アウトドアと防災

 最近はアウトドアブームだそうで、あちこちでキャンプ用品や山道具をみかけるようになりました。
 これらのアイテムは、災害時にもとても役に立つものなので、ぜひ道具類の使い方を覚えておいて欲しいなと思います。
 防災の視点で見ると使い終わったこれらのアイテムをそのまま収納するのでは無く、すぐに使えるように整備してから目につくところに置いておいてほしいのですが、かさばるものですからどうしても押し入れや倉庫に収納されてしまいがちです。
 あと、電池や燃料といった消耗品も、使い終わって整備をするときに補充しておくといいと思います。
 また、せっかくのアウトドアですから、何か一つだけ代用品を考えてみると面白さが増すかもしれません。
 例えば、ランタンを使わないでどうやって照明を作るかやコンロを使わずにごはんを炊く方法など、ちょっとだけサバイバルの要素を取り入れてみると、災害時にも慌てなくて済みますよ。
 アウトドア用品はほとんど防災用品と重なるものです。防災用品を買ってしまい込んでいるのであれば、アウトドア用品として遊びでどんどん使ってみてほしいと思います。
 アイテム類は馴れていないと使えませんし、使えないアイテムは存在しないのと同じです。防災用品もアウトドア用品もいろいろなアイテムがありますから、いろいろと試してみて、自分が被災してもキャンプの延長線と思えるくらいになっておけたらいいなと思います。

判断をするのは誰?

 そろそろ梅雨入りしそうですが、あなたは大雨に備えた準備はできていますか。
 あなたがいる場所の危険性の有無や避難先と避難経路の確認、非常用持ち出し袋の設定、避難先での情報確認や待機の仕方など、準備にもいろいろとあるのですが、もし避難が必要な場所にお住まいなら、一つだけ決めておいて欲しいことがあります。
 それは、「避難開始の判断は自分でする」ということです。
 行政が避難情報を出そうが出すまいが、自分の命は自分で守らなければなりません。
 そのためには、事前に何がどうなったら自分は避難を開始する、ということを決めておきましょう。
 例えば、線上降水帯が頭上で発生したら、とか、家の前の水路から水が噴くようになったらとか、自分にとって危険を感じたときを避難開始の判断にしておくのです。
 そうすることで、もしもその状況になったら何も考えずに避難を開始することができます。
 避難をするかどうか迷っている間にも、時間はどんどん経過していって、避難しようと思った時には避難できない状況になっていることもよくあります。
 避難の判断はあくまでも自分がすること。そして、その条件を満たしたなら、悩まずにすぐに避難行動に移ること。
 あなたの命を守るのはあなたしかいません。
 そのために、さまざまな備えをしていってほしいと思います。

被災したら、後片付けを始める前に

悲哀判定
被災状況判定は人力なので、かなり時間がかかります。

 さまざまな災害で被災すると、できるだけ早く日常生活を復旧する必要がありますので、可能な限り早く片付けを始めようと考えるものです。
 ただ、その前にやっておいて欲しい事が一つあります。
 それは、被災状況の写真をしっかりと撮っておくということです。
 被災した家屋やその他被災したあらゆるものを写真に撮影しておいてください。
 それも、いろいろな角度から撮っておくこと。そして、巻き尺など数値のわかるものや比較対象となるものを一緒に撮しておくことです。
 これらの被災写真は、被災後に必要となる罹災証明書の作成に非常に役に立ちます。被災地域によっては、写真があれば現地調査不要で罹災証明書が発行される事もあり、いろいろな角度からの写真があれば、現地調査の代わりをしてくれるのです。
 基本的に罹災証明書の発行は現地調査の後でされるのですが、人がやる都合上、どうしても時間がかかります。
 そのため、必要なときに罹災証明書が手元に無いという事態も考えられます。
 また、家財保険や火災保険の災害特約などを請求する場合にも、写真がしっかりと撮られていればそれだけで手続きが開始できる場合があり、迅速な保険金の支払いにも繋げることができます。
 近くや遠くや角度を変えてなど、写真を撮る手間はありますが、最近ではデジタルなので場所も現像代もかかりませんから、こんなものまでといった感じの写真まで撮っておくといいと思います。
 被災したときの写真は、あなたの復旧の手助けをしてくれます。可能な限りたくさんの写真を撮って、それから復旧作業にかかるようにしてくださいね。
 余談ですが、罹災証明書の申請手続きや保険請求の手続きは難しくありません。書類の作成については、行政や保険会社に確認すればきちんと教えてくれます。
 せっかくの保険金や見舞金が奪われてしまうこともありますので、間違っても飛び込みの代行業者などに任せないようにしてください。

