地図で「自然災害伝承碑」がわかるようになります

 現在、国土地理院の地図ではさまざまな「碑」が以下の同じマークで表示されています。

国土地理院の地図で表示される「碑」のマーク

 このたび、その中の「自然災害伝承碑」について新たにマークが作られることになりました。
 2019年3月15日以降、市町村等の地方自治体に情報提供を受け、自然災害伝承碑と判明した碑については順次表示が切り替えられていくとのこと。
 これから先、世代が変わって記憶が薄れていっても、地図に自然災害伝承碑が明記されていれば何かの災害がそこであったということだけは伝わっていきます。
 こういう形で地図に災害の記録が残されていくということはすごいことなのではないかなと思います。

今回追加される「自然災害伝承碑」のマーク。碑の中に縦線が入っている

 今後「碑」の中にこういう記号を見つけたら、そこで過去に災害が起きたのだなと思っていただければ、これから先の備えにもなるような気がします。
 さまざまな情報提供も考えられているようですので、気になった方はぜひ下記のリンクから国土地理院のホームページをご確認ください。

http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri190315.html

耐震と免震と制振構造

 建物の構造のお話をしていると、耐震と免震と制振がごちゃごちゃになっていることがよくあるなと感じます。
 ここでは整理を兼ねて、耐震と免震と制振の違いについて確認してみたいと思います。

1.耐震構造
よく言われる「この建物は耐震構造です」というのは、文字通り「地震に耐える構造になっている」ということです。
1981年以前は震度5強、それ以降は震度6強から震度7まで崩れない構造になっているものを指します。
建物が倒壊しないというだけですので、普通に揺れますし、建物内の家具などはひっくり返ったりします。
大きな地震が重なると、建物の強度が落ちて崩れてしまう可能性があります。

強度の足りない場合には力のかかる部分に補強をして倒壊を防ぐ耐震補強工事が行われることが多い。
写真は耐震補強工事後の島根県庁益田合同庁舎。

2.免震構造
地面と建物の間を切り離してその間にゴムなどの揺れを吸収する免震装置を置いた構造になっており、大きな地震でもあまり揺れを感じることはありません。
地震に対する効果はは絶大ですが、地下に空洞を作るため、台風や竜巻、水害などには弱い構造となっています。

建物の下につけられる積層ゴム型免震装置。上下左右の動きを受け流せる構造を持っている。
名古屋市立科学館の展示より

3.制振構造
地震の揺れを建物につけたダンパーなどで吸収して建物の揺れを押さえ、破壊を防止します。
エネルギーをダンパーなどで吸収するため、建物の強度が落ちにくく、大きな地震が重なっても崩れにくい特徴があります。

制振用ダンパー。建物構造物にかかる力を制御してダメージを抑える。
名古屋市立科学館にて

 免震構造や制振構造は大規模な建物や高層ビルなどによく使われる技術で、一般住宅にも一部採用されているようですが各装置の設定などが難しく費用も嵩むため普及するまでには至っていないのが現状です。
 2×4などの一般住宅は柱だけで無く壁全体で建物を支える構造になっているため、比較的地震には強いとされています。

 法的に決められているのは耐震基準だけで、その中に免震や制振があると考えてください。

L字金具+ビスでの家具固定

家具を固定しようという提案をすると多くの方はL字金具+ビスというイメージになるようで「どうせ抜けるから無駄」とか「やっても役に立たない」と言われることが多々あります。
前提条件として、固定方法はできれば二つ以上の異なる方法を使うということをご理解いただいた上で、これらを使ってどのように固定するとうまくいくのかについて考えてみたいと思います。
1.まずは家具の素材を確認しよう
固定したい家具がどのような素材で作られているのかによって固定方法も変わります。まずは固定したい家具の背面を見てみましょう。
背面になる部分の外側がどのような材料なのかを確認します。
ここから見える部分が一枚板や集成材なら大丈夫ですが、パーティクルボードのような端材を圧着接着しているようなものならこの時点でL字金具+ビスの固定は無理です。揺れると簡単に抜けてしまいます。

