【お知らせ】令和3年度島根県防災安全講演会がWEB開催されます。

 島根県と一般財団法人地域社会ライフプラン協会が毎年開催している防災安全講演会ですが、今年もウェブによる開催になったようです。
 今回のお題は「防災福祉と災害ボランティア」。講師は跡見学園女子大の鍵屋教授と災害支援・防災コーディネーターの宮崎賢哉氏で、最近話題の避難行動要支援者に対する個別避難計画のことと、最近の災害ボランティアについての講演となっています。
 聴講は2月1日から2月15日までですが、事前に受講申し込みが必要となっていますので、手続きなど、詳しいことは島根県防災部防災危機管理課のウェブサイトをご確認下さい。

令和3年度島懸念防災安全講演会(島根県のウェブサイトへ移動します)

避難所の開設・運営方法を確認しておこう

 島根県では、避難所を開設するのは市町村が基本になっているようですが、災害時には職員でないと対応できない事が加速度的に増えていくので、災害時にあってはできる限り地域にお任せしたいところだと思います。
 本当は平時から避難所運営委員会を立ち上げて誰がどのような権限をもって何をするのかをしっかりと決めておきたいところですが、地域コミュニティがしっかりしているところばかりではありませんので、それを決めるところに至るまでが大変なようです。
 ただ、避難所の設営や運営について具体的にどのようなことをするのかについては、ぼんやりとしたイメージしかないのではないでしょうか。
 勘違いしがちですが、避難者はお客様ではありませんので、避難所の運営や維持について自分たちで出来ることは当然自分たちでやらなければなりません。
 避難所の開設手順や運営については、さまざまな地方自治体がマニュアルと設定していますが、今回はいろいろと見た範囲で筆者がわかりやすいと感じた千葉市の避難所開設・運営の映像をご紹介したいと思います。
 避難所の開設基準やトイレの状態、備蓄品の状態などはさまざまな自治体ごとに異なりますので全てがその通りになるわけではありませんが、必要な手順はきちんと触れられていて一通りの流れが理解できると思いますので、よかったら参考にしてください。

「避難所は住民の力で ~目で見る避難所開設・運営の流れ~」(youtubeのchibachityPRに移動します)

地区防災計画ってなんだ?

 最近防災界隈で騒がれているのが、いかにして地区の防災計画を作ってもらうかということです。
 国の防災計画と、都道府県や市町村が作る地域防災計画はあるのですが、これだけでは日本に住む全ての人が安全に避難をすることができるわけではありません。
 そこで、地区防災計画を当事者である住民に作ってもらおうというのがこの話のスタートなのですが、どうもここで規定されている地区を誤解している人がいるようなのでちょっと確認しておきたいと思います。
 ここに出てくる地区とは、例えば自主防災組織や自治会といったものではありません。もっと小さな単位、例えば集合住宅や、場合によっては各個人ごとに作る防災計画もこの「地区」に該当します。
 避難する判断や生き延びるための判断、避難先や受援方法などは、あまりに大きな単位だと条件が違いすぎて全く機能しません。
 より現実的に動かすためには、もっともっと小さい単位で同じような条件の人達を集めてその場所の防災計画を作ることが必要だと考えられているので、ここで出てくる「地区」というのは「地域よりも小さい単位」といったイメージで思ってもらえればいいと思います。
 そして、自分や近所の人がどのように行動するのかを定義することが、この地区防災計画の肝となるのです。
 その場所の災害事情はその場所に住んでいる人にしかわからないということがあります。そのため、その地域に住んでいる人達に自分が助かるための計画を作ってもらい、それを地域防災会議を経て地域防災計画に織り込んでいく。
 そのようなイメージで作るのが本筋です。
 行政機関によっては、自主防災組織や自治会などの単位で作らせようとしている動きもありますが、それでは結局地域防災計画の焼き直しになってしまい、行政が決めたルールの責任を地域に押しつけることにしかなっていません。
 基本はあくまでも小さな集団です。当研究所のある地域では自治会の組、つまり同じような地域条件で生活している5~10世帯を基本単位として作るくらい。
 お隣同士でも条件が異なるのであれば一緒にせず、それぞれに防災計画を作ることになります。
 正直なところ、個人の防災計画とどう違うんだという疑問はありますが、隣近所で話をしてみんなで行動することで逃げ残りや危険な目に遭う人を無くすことができるようにという意図もあるようです。
 お正月、ご家族や親戚が集まるこの機会に、あなたの防災計画についても見てもらって、助言をもらってみてはいかがでしょうか。
 そして、お正月が終わったら、ご近所の方と防災計画について話し合って、より安全に災害を乗り切れるようにしておくといいと思います。

