台風や大雨による越水、氾濫などによって自宅などが浸水したときになってから、慌てて市町村や消防、警察などの行政機関に救援を求める人が相変わらず多いです。
特に「水に浸かるはずがない」とか「うちは絶対大丈夫」といった根拠に基づかない楽観論で構えていた人ほど慌てるようです。
そういった災害時には、行政機関は被災地域での被害をできる限り小さくすべく頑張っているわけですが、その中で避難遅れによる「助けてくれ」の連絡はあらゆる仕事の邪魔になります。
自分の住んでいる場所は自分で選択しているわけですから、本来はその場で発生することが予測される危険性は知っておかないといけないですし、いざというときの対応もきちんと考えておかないといけません。
助けてもらおうと電話する人は、被災者が自分だけと思っているのですが、そういった人達が大量に発生することが殆どですので、救助の手は非常に遅くなると考えてください。
身の安全は自分で確保しておく必要があるのです。
そのためのハザードマップであり、避難訓練や防災研修会だったりするのです。
災害時に慌てて避難先を行政機関に電話して聞くような愚かなことはしないでください。
もしも避難が必要な場所に住んでいるのであれば自分の避難先や避難方法、避難開始判断の鍵はきちんとわかるようにしておいて、災害が発生してから慌てることがないようにしておきたいですね。
カテゴリー: 非常用持ち出し袋
非常用持ち出し袋に関するあれこれです。
避難所の食事に足りないもの
避難所の食事では、どうしても食物繊維とビタミン類が不足してきます。
それらを補うためには、野菜や果物を取る必要があるのですが、炊き出し以外ではなかなか充足したものを取るのは難しい状態です。
食中毒のことを考えれば、生野菜の選択肢はありませんし、また、薄味というわけにもいきません。
一食あたりの単価も決められており、そこまで高いわけでもないようですので、どうしても揚げ物が多い弁当になってしまいます。
果物でも支給されればいいのですが、発生する生ゴミの処理の問題もあって、なかなか気軽に支給するわけにもいかないようです。
ただ、食物繊維やビタミン類が不足すると便通は確実に悪くなりますし、身体の抵抗力も落ちてきますから、できるなら何か手を打ちたいものです。
ビタミン剤や食物繊維の錠剤が手に入るのであれば、それらを使って補充すればいいですし、普段それらを使わないのであれば、粉茶を用意しておくといいようです。
お茶にはビタミン類が含まれていますし、粉茶として摂取することで食物繊維も取ることができます。
賞味期限はありますが、もし普段から緑茶などのお茶を飲む習慣があるのであれば、粉末茶をぜひ用意して置いてください。
非常用持ち出し袋に一パック入れておき、ローリングストックすることでいつも管理のできている粉茶を飲むことができます。
お茶の効能についてはいろいろな場所で書かれていますのでここでは触れませんが、体調管理用に一パック、準備しておくといいのではないでしょうか。
ちなみに、防災ポーチに数本入れておくと、本当の緊急時にも使うことができて安心ですよ。
ビニール袋と新聞紙
非常用持ち出し袋や避難所で備えておくといいものにビニール袋と新聞紙があります。どちらもありふれたものではありますが、使い方を知っていると非常に使えるアイテムです。
例えば、どちらも紐で吊せば間仕切り、袋として使えば物入れやゴミ入れに使うことができますし、他にもビニール袋は生活水の運搬や洗濯、新聞紙は汚物処理や燃料としても有能です。
組み合わせると枕や布団、座布団や防寒具と言ったアイテムを作ることができますし、緊急時の簡易トイレも作れます。
単価も安く、場所も取らないので備蓄もしやすいのが特徴のこの二つのアイテム。
ビニール袋の有料化や新聞を取らないおうちが増えているのあまり手元にないことも多くなってはきましたが、準備しておくといろいろと使えて便利ですよ。
防災に完全なマニュアルはない
防災については最近どうやら流行のようで、本屋さんやネット通販でもさまざまな本や道具が販売されています。
「これがあれば大丈夫」とか「こういうときはこうする」などといったテクニックや災害時の行動マニュアルもずいぶんと紹介されるようになりました。
ただ、ちょっと気になるのが、ノウハウ系、マニュアル系の本が増えるに従って、「こうしなければならない」という風潮が出てきているように感じていて、それはどうなのかなと思っています。
もちろん、当研究所の研修会でもさまざまなノウハウはお伝えしますし、基本的な考え方自体は変わらないので「このときはこうする」というお話もしているのですが、前提なるものを必ず最初にお話ししています。
それは、「何のためにそれを行うのか」「何のためにそれを準備するのか」を考えてもらうということ。
毎度書くことですが、例えば市販品の非常用持ち出し袋をあなたが買ったとして、それで備えが充分かというとそんなことはありません。
人の数だけいるものいらないものがある。そう考えると、市販品の非常用持ち出し袋はあくまでも基礎的なアイテムで、それにプラスして自分に必要なものを加えたり、必要ないものを外したりしてカスタマイズする必要があると言うことです。
