台風には気を付けて

 台風14号はどうやら本州縦断コースをたどる気配です。
 2022年9月18日14時現在のこの台風の勢力は「大型で非常に強い」となっていますが、この台風の大きさの表現がどのようなものなのかは、以下のリンクからご確認ください。

台風の表現を知ろう」(当研究所のウェブサイトへ移動します)


 また、台風の進路予想図には見方があり、これを間違えると本来とは違う予測の見方になってしまいます。
 台風の進路予想図の見方は、以下のリンクからご確認ください。

台風の進路予想図の見方」(当研究所の該当ページに移動します)
 九州から中国地方に向けて移動していくこの台風の影響が出る前に、周囲のお片付けや、場合によっては日のあるうちの避難など、適切に命を守るための行動をとってほしいなと思います。

台風対策を考える

 毎年毎年大きな台風がやってきますが、どうも今年もその季節になったようです。
 毎年のこととはいえ、台風は季節のものなので、去年どうやっていたかはなかなか思い出せないもの。
 そこで、今日は台風対策についてやっておいたほうがいいことを書き出してみましたので、参考にしてください。

1.屋根とアンテナの点検

 台風は風も雨も強いことが多いのですが、屋根が壊れていたり、瓦がずれていたりすると、そこから屋根全体に被害が広がることがあります。
 屋根が飛ばされてしまうと、家としての居住環境が失われてしまいますので、台風が来る前、というよりも風が強くなる前にきちんと点検しておきましょう。
 テレビアンテナがある場合には、そちらも状態を確認しておいたほうが安心です。

2.雨どいの点検と掃除

 屋根に降った雨を上手に排水するためには雨どいがきちんと流れなければ困ります。
 雨どいの点検をして、もしもゴミがあるようならそれらは全て取り除き、雨がきちんと雨どいを流れるようにしておきましょう。

3.家の周囲の飛びそうなもののお片付け

 家の周りの飛びそうなものを括り付けておくか、屋内に取り込むようしておきましょう。
 よく飛ぶものとしては、物干しざおやごみ箱、自転車がありますので、これらは屋内に取り込むか、地面に倒しておくかして風に当たって飛ばないようにおきましょう。

4.窓ガラスや出入り口の補強をしておく

 窓や出入り口は、開かないようにしっかりと鍵をかけておきましょう。
 割れて中に風や雨が吹き込まないように、ガラス部分には飛散防止フィルムや養生テープによる飛散防止をしておきましょう。
 また、割れた破片が屋内に飛び散らないように、窓側のカーテンやブラインド、障子などはきちんと閉めておきましょう。

5.停電対策をしておこう

 台風でよく起きるのは停電です。充電池の充電を済ませておくことや、カセットガスの準備、電池式ランタンや懐中電灯の電池の確認をしておきましょう。倒れたり飛ばされたりする危険性があるので直火であるろうそくは使わないようにしてください。

6.水の確保

 停電になると、水道も止まることがあります。1日~2日程度の飲料水は確保するようにしておきましょう。

7.避難判断の確認をしておく

 台風が襲来すると、その勢力圏にいる間は基本的に外出できないと思ってください。
 高潮や河川氾濫、がけ崩れがおきる可能性のある場所や普段から強風の吹き付けるような場所にお住いの方は、どの時点で避難判断するのか、避難先はどこにするのか、避難の手段はどうするのかについて事前に決めていることを確認しておきましょう。

 台風自体は数時間から1日程度で影響がなくなることが多いですが、気象情報などを確認し、勢力圏にある間はできる限り外出しないようにしましょう。
 また、事前に公共交通機関は運休や間引き運転、運航打ち切りなどの判断をしていることも多いですので、お出かけの予定がある場合には早めにどうするのかを判断してください。
 年々台風の勢力は強くなっている感じがしますが、対策をしっかりとしておけば何とかなるものです。
 台風情報をしっかりと確認して、ご安全にお過ごしください。

参考までに、台風のメッカである宮古島を管轄する気象庁の宮古島地方気象台が「台風への備え」をわかりやすく説明してくれていますので、よかったらそちらもご確認ください。

台風への備え」(気象庁宮古島地方気象台のウェブサイトへ移動します)