みんなでつくる地区防災計画(内閣府のウェブサイトへ移動します)

みんなでつくる地区防災計画(日本防災士会のウェブサイトへ移動します)

知る機会と当たり前

 当研究所では、活動の中で子ども達に焚き火を作らせることがあります。
 メタルマッチや火打ち石を使うこともありますが、ほとんどの場合はマッチやライターなど、火を作れる道具を使って着火しています。
 ただ、最近の子ども達の中にはマッチやライターを使えない子が増えてきています。
 理由は簡単で、日常生活でそれらを使うことも、使っている人を見ることもなくなっているから。
 マッチやライターを使ってたばこを吸う人もあまり見なくなり、野焼きは禁止、家庭では電気調理器が主力となっている時代ですから、それは仕方の無いことであり、出来ないことが「当たり前」なのです。
 使い方を説明してやらせてみると、そのうちには上手になって、今のところは体験した子は全員、マッチ一本で焚き火を上手に起こせるようになっていますから、出来ない理由はやり方を知らなかったことだと言えます。
 つまり、知る機会と実際にやってみた経験があれば、火をつけることは「当たり前」にできるようになるのですが、知る機会も体験してみる機会もなかったら、使い方すらわからないのは当然ということです。
 使えるということは、その便利さも危険性も知っていないといけません。マッチやライターでやけどしたり、裸火で火に煽られたりすると、火は楽しいけど気をつけなければいけないということが体験的に理解できます
 知らなければ、何が危ないのかもわかりません。そして、何か起きたときには致命的な事故を引き起こしてしまうのです。
 刃物でもそうです。ナイフや鉈は、さまざまな場面で使うとても便利な道具ですが、同時に怪我したり場合によっては命を失ってしまうかもしれない危険なものでもあります。使ったことがあって切ると痛いことを知っていると、刃物の使い方は何も教えなくても慎重になります。
 でも、切ると痛いことを体験的に知っていないと、その刃物が人に当たったときにどうなるかの想像はできないのではないでしょうか。
 そういった意味では、現代の「危険なものは全て排除。見せないし近寄らせない」という思想は大事故を生み出す温床になっているのではないかという気がしています。
 身体や頭を使ってえた経験は、簡単には忘れませんし、それがその人の行動規範となっていきます。
 知る機会を増やしていくと、経験が増えてその人の持っている「当たり前」が変化していくのです。
 ただ、残念ながら今の世の中では、知識を得る機会は多くても、経験を得る機会はかなり少ないと感じます。
 例えば、最近流行の多様性も、実際に多くの人が一緒になって得手不得手をお互いに補い合うような経験をすれば、大騒ぎしなくても自然と理解できるものだと思っています。経験的に知らないものを知識だけで知ったことにするだけでは、多様性は「当たり前」にならないのではないでしょうか。
 「当たり前」は知る機会や体験がどれくらいあるかで大きく変化してきます。
 自分の「当たり前」が世間の全てに当てはまると思っていると、喧嘩になりますが、さまざまな経験をしていると「当たり前」の引き出しが増えて、自分と考えが異なる人がいても、「そういう事もあるよね」で済みます。考え方が異なる人が存在していることが「当たり前」になっているからです。
 知る機会を増やして、たくさんの「当たり前」の引き出しを作ることができると素敵ですね。

