情報入手方法は多重化しておく

 あなたは地域で起きる災害情報の入手をどのようにしていますか。
 テレビ、ラジオを初め、地域の防災無線や防災メールなど、さまざまな手段をお持ちだと思います。
 災害時には、普段以上に正確な情報が必要となります。
 そして、正確な情報の入手手段は、平時から整えておかないとデマやウソに振り回されてしまうことになりますので注意が必要です。
 お勧めはお住まいの市町村や都道府県が発表している防災メールに登録しておくこと。なかにはお住まいの地域の指定ができるものもあるようですので、割と細かく情報が届けられます。
 防災無線は、電池交換や充電装置などの整備をきちんとしていればある程度使えますが、地震などで大規模な被害を受けた場合には、無線そのものが稼働しなくなる危険性があります。
 また、SNSなどでは憶測に基づいた未確認情報が飛び交いますので、信頼できる知り合いや公共機関の情報に限定して収集した方が惑わされずに済みます。
 他には、他の地域に住んでいる人とお互いに住んでいる地域の防災メールを登録し、何かあったら電話連絡してもらう方法もあります。
 「逃げなきゃコール」と言われているものですが、当事者ではない人から連絡を受けることで、情報の受信漏れを防ぎ、安否確認を取ってもらうこともできますので、情報収集に自信のない人はどなたかに頼んでおくといいと思います。
 最後に、災害後には人の憶測という悲喜こもごもの感情がこもった情報がたくさん発信されます。これはSNSに限らず、マスコミなどでも同じ。
 発信されている情報から感情を省いた客観的事実を読み取れるようになっておくと、普段から騙されなくて済むと思いますので、そういった練習をしてみてもよいのではないかと思います。
 いずれにしても、情報があなたの手元に届くかどうかはあなたの意識次第です。
 普段から正確な情報が手に入るような環境作りをしておきたいですね。

「災害」の優先順位

 あなたは何か災害への備えや対策を取っていますか。
 こう聞かれると、できる備えを殆どやっている人からまったくやっていない人まで、さまざまな回答があると思います。
 では、今日トイレに行かなかった人と聞かれて、行っていないと答えられる方はどれくらいいるでしょうか。
 恐らくは何かの事情がある方でない限り、100%行っているという回答になると思います。
 災害とトイレが必要な自然現象(以下自然現象と書きます)、どちらも必ず起きるものなのですが、方やバラバラで方や100%。これは何が違うのでしょう。
 これは優先度の問題だと思います。
 自然現象は、これは数時間単位の話です。長くても一日我慢できる人はまずいないと思いますから、自然現象に対応するためにいろんな場所にトイレを作っています。
 でも、災害は数年、数十年、へたすると数百年の単位です。
 どうかすると自分が生きている間には何も起きないかもしれない。そう考えると、備える必要があるのかどうか迷ってしまうと思います。
 そして、基本的に迷ったときには行動しないという選択をする人が殆どです。
 結果として、災害が起きて「こんなはずではなかった」と後悔することになります。
 災害への備えや対策は、一度にいろいろとやろうとするとさまざまなところに弊害が起きますが、ちょっとずつでもやっておくとあなたの安全度は確実に上がります。
 トイレと同じように準備することは難しいかもしれませんが、災害への備えは何か起きたときのあなたの命を守り、繋いでくれる重要なものです。
 「起きるかどうかわからない」からしない、のではなく、「起きるかどうかわからないから」備える。
 そんな風に考えて欲しいなと思います。

地震が起きたら何をする?

地震がきたら・・・?