避難所のごはんの現実

 非常用持ち出し袋を作っておいて、避難が必要な時にはそれを持っていくということは、災害が起きるたびにさまざまなところで言われていることですが、でも、実際に自分が対象になると何も持たずに身一つで避難する、あるいはいつものカバンだけ持って避難するという人がまだまだたくさんいらっしゃいます。
 災害が発生した後での避難の場合には仕方がありませんが、避難所に避難した後、避難所には何もないということを初めて知る方もたくさんいて、そこで揉めることも多いです。
 毎回ここでも書くことですが、避難所には原則として何もありません。
 毛布や非常食の備蓄はいくらかあるかもしれませんが、避難者全員に行き渡るようなものはとてもありません。
 そんななかで、自分の居場所や生活を確保していかないといけないので、かなり厳しい条件になっているということを理解しておいてください。

 居・食・住のいずれも厳しいのですが、今回はごはんについてのリアルです。
 地震のように突然発生する災害ではなく、大雨や台風などであらかじめ避難ができるような災害の場合には、自治体および避難所によっては避難食ともいうべき軽食が支給されることはあります。
 菓子パン、おにぎり、お茶、水またはスポーツドリンク。これが提供されるものの全てです。
 当然アレルギー対応などは考えられていませんから、アレルギーを持っている人はそれらを食べることには覚悟が必要になります。
 そして、避難が長時間に渡る場合、食べられる避難食は毎回同じものになるので、だんだんと食べられなくなってしまう場合もあります。
 特に高齢者の方にはそれが顕著にでますが、あらかじめ自分が食べるものを用意しておかない限りは、与えられるものでやっていくしかありません。
 災害後は、通常の物流は止まりますので何もしなければ、数日間は食べるものがない生活になります。
 やがてプッシュ式で送られてくるのはお弁当になりますが、油ものや練り物などで占められよく冷えた(たまに凍ったままの)お弁当が三食となります。
 正直なところ、これではどんなに元気な人でも体調を崩すよねと言いたくなるような不健康な食事が数週間、下手するとひと月以上続くことになりますが、それが理解できているでしょうか。
 そんなとき、自分の好物が一つでもあれば、随分と気分が変わると思います。
 非常用持ち出し袋に入れておく食料品には、そういったものも入れておく必要があると思っています。
 自分が好きな味付けの防災食を準備しておいて、同じ食事が続くときには追加して目先を変えたり、不足するビタミン類や繊維質のものを加えておいたり。
 人口が少なかったり、農業地域なら自分たちでの毎食の炊き出しもできると思いますが、そうでない場合には、しっかりと備えておくようにしてください。

届くのを待つか、取りにでかけるか

 災害後のさまざまな支援が準備されているのに必要な人に届かない、いわゆる「防災のラストワンマイル」というものがあります。
 情報にしても物資にしても、必要なものがそばまで届いているのに必要な人の手元に届いていないということは現在でもあるのですが、特に物資についてはこの傾向が強い気がします。
 行政の支援物資の輸送は、最寄りの集積所までは発災から3日目までにはほぼ集積されているのですが、そこから必要とする避難者や避難所に輸送する手段が確保されていないのでしばらくの間その場に滞留することになります。
 この輸送は、最初は自衛隊、落ち着いてきたら宅配業者や地域の輸送業者というパターンが多いのですが、あらかじめどこに集積しているのかがわかっていれば、各避難所から物資集積所に引き取りに出かけてもよいと思っています。
 ただ、これは誰もが一斉に取りに出かけると収拾がつかなくなるので、自主防災組織など平時から災害対策に取り組んでいるところや、地区防災計画を作っているところであれば、その中でどのように引き取りを行うのかについてを決めておくといいと思います。できれば、それを行政と共有化し、物資の輸送と配布についてできるだけ自動化しておくと手間がかからずに安心して活動ができます。
 大きな災害になると、警察や消防、自衛隊や行政機関の支援車両などの緊急車両以外は被災地内の移動が制限されることが多いです。そのため、支援物資を被災地内で配布するための車両も公的機関のもの以外は制限され、結果として物資が来ないという状況になってしまいます。
 取り決めをして、物資集積所と避難所との間を結ぶ輸送車を緊急車両にしてしておくことで、これらの制限に引っかからずに速やかな輸送が可能になります。
 都会地はともかく、地方ではそれなりに軽トラックなどの輸送手段が地域にある場合が多いですから、それらを有効活用するのは一つの方法ではないかと思います。
 災害に対する支援は、都会と田舎では優先度やしなくてはいけないことが随分と違います。
 それを踏まえたうえで、その地域に応じた災害対応計画を策定しておくことが重要なのではないかという気がしています。

