【活動報告】小学校の避難訓練支援を行いました

 去る10月27日に益田市立高津小学校様で実施された避難訓練の支援を行いました。
 当日は大きな地震が発生し、津波が来るために高台へ避難するということで、実際に実際に避難先である県立翔陽高校まで全校生徒が避難して、流れを確認しました。
 今年からは避難先は翔陽高校、児童の引き渡しは状況が落ち着いてから指定避難所である隣の高津中学校に移動して保護者へ引き渡すということに整理されたそうで、今後は翔陽高校まで駆け足で移動することになるそうです。
 400名を超える児童のいる学校が実際に一斉に避難するというのは大変なことなのですが、見ている限り非常にスムーズに流れていて、先生たちも児童たちも毎年のこととしていい意味で訓練慣れしているなと感じました。
 今回もいろいろと気づいたことはありましたが、そういった部分を見つけて改善していくのがこういった訓練の大きな目的です。
 後日今回の訓練に関する報告書を提出しますが、こういった訓練を当事者ではない第三者がチェックして改善を進めていくことでより効果的な訓練が実施できるのではないかと思っています。
 欲をいえば、休憩時間や登下校時に避難しなければいけなくなったときにどう判断するかというところまでできるといいなと思っていますが、学校で授業中である限り、恐らくはきちんと対応がしてもらえるのではないかと感じる訓練内容でした。
 今回避難訓練についてお声がけいただきました高津小学校の皆様に感謝いたします。

【活動報告】おたがいさま益田様で防災研修を行いました

 去る10月17日、益田市高津町の生協益田支所様にて、おたがいさま益田様の防災研修会の講師をさせていただきました。
 テーマは災害から命を守るにはということで、ハザードマップと防災と聞いて思いつくアイテムを一つご持参いただき、それについて参加者同士で話をしてもらいました。
 また、実際の音声を聞きながらの避難訓練や、非常時に使われる警報音を聞いていただいたりと、盛りだくさんの内容でやらせていただきました。
 ただ、研修よりも展示物のほうが興味をもっていただけたようで、展示していた簡易トイレやエマージェンシーシート、非常用のアイテムの入ったボトルなどをについてあれこれとご質問をいただきました。
 次回があれば、今度はそういったアイテム類の見方や使い方、準備などについてやってみるのも面白そうだなと思いました。
 今回お声がけいただきましたおたがいさま益田様、そしてご参加いただきました皆様にこころから感謝いたします。
 諸般の事情で写真がありませんので、記事にて報告させていただきます。

事業継続化計画を行動に落とし込む

BCPは避難だけでなく、事業を再開するための準備や流れも記載されている、はず?

 さまざまな企業や団体で、現在一通りできたといわれているのが事業継続化計画、いわゆるBCPと呼ばれるものです。
 ただ、このBCP、綿密に作りすぎていて一つ状況が変わるとまったく対応できないようなものから、全て管理者に判断を丸投げしている計画と呼べないようなものまでさまざまで、いざというときに本当に大丈夫かなと思うことがよくあります。
 「うちはきちんとした計画を作ってるから」というところのBCPを見せてもらうこともたまにありますが、一度作った計画を見直しも確認も訓練もせずにそのまま棚に飾ってあるようなものが多いです。さらには、困ったことにそのBCPを職員や従業員の方が存在すら知らないということも非常に多くあります。
 本来、BCPは各種訓練を行う毎に進化を続けていくものです。そして、その内容が訓練の基本となるため、職員や従業員が存在を知らないということは、そもそもあってはならないことなのですが、BCPと訓練が切り離されているとこういったことが起こります。
 もっとも、BCPが訓練にきちんと取り入れられているところは筆者の知る限りでもあまり多くはありません。
 多くは火災や災害からの避難訓練くらいで、安否確認や復旧訓練まではやっていないと思います。火災や災害からの避難訓練だと、何をすればいいのかわかっていますし、確認や講評は近くの消防署にお願いできるので、大した手間が必要なく、手直しもしなくていいのでお手軽なのだと思います。
 でも、せっかくBCPを作っているのであれば、それを基本にした訓練計画をぜひ一度作ってみてください。訓練時にはBCP担当だけでなく、BCPを読み込んだ人何人かが訓練をみてどう思ったかを講評すれば、次の訓練でそれがきちんと反映できます。
それを続けていれば、実際に必要なものやできるできないがよくわかりますし、事業を継続するためにはどうすればいいかを考え直すきっかけにもなります。
 いざというときに廃業しなくてもすむようにきちんと整備し、使えるものを策定しておいてください。

