おかゆを鍋で炊いてみる

七草がゆ。シンプルで簡単に作れるけれどおいしい。

明日は七草がゆの日です。
胃腸への負担を少なくし、体の調子を整えるためにおかゆを食べるのですが、由来については諸説あるようではっきりとしません。
ただ、せっかくおかゆを食べるのであれば、鍋で作ってみてはどうでしょうか。
災害時にはカセットガスで食事を温めることになりますが、カセットガスでおかゆを炊いてみるのです。
ご飯を炊くのは難しくても、おかゆはあまり失敗がなく炊くことができます。
当研究所のやり方は、
1.ご飯1に対して水5を準備
2.鍋に1の水を入れてから研いだお米を加え、30分まつ
3.鍋にフタをして火にかける。火力は強火。
4.沸騰したらフタを外して弱火にし、柔らかくなるまで炊き上げる
5.七草は別茹でしてから塩をかけて刻み、水気を絞って炊きあがったおかゆに加えます。

途中でかき混ぜてしまうとねばっこいおかゆになることがありますので、火力調整で焦げ付かないようにします。
少し厚手の鍋なら、焦げることはあまりないと思います。
作り方はいろいろとあると思いますが、せっかく作るのであれば非常時の練習を兼ねて鍋を使っておかゆを炊き一年の平穏を願ってみるのも面白いのかなと思います。

家具の固定の考え方

 地震に備えて行う対策の一つに家具の固定があります。
 家具が倒れてけがをしないために行うのですが、激しい揺れになると、いくら固定していても固定部分が外れて倒れてくる可能性はあります。
 だからといって家具の固定をしないのは本末転倒ですが、この家具の固定は最初の大きな揺れで家具が倒れることを防ぐのが一番の目的だと考えてください。
 一番最初の揺れが一番大きな力がかかりますので、そこで家具が倒れなければ、家具が倒れてこない場所まで逃げるだけの時間を稼ぐことができます。
なので、家具の固定の考え方としては、
1.いる時間の長い部屋にはできる限り家具を置かない
2.家具を置くなら座っているときの肩の高さ以下のものにする
3.家具の広い向きは倒れた時に扉の開閉を妨げない場所にする
4.固定具は複数使う
ということになります。
 特に台所などは食器棚や冷蔵庫など、重量があって大きく倒れやすいものが多いですので、家具は必ず固定して、台所から逃げるための時間を稼げるようにしてください。
繰り返しますが、家具の固定は家具が倒れないようにするためではなく、家具が倒れてくるまでの時間稼ぎのために行うものです。
 もちろん固定した結果倒れなくなるのが一番いいのですが、固定しても「倒れてくるかもしれない」と考えて倒れるまでの時間稼ぎ、そして倒れても出入口を封鎖しない配置を考えるようにしてください。

プロがすること、アマチュアでもできること

地震対策では、屋根のブルーシート張りは覚えておいたほうがいい作業。

 大災害時にはなかなか救援は来ない、というのが多くの人の認識になってきているのではないかと思います。
 それに備えて、個人や企業に始まって、自治会や自主防災組織、消防や警察、自衛隊などのさまざまな組織が訓練やシミュレートなどをしているわけですが、訓練を見ていてちょっと違うんではないかと思うことがあります。
 もちろん、さまざまな想定に備えて準備することは大切ですし、できる限り訓練しておくことはとても大切です。
 ただ、個人レベルやアマチュア集団がいくら頑張ってもプロには勝てないという分野が厳然と存在しているので、そういった分野では、アマチュアはどうやってうまくプロに引き継ぐかという視点で訓練をしたほうが効率的なのではないかと考えることがあります。
 例えば、倒壊家屋からの救助訓練。よくマスメディアで警察や消防が訓練したことが報道されていますが、同じような訓練を個人や自治会、自主防災組織がやることはあまり意味がないと思います。
 個人や自治会、自主防災組織が考えるべきはいかに倒壊家屋を出さないかという部分の実践や普及、啓発活動であり、倒壊することが前提というのは本末転倒なのではないでしょうか。
 同じように、応急処置もそうです。専門家に届けるまでに命をつなぐために行うのが応急処置であり、そこで専門的な処置まで行う必要性はありませんし、知識だけの素人が手を出すと悪化してしまう場合も多々あります。
 アマチュアが持つべきは、発生することが予測される被害をいかに少なくするかという事前の対策の徹底と、発生した被害をそれ以上拡大させずにプロに引き継げるかという部分をどうするかという視点です。
 自主防災組織設立の発端となった阪神淡路大震災で、建物倒壊により即死しなかった人たちの多くが地域の人に助けられたということは事実です。
 ただ、その当時は消防団がしっかりと機能していたことや地域コミュニティがきちんと確立していたこと、そして例えば家の構造や住人の行動、周りの資機材の存在をある程度地域の人が知っていたことが救助ができた根本部分にあります。
 当時できたからといって、高齢化が進み、人の交流が途切れがちな現在で同じことができるとは思えません。
 同じことをやろうとするなら、まずやるべきなのは地域コミュニティ、つまり顔のわかる関係を取り戻すこと。そして、地域に住み、地域で仕事をしてくれる若い人を増やすことです。そして、自分たちでできることとできないことの線引きをしっかりと確認しておくことが求められます。
 自分たちでできることは日ごろからきちんとこなしておくことで、プロの仕事がしやすいようにしておくことが、災害対策のプロ以外のすべての人、つまりアマチュアがやるべきことなのではないでしょうか。