やさしい日本語を使えますか?

 災害に関する用語は結構難しい言葉が多くて、表現としては正しい事を言っているのですが、意味が伝わらなくて結局よくわからないといった事態になっていることが多いです。
 きちんと情報が伝わらなければ正しい判断や行動ができませんから、なるべくわかりやすいような言い回しをするのですが、そうすると今度は「その表現では正しくない」というご意見を頂戴したりします。
 ただ、災害時には「正しい表現」であることよりも、「現在の状況」が理解してもらえることの方がずっとずっと大切だと思っています。
 そのために上手な言い換えを日々試行錯誤しているのですが、とりあえず誰にでも理解できそうな言い回しとして「やさしい日本語」というのがあります。
 元々は日本に在留している日本語が充分には使えない人に対して情報を伝えるための言い換えなのですが、日本語が充分に使えない人に情報が伝わると言うことは、日本語が使える人にも意味は通じるはずです。
 情報はきちんと伝わって初めてその効果を発揮します。
 さまざまな言い換えがありますが、正確で無くても、それが何を伝えたいのかが理解できるように、お暇な時間にでも難しい言い回しをやさしく伝える「やさしい日本語」の言い換え練習をしてみると、いざというとき、役に立つかもしれません。
 少なくとも、避難所を運営する人やさまざまな災害復旧ボランティアをしようと考えている人は、この技術を身につけておくといいと思いますよ。

在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン(文化庁のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】活動見本市に出展しました

イベント開始前のブースの様子。本番中は必死で写真が撮れませんでした。

 2022年5月27日に浜田市のいわみーるで開催された”人生100年時代”生きがいやりがい活動見本市に出展しました。
 意欲のある高齢者の方が学習しているくにびき学園西部校の主催で、石見地方で活動しているさまざまな団体の活動内容について受講生や卒業生の方などにお話をするという企画でした。
 当日は総勢19名の方にお話を聞いていただく事ができ、短い時間でしたが災害ボランティアについてのお話をしました。
 災害ボランティアはやろうという気持ちのある方には必ずなにがしかの仕事はあります。自分ができる事を見つけて上手にそれをボランティアセンターに伝える事で、ボランティアセンターに来るさまざまな仕事を手伝う事ができます。
 自分の強みを見つけて、ボランティアだけでなく日々の生活にも活かしてもらえるといいなと思いながら行事を終えました。
 時間管理がうまくいかなくてお話が最後までいかないこともありましたが、こういった機会に見ず知らずの人に当研究所の活動を知ってもらう事も大切なのかなと思っています。
 お声がけいただきました島根県社会福祉協議会石見支所の担当様、そして当日お話を聞いてくれた参加者の皆様にお礼申し上げます。

【活動報告】第1回高津小学校防災クラブを開催しました

去年よりも人数が増えてかなり賑やか

去る5月25日に益田市立高津小学校で令和4年度の第1回防災クラブを開催しました。
今年度は約20名の児童と一緒に防災について学習していきます。
今回は、手始めに地震について一緒に考えてみました。
普段の授業でやっている学習が反映しているのか、いろいろな意見を出してくれて非常に面白かったです。
地震のときには机の下に入るという子ども達に、なぜ入るのかを聞いたところ、「頭を守るため」という答えが返ってきて、きちんと考えて行動しているのだなと頼もしく感じました。