どこに避難しているのかを知る

避難先や避難経路を知るには、防災マップを作ってみるのも一つの方法。

 あなたは津波などで避難が必要な状況になったとき、自分がどこへ避難すればいいのかを知っていますか。
 また、ご家族がどこへ避難するのかを知っていますか。
 学校や施設などにいるとき、そこからどこへ避難しているのかについては、案外と知られていないことが多いですので、どこに避難するのかをしっかりと確認しておきましょう。
 できれば避難経路もあわせて確認しておくといいと思います。
 どのような判断でどこへどんな経路で避難しているのかを知っていると、いざというときにもある程度どこにいるのかが予測がつきます。
 そして、探しに行ったり迎えに行ったりするときにも迷わなくて済みます。
 また、自分の子供が遊んでいるときに避難すべき状況が起きた時にはどこへ避難すれば安全なのかを、子供と一緒に現地で確認しておくと安心です。
 誰がどこにいてどうなっているのかがわからないことは、人の心に不安を招きます。
 その結果、その不安を解消するために助けに出かけて遭難するというケースは過去の災害でもたくさん起きています。
 いざというときに誰はどこに避難しているのかを事前に知っていることで、そういった不安を排除することができますから、お互いにどのような行動をするのかについて、しっかりと話をしておくようにしてください。

トイレについて考える

手作りの簡易トイレ。便器が使えなければ、こういった感じで作る方法もある。

 災害時にもっとも最初に困るのは、おそらくトイレです。
 日本トイレ研究所のデータによると、地震後にどれくらいでトイレに行きたくなったかを被災者に確認したら、3時間以内という人が3割以上いたそうです。
 実は、水道が止まったり下水管が破断したりするとトイレは使えません。特に下水管の破断の調査はすぐにはできませんから、はっきりとわかる汲み取り式や簡易水洗でない限り、トイレは使えないと思ったほうがいいでしょう。
 でも、出るものは止められません。
 安心して使えると思われる仮設トイレが避難所に届くのが、早くても3日はかかるので、被災してから最低3日分のトイレを何とかしないといけないわけです。
 ちなみに、自宅のトイレが使えない場合にはどうするかというと、4割の人が公園などの公衆トイレ、1割強の人がコンビニのトイレを使うと回答しています。
 自宅のトイレが使えないときには、公園もコンビニもトイレは使えません。
 つまり携帯トイレや簡易トイレで仮設トイレが届くまではしのぐ必要があるのです。
 この携帯トイレや簡易トイレは、災害が起きてからでは準備が間に合いません。災害が起きる前に準備しておく必要のあるものです。
 自宅や避難先のトイレの構造や、自分が準備している携帯トイレや簡易トイレが自分で使えるかどうか実際に使ってみること、そして何より大切なのは、使えないトイレを使わないこと。
 つまり、被災後はすぐにトイレを封鎖しなくてはいけないということで、すぐにでも自分の準備した携帯トイレや簡易トイレの出番がやってくるわけです。
 さて、そのときあなたはトイレ問題をどのように解決しますか。

【活動報告】「初めての防災キャンプ」を開催しました。

 8月27日~28日に益田市立北仙道公民館で1泊2日の防災キャンプを開催し、総勢13名の子供たちが、夏の終わりの防災キャンプに参加してくれました。
 避難所開設や非常食体験、消火訓練や食べられる山野草探し、空き缶炊飯とあるもの野菜の料理、差し入れ花火で花火大会をし、そして避難所で一泊。差し入れフルーツの朝ご飯に洗濯、そして炊き出し演習と、内容盛りだくさんのキャンプでした。
 途中で数人、保護者の緊急お迎えもありましたが、それでもなんとか最後まで開催することができました。


 初めて会った子供たち同士が、普段あまり使わない包丁や缶切り、カッターナイフを使ってさまざまなことをしたり、避難所ではちょっと寝苦しいことがわかったり、大掃除をすることになったりと、さまざまな体験をしてくれました。
 また機会を見て開催したいと思っていますので、もし機会があればぜひご参加ください。
 今回参加してくれた子供たち、そして参加を許可してくれた保護者様、会場を快く貸してくださった北仙道公民館の皆様、いろいろなものを差し入れしてくれた皆様、そして、人数が少ない中で奮闘してくれたスタッフの皆様。
本当にありがとうございました。