研修会で筆者がよく参加者の方にする質問です。
「火を消す」「扉を開ける」「外へ逃げる」「机の下に入る」などなど、さまざまな答えが返ってきます。
筆者なりの答えを書くと「まずは身を守れ」となります。
何をするにしても、その行動の基本は身を守ることにあります。
身を守るというのは、「死なない」「怪我しない」ということなのですが、これは地震のときにあなたがいる環境と状況によって答えが変わります。
例えば、だだっぴろい広場の真ん中にいるなら、しゃがむだけでいいでしょうし、古くて耐震補強されていない建物なら、まずはそこから逃げ出すことが正解になります。
吊り天井の建物なら、化粧板の落下で怪我しないために机の下に入ることが重要ですし、割れそうな窓のそばなら、すぐにその場から離れなければ危険です。
最適解はあなたがいる環境と状況によって正解にも不正解にもなりますから、常に自分が居る環境でどのような事故が起きそうなのかを考えた上でとりべき行動を決めておくことになります。
この作業、最初はものすごく頭を使います。面倒くさいと思うことも非常に多いと思います。
ただ、慣れてくると場所を見るだけで「地震が起きたらこうしよう」という自分の行動が自然に決められるようになります。
また、よほどあちこちを点々とする人でない限りは、普段行く場所というのは驚くほどたくさんはありません。
目をならして取るべき行動を決めておく。それだけでも身を守れる可能性は格段にあがります。
地震が来たら「机の下」、ではなく、地震が来たら「身を守る」。
そんな風に覚えておいてくださいね。

非常食は賞味期限をずらして買っていく

非常食の代名詞「アルファ米」あると便利だが他のものでもなんとかなる。

 災害用備蓄品としてよく出てくる水と非常食ですが、これを一気に買いそろえると後々一斉に賞味期限が切れてしまうと言う大問題が起こります。
 一日程度の備蓄量なら消費もできますが、これが政府推奨の1週間分などということになると、結構大変なことになり、数年に一度、非常食しか食べられない週というのが発生してげんなりしたりします。
 ではどんな風にそれを躱すかというと、賞味期限をずらすことをお勧めします。
 例えば、一度に揃えるのは経費も馬鹿になりませんので、1年に1度1~2日分を購入するようにしていくと、更新時期がずれていって非常に助かります。
 また、消費期限の異なる非常食を組み合わせるのも手です。賞味期限が5年のアルファ米と賞味期限が半年程度のインスタントラーメン、そして賞味期限が1年程度のレトルト食品を組み合わせておくと、メニューが増える上に期限切れ間近の非常食試食週間を避けることもできると思います。
 あとは、わざと消費期限の短いものを買うという方法もあります。非常食の賞味期限は製造から5年程度のものが多いのですが、製造から半年も過ぎると不良在庫になっている場合があります。
 これらは期限が短いことから、それを承知の上であれば通常のものよりも安く売られることが多いので、そういったものを買えば,単価を抑えた上で期限をずらすことも可能です。
 ちなみに水も同じように普通の水と長期保存が可能な備蓄水を組み合わせることで一斉にくる期限切れを防ぐことができます。
 非常食は賞味期限が切れてもある程度食べることはできますが、せっかく準備するのですから、備蓄の一部の賞味期限を毎年くるようにしておくことで、非常食の点検をすることもできますので、ローテーションという視点からも、賞味期限をずらしておくといいのではないでしょうか。

地震のときに動けないところ

 夕べは日向灘で大きな地震がありました。
 午前1時過ぎという時間でしたので、多くの人は寝ていたのでは無いかと思いますが、お怪我などはなかったでしょうか。
 地震のときにすぐ動けない3つとして、1.寝てるとき、2.トイレ中、3.入浴中があります。
 いずれも気がついたからといってすぐに動きを取ることは難しいと思いますので、とりあえずは怪我をしないようにしておく必要があります。
 上からものが落ちてきたり、ものが飛んできたりしないように、家具やものの配置には気をつけて下さい。
 もし布団の中の場合には、お布団や枕を頭から被って怪我をしないようにしてください。
 お風呂とトイレの場合には、閉じ込められたりすることを防ぐために出入り口を解放しておく必要があります。
 見られると情けない姿にはなりますが、閉じ込められるよりはマシ。出入り口の開放をしたら、怪我をしないような姿勢を取って下さい。
 ちょっとしたことなのですが、これらを知っておくだけでも動きが変わってきます。
 「今、そこで地震が起きたらどうしよう」を、ちょっとだけ考えて、自分の行動を決めておきたいですね。