土地を買う時の災害リスクからみた注意点

 土地の売買を行う際、売り主の重要説明事項として令和2年から洪水ハザードマップで売る土地の確認をさせることが追加されました。
 また、それ以前の土地でも、被災した時に売り主の説明がされなかったことが問われる裁判が増えてきているようです。
 買う側もしっかり調べたほうがいいのではないかと思うのですが、高い買い物なのにリスク分析がされていないという妙な習慣はなかなか治らないようです。
 このうちで注意しておいてほしいのが、該当地が宅地化される前がなんだったのかということです。
 田畑の場合には、地盤調査と水の流れについての調査はしておいてください。
 最近では元田畑の土地の地盤調査は割と当たり前になってきているみたいですが、その田畑にどうやって水を引っ張ってきていたのかということを確認することはまだまだないみたいです。
 田畑には大きく分けると開拓して田畑にした場所と、田畑にせざるを得なかった場所とが存在します。
 どちらにしても、水がどこから来ているのか、そして高さはどうなのかということをしっかりと確認してください。
 江戸時代に遊水地として整備された部分や、水が集まってくるために田畑しか使い道がなかった場所など、過去の地図を見ると案外と簡単にわかることも多いです。
水に浸かるのは何も越水だけではありません。流水でも家に水が入ってくることはあるのです。
 そして、水は昔の記憶を持っています。妙な言い方ですが、河川改修で川筋が変わっているような川でも、溢れた後は以前の川の跡を流れていくことがほとんどなのです。
せっかく高い買い物をするのですから、その土地の成り立ちをしっかりと確認したうえで、土地を選ぶことをお勧めします。

やったことがないことはできない

 遊具や包丁、カッターナイフなど、ちょっとでも事故が起きようものなら寄ってたかってそのときの管理者の管理責任を問う強い声が出ます。
 管理する側は危険を教えるよりも危険そのものを撤去したほうが早いし楽なので、撤去や使わないという選択をし、最終的には危険なことを知らない人が誕生します。
 これは非常に危険なことで、小さな事故で痛い経験や怖い経験をしていれば防げるはずの大事故が頻発することになるのです。
 どんなことでもそうだと思いますが、特に危険は体験や経験がものを言います。
 危ない経験からは、逆にどこまでなら安全かを割り出す基準になりますし、怖い思いをしたら、その怖いことを回避しようとするでしょう。
 本来の危険予測や危険回避はこうやって経験や体験によって磨かれていくもので、その経験できる元をすべてなくしてしまったら、そもそも危ないことや怖いことが理解できないのです。
 当研究所のイベントでは、どんなにスタッフが注意していても、毎回やけどや手や足を怪我したり、ハチなど虫に刺されたりといったトラブルが発生します。ただ、経験した子供たちは同じことは二度としません。痛い、怖い経験からきちんと学習しているのです。
 誰もそうですが、やったことがないことはできません。失敗するのが当たり前。
 でも、今はその失敗をすると怒られます。結果、失敗をしたくない、失敗ができない子供たちが誕生しているのです。
 やったことがないことはできないのですから、やってみてできてもできなくてもやったことを認めることが、本当は大切なのではないでしょうか。
 危険を遠ざけるのではなく、危険を予測し、理解し、自ら近づかないようにすること。本当に必要なのはこれではないのかと、筆者は思っています。

