあなたの生活が守れる最低限度のものがあればいいのです。
 人間、環境が極端に変化すると心身とも一気に弱っていきます。非常時だからこそ、いかに普段の生活の質を落とさずに凌げるかが鍵になります。
 非常用持ち出し袋や備蓄品はそのために準備しておくものなのです。
 政府は3日~1週間分の食料や水の備蓄を推奨しています。でも、これを全部非常用持ち出し袋に詰め込むと、とてもではありませんが動けません。持てないものは家に備蓄すると割り切って、非常用持ち出し袋は自分が背負える重さにしてください。
 最後に、非常用持ち出し袋となる袋は登山用等のしっかりとしたリュックサックをお勧めします。よく非常用持ち出し袋として昔のナップサックのようなものが売られていますが、あれに詰めると、紐が肩に食い込んで背負えません。

左は昔からある非常用持ち出し袋。右側は子ども用非常用持ち出し袋。
最近は右側のように普通のリュックサックになっているものが多い。

 せっかく準備するのですから、しっかりとしたリュックサックを選んで、いざというときにしっかりと背負えるようにしておいてくださいね。

出す方の準備もしておこう

携帯トイレ各種

 非常用持ち出し袋や備蓄品の準備のときに、食事や寝具などは思いつくと思うのですが、トイレの準備は大丈夫ですか。
 災害時にはトイレが使えなくなることが多いです。特に下水管による集中管理のところやアパート、マンションと言った集合住宅などは災害後に点検が終わるまでは絶対に使ってはいけません。浄化槽タイプのところも、もし停電している状態であれば使わない方が無難です。くみ取り式のものは問題なく使えますが、最近はあまり見なくなりました。
 災害発生後には多くのおうちが被害を受けますので、点検には時間がかかると思った方がいいです。もし点検せずに使った場合、逆流したり階下や床にあふれ出したりと汚物による汚染が広まることを覚悟してください。
 そういう事態に備えて、非常用トイレの用意をしておいてください。非常用トイレにはいろいろなものがあり、便器がセットになっているものからご家庭の洋式便器を利用して使うものなどさまざまありますので、自分に合った準備をすることが大切です。

強力な脱臭効果のある猫のトイレ砂を使っても簡易トイレを作ることが可能。
写真はバケツにセットしたもの。
洋式便座の中にビニール袋をセットし、刻んだ新聞紙を入れても簡易トイレができる。
使うビニール袋は不透明なものがいい。

 また、準備しただけでは駄目で、一度使ってみてください。一度使ってみると、想像と使い勝手が違っていることが多々あることに気づくと思います。例えばよく百円均一などで売られている携帯トイレは、結構使うのが難しかったりします。男女兼用と謳っていても、中には女性が使うのは無理じゃないかというようなものも存在します。さらには、トイレとして使うには目隠しが必要だったとか、排泄口に上手に当てられずうまく使えなかったなど、やってみないとわからないことがたくさんあります。
 非常用トイレにはびっくりするくらいたくさんの種類がありますので、いろいろと試してみて自分が使いやすいものを選ぶようにしてください。
 最後に、排泄後には袋に入れて捨てるなどの処理が必要になります。こちらも付属している袋だとにおいが漏れたりすることがありますので、介護用に使われる防臭袋やおむつを捨てるときに使える圧着式ゴミ袋など、衛生環境が守れるような準備をしておくといいでしょう。
 大規模災害で避難所で最初に発生する問題の一つがこのトイレ問題です。特に地震ではまず下水管は損傷すると思って間違いないので、発災後、施設管理者はすぐにトイレを閉鎖し、避難者は自分の持ち込んだ非常用トイレを使うようにしたいものですね。

支援物資で送られてきて困るもの

 ある程度以上の大規模災害になると、全国各地からさまざまなものが支援物資として送られています。お互い様の精神で、それは非常に素敵なことだと思うのですが、送られたものが現地に迷惑をかけているという現状があることをご存じですか。
 一番困るのが「私はもう使わないけど、まだ使える」といった感覚で送られてくる中古の服や靴、使い古した靴下や下着など。衣類の中古はまず引き取り手がありませんので、最終的にごみとして処分することになります。
 支援物資はごみの送り先ではありません。あなたが使わないものは他の人も使いませんので、あなたが使うだろうなというものを送るようにしてください。
 次に多いのがどなたか一人に届くようにとセットされたもの。中にお手紙が入っていたりして非常に素敵なのですが、そういったものが支援物資の集積場にくると、中に何が入っていて誰がつかうことを想定しているかがわからず、場所を取るだけの死蔵品となります。中身を確認して仕分けろといわれるかもしれませんが、毎日大量の物資をたくさんの避難所、避難者に届けなければならないこの仕分け業務は、行政職員や配送を請け負った業者の方が休む暇無く行っているものです。
一つ一つ中をていねいに確認して送り先を決めている余裕は現場にはありません。どうしても個別にセットした支援物資を送りたいのであれば、外箱に中にどんなものが入っているかのリストをつけてください。それもできれば細かく記載して欲しいと思います。そうすれば、場合によってはその中身に適合した方のいる避難所に送られる可能性があります。
 それから、テレビなどで「○○が不足しています」という情報が流れた後に届く大量の「○○」。現地で不足するものは刻一刻と変わっていきます。テレビで不足していることを放映していたからと言ってその物資を大量に送りつけても、寸断された流通網では届いた頃には必要がなくなっていることも多々あります。被災地の流通網は殆ど機能していないと考えていただき、もしも不足している物資を送るのであれば、自身で直接該当する場所へ送り届けるようにしてください。
 また、生鮮食料品は絶対にやめてください。避難所で生鮮食料品が不足しているからといって宅配便で発送しても、被災地には普通にとどくことはありません。1週間から2週間、場合によっては一月以上かかることもあります。生鮮食料品は確実に腐ってしまいますので、送るのは絶対に止めてください。