大地震の予測と占い

 大地震が来る可能性の予測や「大地震が〇月〇日に起きます」といった占いなどが出される度に「来るぞ」といった風潮になるのが不思議で仕方ありません。
 大地震の予測は、あくまでも起きる可能性があるということで、地震の起きる確率を〇〇%と出してはいますが、0%でなければ起きるかもしれないと思えばいいだけの話で、例えば30年以内に70%の確率で大地震が起きるといっても、30%は起きないかもしれないのですから、そんなに神経質になる必要はありません。
 ただ、起きるとわかっているのですから、耐震補強や逃げる準備などは当然やっておかなければいけないはずなのですが、騒いでいる人達は案外と備えていないのではないでしょうか。
 「また外れた」といって喜んでいる人もいますが、まずはご自身の備えを確立して、その上で怖がったり喜んだり楽しんだりしていただければと思います。
 日本列島に住んでいる以上、地震はどこにいても必ず遭遇します。規模の大きなものに出会う可能性も高いと思います。
 ここまでさまざまに「起きる!」と言われているのですから、起きた後の「想定外」はあり得ません。
 自分自身が生き残り、生き続けることができるための備えを、きちんとしておくようにしてください。

食べられる山野草を知っておく

少し土の肥えた場所に生えることが多いハタケシメジ。食用可だが、知らなければたぶん食べない。

 大きな災害が起きてから復旧を始めると、困るのが野菜の補給です。
 炊き出しや配給される弁当などは、思ったよりも野菜が少ないことが多く、特に冬場になると被災地では野菜は手に入りにくい状態になってしまうので、避難が長期化すると肌荒れや便秘、逆むけや唇のひび割れなど、野菜不足による身体の不調が発生してきます。
 ただ、野菜はなくても食べられる山野草はどんな季節にも存在していますから、その辺に生えている山野草の判別が出来れば、野菜不足をある程度補うことができます。
 ポイントは、食べられる山野草ではなく、食べると危険な山野草を知っておくこと。
 タイトルと矛盾していますが、食べられる山野草によく似た、食べると場合によっては命に関わるような山野草がいろいろと存在しています。
 食べると危険な山野草を知っておけば、それ以外は食べられる山野草になりますので、あまり難しく考えなくてもいいことになります。
 よく見てみると山野草はあちこちに生えていますから、ポケット図鑑などを持って、お散歩のついでにおうちのまわりを調べて食べると危険な山野草を知っておくと、いざというときに非常に心強いと思います。

避難の場所を考えておく

車内での保管は、クーラーボックスに入れて非常食と飲料水を保存しておくといろいろ便利。

ハザードマップなどに記載されている避難所や避難場所に避難するのに自動車がないと無理、というおうちは多いのではないかと思います。
特に地方に行けば行くほどその傾向が強くなるので、自治体が開設する避難所や避難場所に避難を考えているのであれば、避難レベル3が発表された時点で避難を開始しないと、避難できなくなる可能性が高いです。
でも、あなたの住んでいる場所に災害発生危険箇所、いわゆるハザードがないのであれば、家にいた方が安全です。
また、遠くにいかなくても、近くに安全な場所がないかを確認しておいて、いざというときにはそこへ避難するのもいいと思います。
避難するための施設がなければ、その安全な場所へ車で移動して、車で過ごしてもいいと思います。
車を避難施設と考えて、車の中に防災グッズを載せておけば、避難先でも安心して過ごすことができると思います。

避難は大丈夫?