災害時にしないといけないこと

 災害時にしないといけないことはいろいろとありますが、もっとも大切なことはあなたの命を守ることです。
 非常用持ち出し袋は、あなたの命を守り、つなぐために準備するものですが、それを持って避難することが最優先ではありませんから、状況によっては、非常用持ち出し袋を取りに行くことが危険につながることもあると思います。
 優先すべきはあなたの命を守ることであり、緊急時にはそれを前提にして行動を決定する必要があります。
 よくあることですが、例えば水害などで早めに避難した後、まだ大丈夫だからと自分の大切なものを取りに戻れるのではないかと考えてしまうことがあります。
 この時の思考は、自分の命は守れているから、次に優先されるものをどうやって守るかというものになっていますが、状況が収まっていない以上自分の命を守ることを最優先することは変わっていません。
 ここを勘違いしてしまうので、安全地帯から移動して被災してしまう人が出てしまうのです。
 災害時に最優先でしないといけないことは、あなたの命を守ること。
 そのことを、特に災害発生時には忘れないようにしてください。
 ひょっとすると自分が死ぬかもしれないという想定で、行動を考えてほしいと思います。

伝言ダイヤルの鍵を決めよう

 2023年の正月を無事に迎えることができ、皆様方には厚くお礼申し上げます。
 引き続き、当研究所をよろしくお願いいたします。
 さて、年末年始、ご家族や仲良しの方と集まることも多いのではないでしょうか。
 せっかく集まるのですから、いざというときに連絡を取るための災害時伝言板およびweb171の鍵となる番号を決めておいてはいかがですか。
 災害時伝言板は災害時に連絡が付きにくい状態でも伝言板を経由して情報交換ができる非常に便利なものです。
 ただ、カギとなる電話番号が決まっていないとお互いにやり取りをすることが難しいので、災害時伝言板を使うときに指定する電話番号を決めて、共有しておきましょう。
 普段は合わない人だからこそ、災害などが起きた時には生存や状況が気になるものです。
 被災地内への電話はまず通じないと思っていいですから、災害時伝言板を上手に使って、生存情報や自分の状況などが心配している人たちに届くようにしておけるといいですね。

災害用伝言ダイヤル(NTT西日本のウェブサイトへ移動します)

がけ崩れの怖さ

 年末になって、がけ崩れに巻き込まれてたくさんの家が土砂の下敷きになったというニュースが入ってきました。
 なぜこうなったのかは今後の検証を待たないといけませんし、連絡のつかない方が無事であることを願うばかりですが、がけ崩れは土砂災害の中ではいつ起きるのかが把握しにくいもので、実際にいつ起きても不思議ではないものです。
 報道によると、現地は土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンに設定されていた場所だそうで、周辺の人によるとがけ崩れの起きた山からは水が出ているという話もあったようです。
 土砂災害では予兆のある場合が多いですが、その中でもがけ崩れは本当にちょっとした変化が予兆であることが多いようです。
 土砂災害の予兆について事例としてまとめたものを載せておきますので、崩れるかもしれないなという場所にお住いの方は、一度点検をしてみてください。

山形県鶴岡市で土砂崩れ、約10棟が被害か 高齢の夫婦と連絡とれず(Yahoo!ニュースのウェブサイトへ移動します)

大掃除と地震対策

固定しないとこうなる

あなたのおうちでの大掃除は終わりましたか。
もしまだであれば、お正月までの間に家をきれいにするついでに、家具が倒れないような加工をしたり、窓ガラスにフィルムを貼ったりといった地震発生時に怪我をしないような対策をしておきましょう。
一気に全部やってしまうのは理想ですが、とりあえずはいる時間の長い場所、そしてすぐに逃げられない場所の対策だけでもしておきます。
脱衣場やふろ場、トイレの高い場所のものを撤去したり、扉の開閉がスムーズにできるようにしたりといったことをしておきましょう。

新聞紙をタンスの下に入れて壁側に傾斜をかけると、揺れても手前に倒れるリスクを減らせる。


また、タンスの下に新聞紙を織り込んでみたり、冷蔵庫に突っ張り棒を取り付けたりといった揺れ初めに倒れない処置をしておくことも大切です。
それから、タンスなどが倒れた時に寝ている場所がつぶれたり、外に逃げるための扉の開閉がきちんとできるかどうか確認しておきます。
普段はなかなか手が回らないと思いますが、大きなものを動かしたりすることの多い大掃除の時期に、地震が起きても怪我をしないような部屋のレイアウトや耐震対策を一緒にしておいてくださいね。