 ところで、支援物資で助かるのは箱詰めされている同一品目の新品です。輸送も楽ですし、送り先も考えなくていい状態のものなので仕分けが非常に楽です。
 また、Amazonなどで商品を購入し、その商品を被災地へ送るようなシステムが作られていますので、そういったもので送っていただければ非常に助かります。
 繰り返しますが、災害後の支援物資を仕分けする集積所の機能はさほど高くありません。避難所等から送られてくる必要とされる物資を集めて送り出すだけで精一杯なので、なるべく仕分けのしやすい形にして送るようにしましょう。
 あと、寄付金なら無駄になることがありませんので、ものではなくお金を寄付するのもいいと思います。被災地で機能を回復するためにはさまざまなものにお金がかかりますが、そのお金がなかなか手配できずに困っている自治体や団体は非常に多いですから現金による寄付は非常に喜ばれます。
 災害が起きるとさまざまなものが送られてきて物資集積所は大混乱を起こします。流通経路や集積所の仕分けに負担をかけないためにも、支援物資の送り方を考えていただければと思います。

吸水土のうを考える

 防災訓練に出ると、心肺蘇生訓練と同じくらいの頻度で登場するのが土のう作りです。特に水害の発生しやすい地域では、必ずと言っていいほど訓練に組み込まれていて、参加した方もいらっしゃるのではないかと思います。
 この土のう。土のう袋と砂があれば誰でも作ることができ、水防工法を上手にすると、家や店舗の水没をある程度までは防ぐことが可能なのですが、水害が発生しそうなときに都合よく土のう袋と砂が充分に手元に準備できるのかという問題があります。また、土のうを積むのも災害時には自分のところは自分でやることになるでしょうから、効果的な土のう積みをしようと思ったらかなりの困難が予測されます。特に高齢者や女性などが土のう積みをできるかと言われれば、ちょっと難しいのではないかなと考えます。
 かなり以前に吸水ポリマーを使った土のう、吸水土のうが出たという話を聞いて、これで土のう積みは今までの土のうではなくこの吸水土のうに変わっていくんだろうなと思ったのですが、その後話をとんと聞かなくなり、水防工法では相変わらず普通の土のうを使っての作業。いったいどうなったのかと思っていたところで、近くのホームセンターで見つけてしまいました、吸水ポリマー土のう。

 まずは値段が高いです。そして基本は使い捨て。吸水土のう一つで普通の土のうが何個準備できるかなと思えるくらいの値段では、さすがに訓練では使えませんし、量の必要な本番の水防工法では登場しないでしょう。
 ただ、軽いのはメリットです。買ったのは4枚入りでしたが、軽々と持てます。また、薄いので持ち運びも保管も簡単。この吸水土のうの場合、吸水すると40cm×50cm×10cm、20キロくらいの重さになるそうなので、しっかりと役には立ちそうです。

裏の注意書き。いろいろと細かな注意が書かれている。

 でも、この吸水土のう。使う前に水を吸水させないと使えません。溢れてきた水に放り込むとそこで膨らんで水を止めてくれるようなイメージがあったのですが、給水時間が2分かかるそうなのでそのまま放り込むと流されて全く違う場所に土のうができてしまいそうです。

洗面器との比較。かなりでっかい。

 一袋が結構でっかいので、この吸水土のうに水を吸わせようと思ったら、お風呂の湯船くらいしか場所がなさそうです。湯船で水を吸った20kgの吸水土のうを必要な場所まで抱えて移動はかなり厳しいなと感じます。
 ちなみに、膨らませるときには真水でないと駄目との記載がありましたので、ひょっとすると入浴剤の入ったお湯だとうまく吸水できないかもしれません。
 この吸水土のうの外袋に書いてあったのですが、あくまでも「非常用」として普通の土のうを補うような使い方になるのかなと、実物を見る限りでは思いました。
 とはいえ、保管が楽で誰でも簡単に移動・展開できる吸水土のうは便利なものではあります。普通の土のうが作れない、間に合わない事態に備えて、準備しておくのもいいのではないかと思います。