固定に使う木の堅さによってビス留めできるかどうかが決まる

2.壁の構造材を確認する
次に固定したい壁がどんな構造物でできているのかを確認します。とはいっても、木造モルタル構造の一軒家の場合だと、殆どの場合壁紙の下は石膏ボードかベニヤだと思います。
家具をしっかりと固定するためには、この壁を構成する構造材の下にいる間柱や横胴縁にビスを打ち込む必要があります。
そのためには壁の厚さ+αの長さをもつビスと、下地を調べられるセンサー類を準備しましょう。また、電気の配線なども通っていますので、電源の位置関係も気にするようにします。

縦方向が間柱、横方向が横胴縁。壁の中はこの部分以外スカスカなのに注意。

3.L字金具の向きに注意する
L字金具を取り付ける際には、壁側のL字のビスを家具で隠すような取り付けを行います。強度を確保するため、できれば家具の両端と真ん中を止めるようにします。

L字金具の取付例。黒い金具の取付方法のほうが強度があるとされる。

 私自身は家具の床部分の手前側に必ず新聞紙をたたんだものを挟むようにしています。
 家具の重心を中央部よりも気持ちだけ壁側にすることで、他の固定方法がより活きるのではないかと考えているからです。
 家具の固定方法はさまざまです。
 今回はよく言われるL字金具+ビスでの固定方法をご説明しましたが、これで固定できない家具は案外と多いものです。
 他の固定方法については、また後日考えてみることにします。

災害時の医療トリアージ

 「医療トリアージ」は大規模災害で対応すべきけが人の優先度を決めるために導入されたシステムです。
 「トリアージ」とはフランス語で「選別する」という意味で、 元々はナポレオンの時代に戦場で負傷した兵士の処置優先順位をつけ、有限な治療スタッフを必要なけが人に重症度・緊急度に応じて対応するために考えられたものです。
 日本でも東日本大震災ではこのトリアージが行われました。
 大規模災害が発生して多数のけが人が発生すると、医療機関の処置能力を超えてしまいます。
 通常時のように先着順や文句の多い順に処置をしていては、処置しないと死んでしまう人を助けることができません。
 そのため、処置を開始するまでに二回のトリアージを行って重症で緊急性の高い人から対応するようになっています。

 けが人は、まず救護所などで重症度及び緊急度の判定を受け、その判定に応じて対応する場所に送られることになります。
 判定区分は4つで、間違いが起こらないように色で分けられています。

 「緑」はかすり傷など治療不要または簡単な処置で入院や通院が不要な人につけられます。
 「黄」はすぐに命に関わる状態ではないが後できちんと処置を行わないといけない人です。
 「赤」は今すぐに治療を開始しないと命を落としてしまうことがはっきりしている人です。
「黒」は既に亡くなっているか、医療措置をしても助かりそうにない人、つまり手の施しようのない人につけられます。

 最初に運ばれた救護所では、トリアージ以外は気道確保や止血措置など簡単にできるものに限定した処置を行い、トリアージ後に送られた場所で本格的な処置を受けることになります。
 つまり、早く行っても軽傷の人は後回しにされますし、いくら大声で凄んでも手当の順番に変更はないことになります。
 また、最初のトリアージで「赤」となっても、搬送先でのトリアージでより緊急性の高い人がいれば待たされることになります。

トリアージタグ(訓練用)表裏に症状を記載して、色の部分を切り離す。慣れていないと書きにくい。

 大規模災害時には、まずは自分で手当を行うこと。そして手に負えないときに医療機関へ搬送をするという風に考えてください。
 手に負えない場合とは、骨が折れている場合や長時間何かの下敷きになっていたような場合、意識が混濁しているような状態です。
 そういう点では、普段から持病を持っている人は災害時にどのような段取りをすればよいのかについてかかりつけの医師や薬剤師などと相談し、自分の身を守るための準備もしておかないといけません。
 トリアージの細かな内容については、機会があればまた触れることにします。

あれから8年

 東日本大震災から8年が過ぎました。
 あの震災からの「復旧・復興」はどの程度進んだのでしょうか。
 福島第一原子力発電所の問題は未だに先が見えません。高齢化も進み、地域も崩壊しているとも聞きます。
 被災地の人たちにとっては未だに現実でも、それ以外の人にとっては過去のことになりつつあるような気がする今、あのとき何が起きたのかを確認することがあってもいいのではないかと思います。
 少なくとも、二度と同じような犠牲を出さないために、あのときが分かる資料をリンクしておきます。
 正直つらい映像も混じっていますので、リンク先は自己責任でご覧ください。

東日本大震災100枚の写真(時事通信社)

NHK東日本大震災アーカイブス 

デマ情報ってなんだろう?