TPOで判断は変わる

 災害や置かれた条件で、取るべき行動の正解はかなり変わってきます。
 同じ災害でも、いる場所や置かれた条件によっては、正解が真逆になっていることもありますので、置かれた状況を判断する力をつけておく必要があると思います。
 例えば、非常用持ち出し袋。
 水害や台風など、災害が起きることが予測される状況であれば、必ず持って避難すべきですが、地震に伴う津波がくるような状況だと、非常用持ち出し袋を持つよりも高台への避難行動が優先されます。
 また、地震の時に机の下にもぐるのは、落下物が少ない場所なら有効ですが、建物が崩れそうなら屋外への避難を最優先にしないといけません。
 どれが正解かなのではなく、いる場所と置かれた状況によって正解が変わってくるのです。だから、判断を間違えないためには、普段想定している状況ではなく、今遭遇している現状を受け入れることが大切です。
 今優先すべきはなんなのかをしっかりと考えたうえでの行動となりますが、優先度の判断というのは慣れていないと非常に困難を伴います。
 普段の生活のちょっとした判断を求められる状況で、判断とそう考えた根拠を意識する練習をしておきましょう。
 この判断というのはなかなか難しいものですが、正しくても違っていても、よくわからなくても、判断をする練習をしておくことで、いざというときの判断も的確になる可能性があがります。
 災害時に優先されることは常に同じではなく、いる場所や状況で変わるということ。
 そしてそれを踏まえたうえで、自分の命がどうやったら守れるのかを常に考えるようにしてくださいね。

今日は防災の日です。

 今日は防災の日です。
 1923年9月1日に関東地方を襲った関東大震災を忘れないように制定されたもので、国ではこの日を中心にしてさまざまな防災イベントを実施しています。
 ここ数年は新型コロナウイルス感染症の蔓延が続いているので大規模な防災訓練は行われていませんが、職場などの小さい単位では、避難訓練などを実施ているところもあるのではないでしょうか。
 また、この日をめがけてシェイクアウト訓練などの訓練や、非常用持ち出し袋などの備品や消耗品の点検をする人もいるようです。
 大雨、地震ときて、どうも台風もやってきそうな雰囲気ですが、災害への備えを考えるいい日ではないかと思いますので、あなたの備えを見直してみてはいかがですか。

危険を知らない危険

 子供がちょっとした事故を起こすたびに、さまざまな道具が子供から取り上げられています。
 先日「初めての防災キャンプ」をしたのですが、そこで驚いたのは、カッターナイフの使い方を知らない子供が複数いたこと。
 現在学校ではカッターナイフは危険だという理由で使わせていないそうなのですが、この考え方は危険だなと感じています。
 道具類、特に刃物は使い方を覚えるときにはちょっとした怪我が付き物です。
 逆に、その痛さを知っているからこそ他人に向けることがなくなるのではないかと思うのですが、刃物の危険性を知らないから、刃物を平気で人に向けるし、振り回すし、大きなけがをするのではないかと思うのです。
 子供をあらゆる危険から遠ざけるのは、ある意味では大人のエゴなのかもと感じることがあります。実際に危険を体験しないと、そもそも危ないということがわかりません。
 危ないことを排除された環境の子供たちが大きくなると、いきなり危ないことだらけに遭遇するわけで、大事故が起きるのは仕方ないのかなという気もします。
 できるだけ制御されて危険のない状態で体験する危険で、危険なことを知ってもらうこと。
 痛みやけがをすることで、危ないということを体感してもらうこと。
 危険を知らない危険から子供たちを守るには、危険を実際に体験してもらうことが大切なのではないかと思っています。
 こういう考え方が危険だと言われてしまいそうですが・・・。

家族の料理と炊き出しの違い

当研究所が主催している”外遊びご飯の会”の一コマ。

 普段ご飯を作っている人なら簡単に炊き出しができるのではないかと思われる方もおられると思いますが、一度やってみるとその考えが間違っていることに気づくと思います。
 確かに、普段作っている分量を多くすれば、計算上は多人数のごはんづくりも可能ですが、実際には材料だけでなく、鍋や釜といった調理器具やコンロの火力、調味料の量などなど、想像以上に手間暇がかかって作るのがとても大変になります。
 避難生活で暖かいものを食べたいと考え、自分たちで炊き出ししようとすると、いきなりだと失敗する場合も結構あります。
 大人数の調理は、大人数の調理のコツがいろいろとありますから、できるなら年に1回以上、地域や職場で炊き出しの練習を兼ねた催しをすることをお勧めします。
 実際に作ってみると結構大変ですが、それらを食べることで仲良くなれますし、やり続けるとコツもわかってきます。
 そしてなにより、被災後にも調理ができるという自信につながりますから、万が一食料品が届かなくてもなんとかなるという安心感があります。
 ここ数年、新型コロナウイルス感染症の蔓延で一緒にご飯を食べるということが半ば禁忌扱いになっていますが、状況が落ち着いたなら、一緒に炊き出しして食べてみてください。
 いろいろな発見があると思いますよ。