災害訓練とゴミ

 災害対応訓練を一般の方向けに実施すると、結構な割合で炊き出し訓練がくっついています。
 その時には、基本的に使い捨て容器が使われるわけですが、この処分の方法が可燃物も不燃物も容器包装プラスチックもごっちゃになっていることが非常に多くて、ちょっと首を傾げてしまいます。
 確かにゴミの処理というのは大変ですし手間もかかり、燃やせるものは燃やしてしまえという考え方もわかります。
 ですが被災後のゴミは、そうでなくても膨大で多岐に渡るものが出ますから、分別できるものはできるだけ分別しておく必要があるのではないでしょうか。
 水を大量に使うことができないからといって発泡プラ容器で食事を提供し、そのまま燃えるゴミというのはよくある例ですが、そこまでリアルさを追求するのであれば、食器にビニール袋やラップなどを掛け、それらを使うことで食事後のゴミを減らすところまでしてもよいのではないかと思っています。
 訓練以上のことをできる人は殆ど居ませんから、訓練の時にこそ、ゴミをなるべく出さない、ゴミを減らすような練習もしておくといいと思います。
昨今は新型コロナウイルス感染症関係であまり炊き出し訓練はされていないようですが、もしされることがあるのであれば、ゴミの省力化まで考えて訓練することをお勧めします。

常識と非常識の狭間

 被災後の被災地での生活では、それまで常識だと信じていたことが非常識になることがたくさんあります。
 なかでも、性に関する問題は常識と非常識がぐちゃぐちゃになって、現地の当事者になってしまうと何が本当なのかさっぱりわからなくなってしまいます。
 例えば、普段の生活の中で女性が着替えをしているところを覗くと、明らかに犯罪です。
 ところが被災地の避難所でそういったことが起きてしまっても、覗いた方では無く覗かれた方が悪いことになってしまったりします。
 同じように、寝ている女性の布団に近所のおっさんが入ってきたとします。
 普段から間違いなく犯罪ですが、被災地の避難所では「それくらい我慢しろ」と言われてしまったりします。
 その避難所の男性陣からそう言われるだけではなく、女性陣からも同じような発言があったりすると、いったい何を信じて良いのかわからなくなってしまうでしょう。
 こうやって考えてみると、常識と非常識というのはその場に居る人や雰囲気、状況によっていかようにでも変化するものであり、常識などは人の数だけ存在するのでは無いかと考えることもできそうです。
 大規模災害が起きると、被災地は必ず治安が悪くなります。日本人は規律正しいと言われますが、全ての人がそうではありませんし、悪さをするやつはします。そして、災害という事態で自制心が飛んでしまった人にとっては、平時においては犯罪となる行為をやってしまうことに罪の意識はありません。
 ではどうすればいいか。
 残念ながら、同性同世代で自衛するしか手がありません。決して単独行動は取らない。避難所でも寝ずの番を複数立てるなど、犯罪に遭わないような対策を取るしか手が無いのです。非常時には、平時の常識は通用しないと思って下さい。
 自分達の身は自分たちで守るしか無い。
 「自決主義」というと言い過ぎかもしれませんが、犯罪を犯そうとしたものは自らの手で始末する。それくらいの覚悟がいるのではないでしょうか。
 一番良いのは、常識が非常識にならないような災害後の治安維持ができればいいのですが・・・。

災害対策って誰の仕事?