バリアフリーを考える

技術の普及や周囲の理解もあってか、日常生活に支援が必要な人でも地域で暮らすことができるようになってきています。
生活の支援といってもさまざまですが、自分で自分が生活する場所を選ぶことができるようになったことは非常に喜ばしいことだと思っています。
ただ、生活の支援がいる人は、全てを自力でできる人たちに比べると、どうしても避難の判断や準備、行動が遅れがちになってしまうので、対策としては事前に決められることを全部決めて、いざというときにすべてが自動で動くようにしておく必要があると思います。
さて、今回のお題のバリアフリーですが、避難所におけるバリアフリーというと、どうしても車いすや足の不自由な人が移動しやすいようにスロープや傾斜を準備するというのが最初にイメージされることが多いようです。
でも、バリアフリーというのは、そもそもがバリア、つまり「障害」がフリーの状態、障害がない状態といった意味合いになりますので、一般的に思い浮かぶような物理的なものだけではないはずです。
一般的には、生活するときのバリアには4種類あるそうで、「物理的バリア」「制度的バリア」「文化情報面のバリア」「意識上のバリア」がそれにあたります。
災害時には普段のあれこれが先鋭化してしまいますので、どうしても生活に支援が必要な人たちには厳しい状態になりがちですから、事前にさまざまなケースを考えて想定し、備えておく必要があります。
先ほどのスロープ一つとってみても、健常者が考えるスロープと必要な人の考えるスロープでは出来上がりが違うかもしれません。
同じように、避難所に掲示される情報が難しく書かれていてわからない人がいるかもしれません。
状況がわからず、一人一つの配給品をたくさん取ってしまう人がいるかもしれません。
できあがった仮設トイレが使えない人や、仮設トイレがわからない人がいるかもしれません。
そこで生活する人たちがお互いの家庭の文化が可能な限りぶつからず、必要最小限のストレスで済むような避難所にするためには、開設してからさまざまな人の意見を吸い上げる仕組みを作ることも大切ですが、事前にバリアを持っている人たちに参加してもらって実際の避難や避難所の設営や運営で気づいた点を教えてもらい、改善を続けていくしかありません。
バリアはストレスに直結しますし、へたをするとバリアを感じる人の生死にも影響してきます。
その地域に住む人たちがどのようなバリアを持っていて、どのように支援すればとりあえずの生活が確保できるのか。
避難所のバリアフリーはそういうことをしっかりと考えることが大切です。

ただ寝るだけでも立派な避難練習

ただの段ボール箱でも使い方で立派な寝具に早変わり。

 災害時、特に雨や台風の場合には、大抵の場合一晩を避難先で過ごすことになります。ホテルや親戚宅などならとりあえずの寝具はあると思いますが、避難所に行くとそういうわけに行かない場合があります。
 事前に避難先に準備しておくか、早めの避難で一緒に寝具を持ち込まない限りは、寝るときには布団が無い状態です。
 そして、基本的に体育館の備品は一時避難では使わせてはもらえませんので、寝るための方法を考えなければいけません。
 最近ではコッドや段ボールベッドなども準備されるようにはなってきましたが、それも基本的に高齢者が優先で数が足りているわけではありません。
 つまり、寝るための道具も自分で準備しておく必要があるのです。
 テント泊に馴れている人なら寝袋やその下に敷くマットなどは持っていると思いますのでそれなりに快適な就寝ができると思いますが、そうでない場合にはどうするか。
 そのためには、家で布団を使わずに快適に寝るにはどうしたらいいかを練習しておくといいと思います。
 やってみると、意外なものが役に立ったり、使えるとSNSで言われていたようなものが案外役に立たなかったりと、さまざまな体験ができます。
 その中で、携帯性に優れていて自分がそれなりにしっかり寝られるような道具が見つかっていくと思います。
 衣食住は大切ですが、それ以上に必要なものの一つが睡眠です。
 可能な限り眠りの質を落とさなくてもすむように、しっかりと練習をして自分に向いているアイテムを見つけるようにしてください。

【終了しました】初めての防災キャンプを開催します【日程変更有】

 2022年7月23日から24日にかけて、益田市の北仙道公民館で「はじめての防災キャンプ」を開催することになりました。
 避難所に来てから、開設、食事やトイレ、洗濯やお片付けなどを、途中遊びながら実際に体験してみてもらいます。
 「はじめての防災キャンプ」とありますとおり、当研究所も今回初めて実施する企画、どうなるかは参加者とスタッフの皆様によります。
 夏休み、子どもさんの一つの体験として、興味があればご参加下さい。
 なお、定員になり次第締め切らせていただきますので、それにつきましてはご了承下さい。
 また、詳細については、問い合わせフォームからお問い合わせ下さい。

(2022年7月15日追記)新型コロナウイルス感染症蔓延のため、日程が変更になりました。新しい日程は8月27日~28日になりますのでご注意ください。

ちょっとだけやってみる

やったことがなければ、アウトドア団体などが主催する日帰りキャンプなどに参加してみるのもいい。

 防災関係では、さまざまな経験値が命に直結しますが、体験をしようと思うと、なかなかに難しいものです。
 慌てていっぺんにあれこれやろうとしてもうまくいかないことが多いですし、わからないことや失敗ばかりが続くと、やっていて嫌になるものです。
 災害対策は慌ててやってもいっぺんにあれこれできるようになるわけではありません。あくまでも日常生活の延長線上でちょっとだけ不便な条件を設定し、実際に体験してみることが大切です。
 例えば、家族でお出かけするときにいつもは車で出かけるところを歩いてみるとか、お昼ごはんを外で作ってみるとか、ほんのちょっとだけ非日常を加えて、経験を重ねていけばいいのです。
 ちょっとしたことでも、成功体験は次に繋がります。難しいことは必要なく、できることをできるようにやってみればいいのです。
 この「ちょっとした」はやるだけ無駄という人もいます。きちんとした訓練でないと意味が無いという人もいます。
 ただ、普段ならしないことを体験することで、やったことがなくてもできるという成功体験があれば、何も無いと絶望しなくてもすみます。
 まずは体験してみること。自分の災害対策はそこから始まります。