もっと書くと、都会では水や食料をしっかりと準備しないといけませんが、田舎だとわき水や井戸、貯蔵している米、野菜があったりして、そこまで優先度が高くないこともあり得ます。
また、洪水では垂直避難もありだとされていますが、海抜0m以下のところだと、洪水が起きると3階建ての最上階でも水没することが起こり得ますし、富士山のてっぺんで洪水対策を考えるのはナンセンスです。
ノウハウやテクニックがいけないというわけではありませんが、状況と置かれた環境によって、自分に必要な行動や準備はかなり異なってきます。
マニュアルに書いてあるとおりにしたからそれで大丈夫ではありません。
ノウハウ本やマニュアル本はあくまでも参考にして、自分の置かれている状況や環境を考え、その上で、自分にあった備えや準備をするようにしてください。
ケミカルライトの明るさを比較する
化学反応で発光するケミカルライト、サイリュームとも言われていますが、コンサートなどではお馴染みのアイテムです。
熱を出さず、燃料も電気も不要なため、非常用持ち出し袋に入れておくと万一のときの灯りとして使うことが可能です。
もっとも、光量はそこまで強くはありませんので、場所のマーキングや障害物の注意表示に使うことが主になりますが、読書するのにも使えるというのがどこかの記事にありました。
ご存じとは思いますが、ケミカルライトの色はさまざまです。色によって用途を分けることもできるのではないだろうか。
そう考えて、今回は色で見える範囲を比べてみることにしました。
1.緑色
見ての通り、かなり明るく発色しています。
背後は地元の誇る水族館アクアスのうちわですが、文字もQRコードもかなりしっかり読み取ることができます。
2.青色、桃色
下にある文字は読めません。
近づいていくとぎりぎり読めるかもしれないというレベルの光量です。
反応が始まってからの時間もあるので一概には言えませんが、黄色や緑色は割と読みやすく、桃色や青色はちょっと見にくいといった感じです。
どの色も目立つのですが、読書や手元のごそごそに使うのなら黄色や緑色、マーキングや誘導路として使うのであれば桃色や青色が使いやすいのかなと思いました。
もちろんこれは一つの事例でしかないので、いろいろと試してみて自分に向いたケミカルライトを準備しておくといいと思います。
今回の比較があなたの準備の参考になれば幸いです。
その非常食の食べ方を知っていますか
非常用持ち出し袋は結構知られるようになり、備えている人も増えているようです。
ただ、中に入れているものの使い方がわからなければ、どんなに備えても何もないのと一緒で、準備したら使ってみて自分に合う合わないを確認しておく必要があります。
その中でも、特に非常食はいざというときに悩んだりトラブルになったりするものなので、作り方と必要な道具、それに食べ方は実際に試してみたほうがよいと思います。
例えば、よくあるのがアルファ米ですが、自分が準備しているアルファ米をどうやって作ってどうやって食べれば良いのか、そしてどんな味がするのかわかっていますか。
アルファ米は同じ名前でも製造会社が異なれば当然味も異なります。そして、実は作り方もちょっとずつ違っていたりします。
内容物や加える水の量、水を加えた後の処理、そして出来上がりと試食。実際にやってみることで意外な発見がたくさん出てくると思います。
当研究所で「アルファ米を食べてみる」という企画をやると、放っておくと中の乾燥剤やスプーンをそのままに水を加えてみたり、水の量を適当にしたり、撹拌せずにいてうまく戻ってなかったり、味が好みでなくて凹んでしまったり、いろいろと面白いトラブルが起きます。
いざというときに備えて「準備する」という行為の中には、非常時にきちんと使えるように練習しておくというのも入っています。
とくに非常食はいざ食べるときにトラブルになると気持ちが一気に落ち込んでしまいますので、しっかりと作り方や食べ方をマスターしておきましょう。
汗ふきシートと身体ふき
災害時に身体の衛生状態を維持するのは割と大変なことですが、あなたはどのような準備をしていますか。
口腔衛生用として歯ブラシや歯磨きシート、そして身体をさっぱりさせるのには身体ふきシートを、それぞれ準備しておくといいと思います。
身体ふきシートでは、よくノンアルコールのお尻ふきを準備するように書かれたものを見ますが、身体をきれいに保ち、かつ誰にでもどこでも問題なく使えるという点で非常によいものだと思っています。
ただ、さっぱりとはしますがすっきりとはしないので、よりすっきり感が必要だと思われる方は、よく学生さんが使っている汗ふきシートを利用することをお勧めします。
かくいう筆者は、先日山に登った際にこの汗ふきシートで汗を拭いてみて、その効果にびっくりしました。
べたつきがすっきりと取れ、少しの間でしたが汗がしっかり止まり、つかの間ではありますが非常に快適な時間を過ごすことができたのです。
夏場の避難所では、エアコンのない場所も非常に多いですが、そう言った場所でこういった汗ふきシートが使えれば、思ったよりは快適に過ごせるかもしれないなと感じました。
汗ふきシートはお尻ふきほどしっかりとしたものではありませんが、両方を上手に使うと身体がかなり衛生的に維持できるのではないかと思っています。サイズも量も持ち歩くにはちょうど良い感じで、夏場の出掛けた先での汗対策を兼ねてローリングストックしてもいいかなと、筆者自身は考えています。