避難レベル4の高津川。これ以上水位が上がると橋が水没する。こんな状態で橋を渡っての避難は危険。

 気象災害が起きそうな予測が出ると、被災する可能性のある地域の人に対して避難指示が出されますが、あなたは自分の避難先について決めていますか。
 また、避難するための経路と方法をきちんと決めていますか。
 自治体から避難指示が出されたときにいくつかの避難所が避難先として開設されますが、お住まいの場所によってはその避難所に避難するのに、例えば氾濫するかもしれない川にかかっている橋を越えたり、土砂崩れするかもしれない崖の横を通るなど、発生が予測されている災害で危険な状態になりそうな場所を通らなければいけない場合ががあります。
 避難レベル3での早めの避難開始であれば危険度は低いですが、避難レベル4での避難となると、避難経路に危険が生じる可能性について考えておかなければなりません。
 そして、避難は避難所に行くために行うのではなく、あなた自身の身を守るために安全な場所へ移動するものです。
 もしも自治体が開設した避難所に行くのに危険が伴いそうなら、近くの安全な場所を選んで避難してください。
 また、そもそもあなたに避難が必要な災害なのかも、ハザードマップや地域の地図を見て確認しておくようにしましょう。
 日本は災害列島であり、どこにいてもなんらかの災害は必ず起こりえます。
 何も無いときだからこそ、非常時に備えて地図を見て、避難先や避難経路を決めておくようにしてください。

充電器を持って歩く

 充電器、といっても大型のものではなく、ここでは携帯電話やスマートフォンに充電できるだけの容量のある、持ち歩きのできる充電池のことです。
 普段から使い慣れているアイテムは、災害時でも当然活用されるのですが、その中でも携帯電話やスマートフォンは情報収集や情報交換、暇つぶしにと大活躍します。
 ただ、案外と見落とされがちなのは電池の消耗。当たり前のことですが、使えば使うほど電池は消耗しますが、避難所では充電できる設備はないと思ってください。
 一時避難所にあるコンセントで、たまに自分のスマートフォンを充電している人がいますが、その行為は盗電ですのであまりひどいようだとその施設から追い出されたり、場合によっては逮捕されてしまうこともありえます。
 充電池を持っておくことで、少なくとも1回~2回は携帯電話やスマートフォンの充電ができるはずですから、そちらで対応するようにしましょう。
 携帯電話やスマートフォンの電池の問題は結構切実で、ちょっとした災害時でも避難所の電源が充電器で埋まっているような状態になります。
 携帯電話の会社が開設する臨時充電施設が設置されても、充電時間は15分~1時間程度しかもらえませんが、充電池を充電するためのソーラーパネルなどを持っていれば、電源の問題を自己解決できます。
 多くの人の生活から切っても切り離せない携帯電話やスマートフォン。災害発生時に電池の消耗を防ぐことはもちろん、自力で電源を維持できるようにしておきたいですね。

公衆電話の位置を知っていますか

 携帯電話(スマートフォン含む)は、恐らくあなたも含めて多くの人が持っていると思います。
 では、あなたの身の回りでどこに公衆電話があるか思い出せるでしょうか。
 また、公衆電話の使い方はご存じですか。
 災害などで停電が長引くと、携帯電話の電波の中継を行っている携帯基地局の電源が喪失され、携帯電話がつながらなくなります。
 携帯電話の普及で殆ど姿を見なくなってしまった公衆電話ですが、災害発生時には有線回線のため、基地局の状況に関係なく電話をかけることが可能です。
 また、公衆電話は大災害などで一度に大量の通信がある地域に集中したときに行われる通信規制の対象になりにくい特徴も持っています。
 いざというときに非常に頼りになる存在ではあるのですが、携帯電話の普及で公衆電話を使う人が激減したため、災害対策用に置かれているものを除いて、殆ど見かけることがなくなってしまいました。
 とはいえ、大規模災害時の携帯基地局の復旧にはある程度の時間がかかりますから、公衆電話というのはそういったときに自分の状況を被災地外へ伝えることのできる有力な手段となります。
 NTT西日本では、お住まいの地域の公衆電話の設置場所を地図にしたものを公開しています。
 あなたが作る防災マップやご自身の防災計画の中で、いざというときに備えてお近くの公衆電話の位置も把握しておくと便利です。
 そして、10円硬貨と公衆電話の使い方も身につけておくと、いざというときに困らなくて済むと思います。

公衆電話設置場所検索(NTT西日本管内)(NTT西日本のウェブサイトへ移動します)

公衆電話設置場所検索(NTT東日本管内)(NTT東日本のウェブサイトへ移動します)