 防災という話が出てくると、決まって出てくるのが「防災とは誰がやるべき仕事なのか」という押し問答です。
 最近でこそ「自助」「共助」「公助」の話が普通に出てくるようになってきて、個人ですべき備え、地域ですべき備え、そして行政機関などがすべき備えの仕分けができつつありますが、それでも未だに災害対策は国や県、市町村の仕事という認識の方が大勢いらっしゃいます。
 「住民の命を守るのは行政の仕事であって、そのために高い税金を払っている」と言われる方もそれなりにいらっしゃって、なかなか自分自身の命を守るのが自分であるという基本的なことがご理解いただけないこともあり、説明に悩むこともあったりはしますが、どうしてこんなことになっているのでしょうか。
 「昔から避難所の状況は変わっていない」とか、「なぜ行政はいつも後手に回るのか」というご意見もあります。
 では、それらの意見を言われる方は状況を改善するために何か行動をされているのかというと、せいぜい行政の担当者に文句を言いに行く程度で、例えば避難所整備のための寄附をするとか、できるかぎり行政担当者がスムーズな仕事ができるように協力するとかいった建設的な行動はしていないような気がしています。
 話が少しずれましたが、こういったご意見が出てくるのは、災害対策は誰の仕事か、という根本的な整理ができていないからではないかと思うのです。
 答えを先に書いてしまうと、災害対策は誰の仕事でもなく、そして全ての人の仕事だという不思議な回答になります。
 自分自身や家族の命を守るための備えはそれぞれがしなければ誰もやってはくれませんし、地域で災害の被害の軽減を図るためには、行政機関による公共投資がどうしても必要になってきます。ただ、自分には関係ないと思い出すと、それは誰の仕事でもないものになってしまいます。
 本来、企業や学校、組織ではそれぞれの構成員を守るためのBCPがないと困りますし、経営者は普段から「いざというときには」という視点で経営計画を作る必要があります。では、普段の活動でそういったことを意識しながら行動をしているかというと、多くの人は疑問符がつくのではないでしょうか。
 本来、災害対策と無縁な人は恐らく一人も存在しませんし、災害対策とは自分の仕事なのですが、意識しなければ意識しないで災害が起きるまでは何の支障も無く生活できてしまうので、「自分以外の誰かがやる活動」と思うようになってしまうのです。
 「災害対策は我がこと」ということがわからなければ、いくら災害対策の話や研修会をやったとしても「いい話を聞いた」で終わってしまいます。
「災害対策は自分事」
 そう考えるところから災害対策を初めませんか。

避難所の開設・運営方法を確認しておこう

 島根県では、避難所を開設するのは市町村が基本になっているようですが、災害時には職員でないと対応できない事が加速度的に増えていくので、災害時にあってはできる限り地域にお任せしたいところだと思います。
 本当は平時から避難所運営委員会を立ち上げて誰がどのような権限をもって何をするのかをしっかりと決めておきたいところですが、地域コミュニティがしっかりしているところばかりではありませんので、それを決めるところに至るまでが大変なようです。
 ただ、避難所の設営や運営について具体的にどのようなことをするのかについては、ぼんやりとしたイメージしかないのではないでしょうか。
 勘違いしがちですが、避難者はお客様ではありませんので、避難所の運営や維持について自分たちで出来ることは当然自分たちでやらなければなりません。
 避難所の開設手順や運営については、さまざまな地方自治体がマニュアルと設定していますが、今回はいろいろと見た範囲で筆者がわかりやすいと感じた千葉市の避難所開設・運営の映像をご紹介したいと思います。
 避難所の開設基準やトイレの状態、備蓄品の状態などはさまざまな自治体ごとに異なりますので全てがその通りになるわけではありませんが、必要な手順はきちんと触れられていて一通りの流れが理解できると思いますので、よかったら参考にしてください。

「避難所は住民の力で ~目で見る避難所開設・運営の流れ~」(youtubeのchibachityPRに移動します)

大雪に備える

 今年の冬はホワイトクリスマスになるかもしれないという予測が出ていますが、その後の天気はかなり激しいものになりそうだとも予測されています。
 大雪になると、あらゆる交通が麻痺するのは予想されていると思いますので、急がない用事であれば、お出かけはしないほうが無難です。参考までに、島根県作成の動画を添えておきます。

 ところで、家にいる場合でも、停電が起きる可能性がありますが、あなたのおうちの暖房器具はどのようなエネルギー源を使っているでしょうか。
 もしも電気のみである場合には、停電に備えて冷えないための準備をしておいたほうがよいと思います。
 それなりの蓄電池を準備しておけば、電気座布団や電気毛布であれば蓄電池を使って熱を作ることができます。
 コンロがIHしかないのであれば、カセットガスコンロを準備しておくと、いざというときに湯たんぽが作れますし、調理もできて暖かいものが安心して食べられます。
 普段使いするものに少しプラスすることで、生活の質を必要以上に落とさなくて済みますので、寒さをしのぐための対策について、大雪になる前に備えておいてくださいね。

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