携帯トイレと使い方
非常用持ち出し袋には携帯トイレを入れておくということは、このウェブサイトでも嫌になるほど書いているところですが、この携帯トイレについて説明が不足していたなと思ったので、今回はそれを追記しておくことにしました。
携帯トイレは、文字通り持ち運びできる簡易的なトイレなのですが、書かれていない問題点があります。
それは、ほとんどのものは小専用だということ。
「男女兼用」と書いてあっても「大小兼用」とは書かれていないと思います。もしも「大小兼用」と書かれた物をお持ちの場合には、それはぜひ持っておいて欲しいと思いますが、そうでない場合、もし非常時に大きい方を催したときにはトイレがあるのに使えないというひどい状態に陥ります。
ではどうするか。
筆者のお勧めは、ペット用、できれば猫用のシートを準備しておくことです。
猫を飼っている方はご存じだと思いますが、猫のおしっこは非常に臭います。そのため、猫用のペットシートは吸収能力の他に消臭能力もかなり優秀なものを持っています。
それを敷いて用を足し、終了後は包んで消臭効果のあるビニール袋などに密封しておけば、持っていることを忘れるくらい快適に持ち運びができます。
和式トイレが使える方なら、この方法で排泄処理はできると思いますので、携帯トイレを持ち歩かなければいけない環境の方は、是非一度試してみて下さい。
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【活動報告】二条公民館で防災教室を開催しました。
去る7月15日、益田市二条公民館の二条公民館お楽しみ教室の一コマとして防災教室を開催させていただきました。
ご依頼のテーマは「大雨」。
前半では大雨とハザードマップを使った安全確認について、後半は自分の備蓄という二本立てでやらせていただき、なるべく「参加者の方の場合」という視点で作業ができるようにしてみました。
平日の夜ということで、皆様お疲れだったのではないかと思いますが、参加者された皆様は非常に熱心に受講され、さまざまなご質問もいただき、講師としては非常に楽しい、あっという間の1時間半でした。
また、非常食や非常用持ち出し袋の展示もさせていただき、実際に目で見てどのようなものかの確認もしていただけました。
「段取り7割」という言葉がありますが、災害対策も事前準備があるのとないのではその後の対応にも雲泥の差が出ます。
誰が聞いても同じ内容の研修なのではなく、地域や人に応じて内容を細かく変え、より災害対策を身近に、自分のものとしてもらえるといいなと思っています。
今回の防災教室に参加してくださった皆様が災害時に安全に過ごせるように、こころから願っています。
参加してくださった皆様、そしてお声がけくださった二条公民館の皆様にお礼申し上げます。
快適性と携行性
ある程度大きな災害になってくると、避難先で過ごす時間が非常に長くなってきますから、なるべく快適な環境を作り上げて、少しでも心身にかかるストレスや負担を減らす必要があります。
ただ、避難先まで持って移動することを考えると、できる限り軽量で小さくなっているほど持ち歩きがしやすくて助かります。でも、軽量で小さいものは使いにくいですし、それなりに使い勝手のいいものはお値段も高いです。
非常用持ち出し袋はこの狭間を悩みながら作り上げていくことになります。
普段から旅行や登山などをしている人であれば、それなりに荷物を小さくする技術を持っていると思いますが、そうでない人は、考えているものを一度使ってみるといいと思います。
具体的には、非常用持ち出し袋の中の生活アイテムはキャンプ場などで借りることができますのから、そういったところで一度借りてみて試してみてください。
また、何を重視するのかを考えて、一点豪華主義で準備する方法もあります。
例えば、寝るための装備として考えてみます。
必要なのは、とりあえず敷き布団と掛け布団と枕。
敷き布団と枕についてはエアマットと旅行用空気枕を使い、掛け布団を封筒型寝袋にするとかなり快適な寝床ができあがります。
これに耳栓やアイマスクを準備しておくと、ある程度快眠が確保できるのではないでしょうか。
また、食事が重要だという人は、カセットコンロと鍋、それに缶詰などのアイテムを充実させておくと快適に過ごすことができます。
カセットコンロはさまざまな種類があって、大きいものから小さいもの、カセットガスやOD缶とガスの種類もいろいろとあります。
あなたが避難先でどれくらい普段と変わらない食事を作るかで、そのサイズや内容を変化させればいいと考えます。
最近では百円均一でさまざまな道具が揃いますが、実際に使ってみると、使い心地が微妙なものもありますので、買ったらとりあえず使ってみて、あなたの生活にあっているかどうかを考えてみてください。
もし合わないようであれば、合うものをいろいろと探してみることを勧めます。
最後に、案外と見落とされがちなのがコップ。
水は大きなペットボトルや給水袋で支給されますので、そのままで飲むことはかなり難しいですからマイカップは忘れないようにしたいですね。
せっかく準備するのなら、壊れにくくて使いやすいものを探してみても楽しいのではないでしょうか。