 先日2月11日に北海道胆振地方で再び大きな地震が起きました。
 SNS(ソーシャルネットワークサービス)では相変わらずいろいろな情報が飛び交ったわけですが、それについて北海道庁と北海道県警は伝聞を鵜呑みにせず公的機関の発表する情報を確認するようにとTwitterで発信していました。

北海道警察のツイッターより抜粋。
こちらは北海道庁のもの。


 では、どのような情報がデマ扱いされるのか。
 一つ目は「出所不明の情報」です。「俺の知り合いの人が自衛官に聞いた話だと~」や「隣のおばさんの話では~」というのは出所が分からない情報です。
 こんなときだからこそ、自治体や警察、消防と行った公的機関が発表する情報をきちんと確認する必要がありますし、公的機関はタイムラグ無く情報を発信し続ける義務があります。
 去年の9月5日の胆振東部地震で最初にブラックアウトと呼ばれる大規模停電をSNSで知らせたのは旭川市の「旭川防災」のツイッターだったそうですが、このツイートが瞬く間に拡散されて、初めて様子を知ったという被災地の人も多かったようです。

「ブラックアウト」に関する最初の公的機関からのSNSでの発信情報だったらしい。

 公的機関のどこかが公表すればきちんと拡散されるということが証明されているわけですから、時間差なしで正確な情報を発信し続けることができるかが、公的機関は問われていることになります。
 公的機関の防災計画書の中にSNSへの対応がどのように明記されているのかが気になるところです。
 次に、SNSを見る被災地の人たちにとって必要な情報とは「今どうなっているのか」と「今後どうなるのか」の二点が最優先です。
 ツイッターでは発信した日はわかるのですが発信した時間までは確認ができませんでした。そうすると、「いつの情報だ」というのを本文中に書き込んでおかないといけません。「○○日○時現在の~」というように、字数は必要になりますが時点をはっきりさせておくことで、混乱が防げるのでは無いかと思います。
 そして「いつ、どこで、だれが、何を、どのようにする」を発信することが今後どうなるのかということになるのではないかと思います。これも発信時点がきちんと書かれていると修正が起きたときに判断がしやすくなるのではないでしょうか。
 今回、デマ情報とされた中に、以前総理大臣をされた鳩山由紀夫さんのツイッターが混じっていたと聞きました。
北海道庁だか北海道県警だかが事例としてあげたそうですが、その部分はそれぞれのツイッターやホームページを調べても記載がありませんでしたのでその真偽は不明です。

鳩山さんのツイッターより抜粋。

 ところで、鳩山さんの問題のツイッターに書かれていたのは、鳩山さんが考える「この地震の原因」でした。
繰り返しになりますが、被災地の人には「現在何が起きているのか」と「これからどのような対応をしないといけないのか」「どのような動きがあるのか」がきちんと届くようにしなければなりません。
「それがなぜ起きたのか」は、災害発生中は優先度がかなり低い情報であり、状況が落ち着いてからしっかりと検証すればいい話です。
そうでなくても混乱している状況に拍車をかける行為として、デマ認定されてもおかしくはないのかなと個人的には思いました。
ともあれ「いつ、どこが、誰に対して、どのように、何を発信したのか」を確認することがデマに振り回されない第一歩です。
発信する側も確認する側も、そのことを意識して情報をやりとりしないといけませんね。

防災タクシーという選択肢

 妊婦さんを運ぶタクシーというのがあるそうです。
 お産の予兆が出たとき、あらかじめお願いしておくことでスムーズに指定する病院まで専門の研修を受けた運転手さんが運んでくれるというサービス。
 妊婦さんもタクシー会社もお互いに不安にならず済むという点でとてもいいサービスだなと思います。

妊婦さんをサポートしてくれるタクシーのポスター。
こういうサービスが増えるとみんなが幸せになれる気がします。

 同じようなサービスを防災でできないかなと考えてみました。
 例えば、被災する可能性が高い高齢者の多い地域で、あらかじめ自治会や行政とタクシー会社が協定をして「避難準備・高齢者避難開始」が発令された段階で高齢者を回収し、指定する避難所まで輸送してもらう。
 それによって高齢者しかいない地区でも迅速に避難ができるのではないかと思います。
 現状では消防団や自治会の役員さんが危なそうなときに一軒ずつ回って声かけをするわけですが、実際にはその後の避難に人手を取られてしまいます。
 輸送部分をタクシー会社にやってもらうことで、消防団や自治会役員の負担を減らそうという考え方です。
 タクシーの運転手さんの安全や代金の支払い方法、避難先でのさまざまな段取りといった問題はありますが、選択肢の一つとして検討してみてもいいのではないかと思うのですが、あなたはどう思いますか?

