大きな避難所になると、トイレ問題を解決するのに仮設トイレが設営されることがありますが、その時に意識しないといけないことの一つに、男性と女性の入り口を分けるというものがあります。
日本の公共施設のトイレでは、多くの場合出入口が男女同じ、またはすぐ近くにあることが多く、人目がない場合には平時でも危険な状況になることがあります。
災害後に仮設トイレが必要な状況というのは、非常にストレスが発生しやすい環境にあると考えて間違いありませんので、性的なトラブルの発生を予防する意味でも、トイレは男女完全に引き離すことが必要です。
そのほかにも、トイレの周囲は常に明るくしておくことや、人目のある場所に作るなどいろいろとあるのですが、事前にしっかりと検討しておかないといざというときにはそこまで意識が向かないものです。
一般的に避難所において、寝床とトイレは、さまざまなトラブルが発生しやすいところですので、トラブル防止のためにも平時にしっかりとレイアウトを検討しておくことをお勧めします。
カテゴリー: 避難所
72時間と備蓄のこと
災害時の各家庭の備蓄について、最低3日間準備しろという話は聞いたことがあると思います。
南海トラフ巨大地震などの話が注目されてからは7日間に延ばされていますが、この最低3日間というのにはきちんとした意味があります。
3日間とは72時間。現在トルコ・シリア国境付近で起きた大きな地震でも取り上げられていますが、人命の救命率が極端に低下するのがこの72時間なのだそうで、発災から72時間は行政の全ての機能は人命救助に振り向けられます。
国際緊急援助隊が被害甚大とわかってすぐに出発したのは、とにかく早く現地入りして一人でも多くの人を救助するためで、生き残った人に必要となるテントや各種資機材はそのあと準備が整い次第送られることになっています。
つまり、どこの国であれ、怪我無く生き残れた人はとりあえず置いておいて、怪我をした人たちや生き埋めになった人たちを救助することに全力が注がれることになるのです。
怪我無く生き残れた人たちへの対応は、けが人の処置が終わって、恐らく生存者はもう期待できないという状況になって初めて本格化します。
ですので、人命救助に行政の機能が注がれている間は怪我無く生き残れた人は自力でなんとかするしかありません。
そういった理由から、最低3日間自助でなんとかできるだけのものを準備しておく必要があるのです。
とはいえ、実際に大災害が起きると3日ではどうにもならない場合も出てくるでしょう。そのため、現在内閣府防災では7日間程度の備蓄をするように国民に呼びかけているのです。
たすかった人たちの命を守ることも重要ですが、そのまま放置すれば失われる命をなんとか助けなければなりません。
あなたが準備している非常用持ち出し袋や備蓄品で、最低3日間の生活維持ができますか。また、もしものときにはどういった行動をとりますか。
トルコ・シリア国境での地震の状況は毎日マスコミ報道がされていますので、もしこのような事態が自分の周りで起きたら自分がどうするのかをしっかりと考えておきたいですね。
【終了しました】「やってみよう防災キャンプ・防災キャンプ春の巻」を開催します
来る3月25日から26日にかけて、益田市の北仙道公民館で「やってみよう防災キャンプ」と題した小学生向けの防災キャンプを開催します。
対象は小学校3年生以上。当日は体育館を避難所に見立てて生活空間や食事作り、心肺蘇生や搬送法、防災カードゲーム、炊き出し訓練など、さまざまな体験をしてみます。
年度末で忙しい方も多いと思いますが、興味のある方のご参加をお待ちしています。
また、当日はお手伝いいただけるボランティアスタッフも募集しています。
併せて、よろしくお願いいたします。
避難所での生活臭を押さえる方法
避難所での生活は精神的にくたびれてしまうものです。
生活リズムの違いや他人の視線、そしてさまざまな生活臭。
特に避難所によっては施設内に靴を持ち込むことになるところもあるので、その場合にはさまざまなにおいが入り混じることになりますから、ひょっとすると消臭スプレーも必要なアイテムの一つになるのかもしれません。
とりあえず身近なものでにおいをなんとかしようと考えたとき、10円玉を使うことができることを知っておいてください。
10円玉は銅でできていますが、この銅には臭いのもととなる菌を殺菌・除菌する効果があります。
なぜそうなるのかはわかっていないようですが、例えば靴の中が臭う場合には、10円玉を5~10枚入れておくと、数時間で臭いは確実に消すことができますので、普段の生活の中でも臭いが気になる時には使ってみるといいと思います。