火を作る

鉄製の鉢置きを使って簡易炉を作りお湯を作る。外遊びごはんの会の一コマ

 災害時にはいろいろなことに使える火は絶対に確保すべきものの一つになります。
 停電し、カセットガスなどがない状態では裸火を使うことになりますが、普段からその取扱いになれていないとせっかく作った火から出火することになって余計な被害を増やすことにもなりかねません。
 常にやれとは言いませんが、チャンスがあれば薪などを使ったたき火を作って火の使い方を習熟するのと同時に、火を楽しめればいいと思います。
 残念ながら野焼きは禁止になっているところが殆どだと思いますので、キャンプ場や火の管理のできる場所で、実際にやってみてください。
 火の作る方などはユーチューブなどにいろいろ出ていますので、それらを見て覚えて、いろいろなつけ方をやってみてください。
 ちなみに、当研究所でも外遊びごはんの会などでファイアスターターを使ってたき火を作ることがありますが、実際にやってみると大人よりも子供のほうがはるかに上手です。機会があったら、ご家庭で親子でチャレンジしてみても面白いと思いますよ。

イノシシと豚熱

イノシシの駆除は根気のいる作業。なかなかかからないので、知恵比べになる。

 当研究所では通年で有害捕獲許可を持つ猟師が有害捕獲活動をしています。
 普段なら猟期には猟もするようですが、今年はひたすら有害オリの管理に徹して自分ではワナはかけないとのこと。
 どうしてかと思ったら、地域で豚熱が発生していました。
 豚熱が発生してしまうと、その地域で捕獲したイノシシは販売ができなくなります。
 自家消費用として食べることは問題ないようですが、解体したイノシシの残渣についてもその場で埋められないなど厳しい対応が求められるため、とてもではありませんが捕獲する手間がかけられない状態になっています。
 ここ何年もイノシシが増えてきて農作物に被害を与えるということで、徹底的な駆除を求められ、ジビエの普及についても躍起になっているさなかでの豚熱発生。
 清浄化宣言が出るまでは猪肉を売ることができず、捕獲しても手間ばかり増えて赤字になってしまうため、猟期になっても猟をしないという選択を取る猟師が多いです。
 問題は、豚熱が発生しても、イノシシの増える数はそんなに変わらないということ。
 つまり、捕獲する圧がかからなければどんどん増えてしまうことになってしまい、農作物への被害も甚大になるのではないかと感じています。
 島根県農畜産課のウェブサイトによると、食べても害はないそうですから、捕獲して食べるという今までのやり方で問題なさそうなのですが、他方で流通はさせないとも書いてあります。
 「食べてもよいけど流通はさせないよ」となると、選択肢は自家消費しかないのですが、売れないものを手間をかけて捕獲する人はそうそういない気がします。
 ある程度まで増えれば、餌の取り合いになって自然淘汰されていくとは思うのですが、そこに至るまでに何が起きるのかが気になるところです。

豚熱(CSF)に関すること(島根県のウェブサイトへ移動します)

屋根の雪下ろしと安全帯

当研究所のある地域は降ってもこの程度。でも屋根からの落雪で怪我をすることはある。

 大雪が収まると、大量の雪が屋根に積もっている場所では雪の重さによる家屋の倒壊や落雪による怪我などが起こります。
 そのため雪下ろしをするわけですが、雪下ろし中に転落事故等により怪我をすることもよく起こります。
 雪下ろし中の転落防止のため、最近のNHKラジオの中で「安全帯をつける」ように放送がされていて、気になったことが一つ。
 確かに、転落を防ぐために利用されている安全帯は屋根など高所での作業では絶対に装備しておく必要のある道具の一つです。
 ただ、安全帯をつけるためにはその安全帯をつなぐためのアンカーという設備を準備しておかないと、もしも転落した時に安全帯が役に立たなかったという事態になりかねません。
 調べてみると、豪雪地帯である新潟県などでは屋根に雪下ろし用のアンカーを取り付けることや、そのアンカーを設置するために必要な工事代金の補助などが行われているようです。
アンカーを作る工法にもいろいろとあるようで、その場にあった工事をしてもらえるようです。
では、突発的に大雪が降った場合にはどうすればいいのか。
国土交通省のウェブサイトを見ると、「アンカーがない場合には反対側の柱や固定物にしっかりと固定する」となっていて、安全帯は必須であることと、固定するものの強度については特に問われていません。
 固定してみたら壊れてしまったということがないように、大雪が降りそうな場所にお住いで屋根にアンカーの取り付けができない場合は、冬に入る前に屋根から雪下ろしをする場合にはどこに安全帯を固定させるのかについて考えておいたほうがよさそうです。また、安全帯をつけていても転落時に救助してもらえなければ意味がありませんので、作業は必ず複数人で行うようにしてください。作業ができなくても、安全を確認するための見守り要員は準備しておきましょう。
 毎年大雪が降った後はほぼ必ずと言っていいくらい除雪時の転落事故が起きています。転落しないような対策について、大雪が積もる場所にお住いの方はしっかりと考えておくようにしてください。

「雪下ろし作業用具(安全帯、命綱、アンカー等)の入手、使い方について」(新潟県のウェブサイトへ移動します)

「雪下ろし安全10箇条~除雪作業中の事故に注意しましょう~」(国土交通省のウェブサイトへ移動します)