被災地で起きる大きな4つの問題

 「トイレ」「ゴミ処理」「犯罪」「遺体処理」は被災地で大きな問題になるものです。
 人が生活する以上、トイレとゴミの問題は避けて通れませんし、治安力の弱まった地域には犯罪者が寄ってきます。
 また、残念にも災害で亡くなった方のご遺体をどこへ保管してどのように処理を行うのか、これがはっきりと決めてあるところは殆どないのではと思います。
 これらを解決するにはどうしたらよいのか、ちょっと考えてみることにします。

1)トイレの問題

 食べることは我慢できても排泄は我慢できません。
 ちょっとその辺でというわけにもいきませんので、トイレは災害後まっさきに発生する問題になります。
 日本トイレ研究所が調べた東日本大震災の状態では「9時間以内に避難者の8割弱がトイレに行きたくなった」という調査結果も出ています。
 では、その時トイレはどうなっていたのでしょうか?
 ごく少数の「くみ取り式」は問題なく使えたそうですが、「浄化槽式」や「下水式」だと配管がずれたり破損したりして使うことができなかったようです。
 無理矢理使って、トイレが汚物の山になったというケースもあまたあったようです。
 下水や浄化槽の修繕は一ヶ月以上はかかるようなので、その間は仮設トイレを使うことになりますが、それが間に合ったのかというと、「仮設トイレは3日以内に34%しか間に合わなかった」「もっとも遅いところでは1ヶ月以上もかかった」とのこと。
 詳しくはリンク先のリーフレットをお読みいただきたいのですが、被災したときのトイレをどのようにするのかというのはかなり大きな問題になると思われます。
 静岡県などではクラウドファウンディングによって移動式の仮設トイレ車を作って稼働させているようですが、排泄した後の排泄物をどのように処理するのかについて、自治体は事前に決めておかないといけないと思います。
また、個人や家族の間でも災害が起きたときにトイレをどのようにするのかについて話し合っておくことも必要ではないでしょうか。

2)ゴミ処理

 災害が起きると、ゴミの問題も発生します。
 生活するのに出るゴミと、被災した家屋や家具、日用品など使えなくなったものが災害ゴミとして出されます。
 生活ゴミは通常通り分別するのはもちろんとして、災害ゴミもできる限り普段通りの分別を行って出すようにしないといけません。
 ごちゃごちゃにして捨ててしまうと引き取ってもらえないだけでなく、混じったゴミから虫が発生したり悪臭や汚水などで衛生環境も悪化します。
 例えば、冷蔵庫がダメになったからと言ってそのまま捨てるのではなく、中身は生ゴミとして別に処理し、冷蔵庫は冷蔵庫として単体で処分に出すようにしましょう。
 大変ではありますが、ゴミを出す最初のところでしっかりと仕分けがされていると、被災自治体だけで処理しきれないゴミを支援する自治体が引き受けてくれることも可能になりますし、そうすればゴミの回収も早くなります。
 また、回収する側も素早く確実に回収が出来る仕掛けを作っておくことが大切です。

3)犯罪

 被災地には支援してくれる応援部隊と同じくらいの速度で空き巣や窃盗団がやってきます。
 警察や地元の治安力が災害によって弱まっているところを狙って被災家屋や施設、避難所等にある金目のものをごっそりと奪っていきます。
 これに対抗するには、地域外の車の流入を防ぐことや警察や自衛隊による巡回強化、地元住民による自警団のパトロールを行う必要があります。
 犯罪者は一見ボランティアのような風体で被災地を巡回することも多いですので、見知らぬ人を見たら必ず声をかけて何をしているのかを確認することや車のナンバーを控えることなどを住民の共通ルールとしてなるべく被害を押さえる努力をしましょう。
 ただ、普段隣に誰が住んでいるのかわからないような状況では犯罪を阻止するのは不可能ですので、普段からの近所付き合いも犯罪対策には有効なのではないかと思います。