ちなみに、10円玉は人体には無害ですので、人への影響を考えずに殺菌除菌できるところもいいと思います。
ただ、臭いの発生源に湿気がある状態が続くと、カビが生えたりすることもありますので、靴の臭いけしをするときには併せて新聞紙などで靴の中の湿気を取り除くようにしてください。
ともあれ、見知らぬ人同士が一緒に生活するときにはいろいろと臭いが気になるもの。
こういった消臭方法もあるということを知っておいてほしいと思います。
ヘッドライトと懐中電灯
防災グッズとして必ず登場するのが懐中電灯です。
非常用持ち出し袋などに入れて準備している人も多いのではないでしょうか。
でも、もしも避難しなくてはいけない場所にお住まいであるなら、懐中電灯の他にヘッドライトを準備しておくことをお勧めします。
ヘッドライトは文字通り頭のおでこのところにつける懐中電灯で、これがあると両手が空くために夜間に徒歩で避難する場合や夜間の避難所で作業をする場合などに安全が確保しやすいです。
ただ、ヘッドライトは性能や大きさがほぼ値段に比例しているため、高額なものほど明るさ調整や照らす面積の増減など使い勝手がよく、大きさもコンパクト。逆に値段が下がるほど明るさが一定になったり、かなり大きかったり重かったりします。
とはいえ、ヘッドライトは懐中電灯の代わりをすることができるので、どちらか一つ持つということであれば、手持ち式の懐中電灯よりもヘッドライトにすることをお勧めします。
最近ではホームセンターやプチプライスのお店でもいろいろな種類を取り扱っていますので、余裕がある時に自分にちょうどいいものを探してみるといいと思います。
被災後の中高生の居場所をどうするか
大災害になると、障がい者や高齢者、乳幼児は割と早い段階から救援や支援の手が届きます。
そして、それよりは遅れても、小学生まではいろいろなNPO団体などが被災地に入って預かりや学習支援、あそび場作りなど、さまざまな支援をしてくれるのですが、置き去りになっているのが中学生、高校生の処遇です。
大人ではないので仕事に出るわけではなく、かといってどこかに預かってもらうこともなく、学習ができる体制があるわけでもない。
何かしようと思っても、その場所が確保されていないことが非常に多いです。
自治会や自主防災組織などで事前に検討される避難所の設営マニュアルにも、ペットの取り扱いについては記載がされているところも出てきましたが、中高生が学習したり息抜きができるような場所の確保はされていないのが現実です。
目立たず、声を上げるわけでもないのであまり意識されていないと思いますが、中高生も被災者であり、学習支援や心のケアが必要なのではないかと思います。
乳幼児や小学生、高齢者や障がい者と同じような時期に支援体制が作れるのなら非常にいいのですが、とりあえずは避難所の一角に最初からそう言った場所を設定しておくことができれば、その後の支援も随分と変わってくるのではないかと思います。
大人ではないが子供というにはちょっと大きい中高生。
彼らの日中の居場所についても、しっかりと検討しておきたいものです。
電源確保を考える
被災した後、生活の質をなるべく落とさないようにしようとすると、どうしても電気が必要になります。
ただ、電源の回復は大規模災害になればなるほど遅くなるものですから、あらかじめ何らかの準備をしておいたほうがいいと思います。
手っ取り早いところでは、蓄電池と太陽光発電パネルの組み合わせを用意しておくこと。
保管できるサイズだと、大した発電量にはなりませんが、それでもスマートフォンの充電やラジオやテレビの電源などに使うことができます。
お日様があれば充電が可能なので、一組準備しておいてもいいかもしれません。
避難所や住宅だと、発電機があると電源はかなり安定します。
エアコンや電子レンジなど大きな出力が必要とされるものは難しいですが、家電がある程度まとめて使えるのは大きいです。
手回し発電機などの人力発電機を準備されている方もいますが、実際に使えるかというとかなり厳しいのではないかと思います。
電気を作る方法を準備しておくことと、自分にとって必要最低限の電化製品にはなにがあるのかということ、そしてそれらの電気使用量をきちんと確認しておいて、いざというときに慌てないようにしたいですね。
ちなみに、太陽光発電システムが最初から組み込まれているおうちには、非常用電源コンセントが用意されている場合があります。
太陽光発電システムの蓄電池からの給電をする場合には、非常用電源コンセントにつながないと使えませんので、取り扱いには気を付けてください。
避難所には何がある?