4)遺体処理

 被災して、建物の倒壊や火災その他の理由で残念にも亡くなられる方も出るでしょう。
 数人程度ならなんとかなるでしょうが、大規模な災害だと、死者の数は通常処理できる数を簡単に超えてしまいます。
 それらのご遺体をどこへ仮安置するのか、どのように死因を確認し、どのように遺族に引き渡し、どのように埋葬するのかについては事前にルールを決めておかないと、通常の流れでは対応できなくなります。
 せめて遺体安置所になる施設だけでもあらかじめ決めておく必要があるのではないかと思います。

 いずれも普段あまり目を向けたくない部分ですが、災害時にはいろんなものが極端化して噴き出してきます。
 行政や自治会、NPOや各個人に至るまで、それぞれ自分にできることがあると思います。
 自分にできることを意識して準備しておくことで、やってくる災害に対してうまくやっていきたいですね。

がま仙人と青蛙神(せいあじん)

右ががま仙人で左が青蛙神。がま仙人はかなりでっかいひょうたんを持っているけれど、かなりのお酒好きだったのだろうか?

 3月いっぱいまでは休館中とのことですが、先日、ひょんなことから津和野町の日原にある日原歴史民俗資料館の収蔵物を拝見する機会に恵まれました。
 その中に収蔵されている大きな衝立に描かれているのが今日ご紹介する「がま仙人と青蛙神(せいあじん)」です。
 この衝立は元々お医者様の家の玄関に置かれていたそうで、作者は山本琹谷(やまもときんこく)という津和野町出身の絵師で、この資料館では「蝦蟇(がま)の絵」として紹介されています。写真ではわかりにくいのですが、青蛙神は前足二本後ろ足一本でおたまじゃくしのようなしっぽのついた姿をしています。福の神とされており、がま仙人とともに江戸時代には縁起物として好んで描かれていたそうです。
 「何で防災なのに美術品?」と思われたかもしれませんが、この青蛙神、実は「天災を予知する神」でもあり、がま仙人はこの青蛙神を従えて各地を放浪して、行った先々で起きるその地方の天災を青蛙神から聞き出しては、それを地域の住民に伝えてさまざまな供物を受け取っていたそうです。
 もしもこんな妙な姿のガマガエルを見かけたら、その地域で起きる天災を聞いてみるのもいいかもしれません。ひょっとすると、いろいろと教えてくれるかもしれませんよ。

 興味のある方はリンク先の日原歴史民俗資料館のサイトで営業日をご確認ください。

眼鏡と入れ歯

 被災者の不足するものにはいろいろとあります。
 特に紙おむつや子供用ミルクは結構騒がれるのですが、必要なのに案外と見過ごされているものがあります。
 それは眼鏡と入れ歯。
 どちらも必要な人にはないと困るものですが、災害時にはこれが無くなることが非常に多いようです。
 ところが「自分が我慢すれば」ということで特に訴えられないため、文字が読めず情報が手にはいらない、食事も堅いものが食べられなくなって衰弱していくような事例があるそうです。
 支援物資として送られてくるものは衣食に日用品と多岐に渡りますが、眼鏡や入れ歯は完全に個人的なもののためほとんど顧みられることがありません。
 銀行や役所の窓口にあるような程度の既製品の老眼鏡ですら被災時には不足するのですから、個人にあわせて作らないといけない眼鏡や入れ歯は、支援物資では対応ができません。
 どこかの段階できちんと眼医者さんや歯医者さんにかかり、改めて眼鏡や入れ歯を作成してもらわないといけないのですが、この部分についてはどこの防災計画を見てもあまり定められていないようで、眼医者さんや歯医者さんが災害後どのような状態にあるのかがさっぱりわからないというのが現状です。
 目や口のケアは普段からとても大切なことですが、災害時には特に気をつけないといけない部分です。
 私は発災後、ある程度のところでDMATなどの医療チームのように眼科や歯科も医療チームを編成して対応に当たる必要があるのではないかと思いますが、実際のところはどうなっているのか、調べてみましたが特に決まっていないようでした。

 かかりつけの歯医者さんと、目医者さんもしくは眼鏡屋さんに、あらかじめお願いしておくくらいしか、今のところは手がなさそうです。