結論から言えば、ほとんどの避難所には何もないと考えておいたほうが無難です。
避難するタイミングや移動方法、避難先を想定してさまざまな訓練をしていると思いますが、避難した後、つまり避難所内での過ごし方についての想定はどうでしょうか。
非常用持ち出し袋をきちんと準備できているか、その中で優先すべきものがきちんと入っているかは避難所に入ってから後の生活の維持に密接にかかわってきます。
避難所に準備されているものがあればいいのですが、そうでないなら、しっかりと自分の生活が維持できるだけのものは持ち込む必要があるのです。
そこで、あなたが避難することにしている避難所には、避難者のためにどんなものが準備されているか知っていますか。
最初に書きましたが、身体一つで避難所に避難しても、多くの避難所には何もありません。基本的に避難所には物資は集積されていない場合が多いのです。
地域によってはしっかりとした備蓄を備えている場合もありますが、そういったものは極めてレアケース。
飲むもの、食べるもの、寝るものなど、生活を維持するのに必要なものは自分で持ち込まなければ着の身着のままで過ごすことになることに注意してください。
そして、大規模災害になると、発災後に救援物資が届くのは早くても2~3日後。国は7日間分の備蓄を準備するように推奨しているくらいです。
避難先で使用するものは自分で持ち込むこと。そして、早く避難してしまうことが大事です。
避難所の状態にもよりますが、避難レベル3「高齢者等避難開始」の場合、まだ自動車による避難ができる場合が殆どだと思います。
車であれば、自力で運ぶよりも多く荷物が運べ、収納場所にも困りません。
避難所には何もないことが前提で、自分の命をつなぐための資機材について準備しておくようにしてください。
ペットの避難所問題
岡山県総社市でペットとの共生を掲げてペット避難所を作ること、そして行方不明になったペットの捜索を掲げた条例が議会で否決されたそうです。
記事によれば、市長さんは「ペットの問題で毎回現場が揉めるので明文化しようとした」ということだったのですが、議会では「人命救助に支障が生じる」「人的資源がない」などといった理由で現状維持でいこうという判断をしたようです。
避難所の収容人員がコロナ禍でかなり減っており、この上ペットの収容まで考えるとパンクするという考え方も、そうでなくても手が足りない災害時に行方不明になったペットの捜索をするのは物理的に無理です。
ただ、ペットと避難については、いつの災害でも必ず避難所運営者を悩ませる問題になってしまっていて、関係性を明文化しておくということは大切なことなのではないでしょうか。
その避難所がペット避難可なのか、ペット可だとして、同行避難なのか同伴避難なのか、収容する場所や収容できる動物は何かなど、考え出すと結構問題がたくさんあるのですが、現状でうまくいっていない状態はどうにかしないといけないと思います。
とはいえ、ペット問題は本当に多岐に及ぶので、一律的に決めるのも難しいことは事実。さまざまな団体や避難所運営者が試行錯誤していますが、なかなかこれだという解決策は出てきていません。
ペットは家族の一員であり、人によっては家族以上の存在になっている場合もあります。そしてペットの避難ができいのであれば自分も避難しないという人が多いのも事実です。
人間が一時避難所で難を避けた後、指定避難所に移動するように、ペットも一時避難したあと、しばらく過ごせるような場所について選択肢を作っておくのは一つの方法なのではないかという気がしています。
発電機は絶対に屋外で使う
冬場に長時間の停電が起きると、電化されている最近の住宅では暖が取れなくなることがあります。
その時に備えてガソリン式やカセットガス式の発電機を備えている方もおられると思いますが、屋内では絶対に使用しないでください。
発電機に限りませんが、燃焼するときには酸素が燃焼により二酸化炭素に変わっていきます。
ただ、供給される酸素が不十分になると、二酸化炭素になれずに一酸化炭素が発生し始めます。
この一酸化炭素は人間が吸い込むと中毒死するような危険な気体なのですが、寒いと屋内やテントの中で発電機や炭火などを使い、酸素不足で一酸化炭素が発生して中毒死する事故がほぼ毎年起きています。
災害後に電気が再開するまでは発電機に頼ることも多いとは思いますが、発電機はいくらコンパクトでも絶対に外で使用すること。
そしてできるだけ開放的な場所で空気がしっかりと流れるようにしておくことに注意しておいてください。
発電機は絶対に外の風の良く通るところで使うこと。
周囲が住宅地の場合には発電機の音が気になってしまうかもしれませんが、命にはかえられませんので必ず守るようにしてください。