最後には、台車に学習机を載せたぐらぐらくん1号で実際に横揺れの中でどうやって机を支えるかという体験をしてみてもらいました。
これから1年間、一緒に活動をしていくわけですが、いざというとき、少しでも一緒に学習する子ども達が自分で判断し、自分で自分の命を守る事ができるようになってほしいと思っています。
参加してくれた子ども達、担当の先生、そして支援に入ってくれた当研究所の会員の方に、厚くお礼申し上げます。

判断力を養う

 災害が発生したときに学校や学童クラブなどにいたときには、「子ども達は先生の指示に従いなさい」という教育をされています。
 これは子ども達よりも大人である教員などの方が正しい判断ができるということなのでしょうが、それは本当でしょうか。
 通常時はそれで問題ないと思うのですが、災害発生時には、とっさの判断と迷わない行動が必要になります。
 この判断や行動はそれまでその人がどうやって生きてきたかという人生に直結する話なので、自分で決めたことがない人にとっては判断も行動もできないということになります。
 ましてや、責任問題がついて回ることを考えると、どれくらいの大人が正しい判断をすることができるでしょうか。
 普段から行動基準を決めているのであればそれに従えば良いのですが、学校長や教頭、主幹教諭などの指示を受ければいいと考えている人では、まともに動くことすらできないでしょう。
 逆に、普段から防災教育を真面目に取り組んでいる子ども達の方が正しい判断ができると確信しています。
 判断と行動ができない人が指揮を執るとどうなるかは、東日本大震災のとある小学校の悲劇を考えればわかると思います。子どもも大人も関係ありません。普段から災害時にはどんな行動をすればいいのかを一緒に考え、話しておけば、いざというときにそれぞれが安全確保の行動をとることができます。
 もしあなたに子どもがいるのであれば、「いざというときには先生のいうことを聞くんだよ」ではなく、「いざというときには自分が安全だと思う行動を取るんだよ」と教えて下さい。
 自分の命を守るのは自分しかありません。
 過剰に大人に判断を任せるのではなく、子ども達も一人の人として自分の命を守る行動が取れるように、普段から意識するようにしてください。

自分の行動を記録してみる

 非常用持ち出し袋を準備するときによく聞かれるのが、「何をどれくらい用意すればいいのか?」ということです。
 それに対してで筆者はいつも「あなたは一日に水をどれくらい飲んでますか? トイレ、何回行ってますか?」と聞き返すようにしています。
 非常用持ち出し袋の水や食料、簡易トイレといったアイテムは、どれくらい準備すれば良いのかが人によってかなり変わってきます。
 よくトイレに行く人は簡易トイレの数も増えますし、逆は減ります。また、どれくらいの水分を摂っているかは意識していないとわからない話です。
 そのため、自分にあった非常用持ち出し袋を作るときには、まず自分の一日の行動を記録してみることをお勧めしています。
 記録してみると、案外水分を摂っていたり、思ったよりもトイレに行っている回数が多かったり、意外な発見が出てくると思います。
 そういったご自身の情報を基準にして、非常用持ち出し袋の中身を準備するようにすると、いざというときに必要なものが最低限は揃っている安心した状態が維持できます。
 さまざまなアイテム類を行政などの指示通りに準備すれはとりあえずは安心なのですが、重たいし嵩も大きいです。できるだけコンパクトにするためにも、ご自身の行動記録をまとめてみてはどうでしょうか。

梅雨時期の大雨情報

天気が読みにくい日が続いていますが、2022年6月1日から気象庁が線上降水帯予想を発表することにしたそうです。
線上降水帯は大雨をもたらす雲が次々に沸き、気象衛星の写真などではまるで線に見えることからこの名前がついています。
ここ最近の大雨は、これが原因で起きているものがかなりあるようなので、事前にこういった情報が出されることは安全な避難を考えたときに大きな武器になると思います。
ですが、今回はとりあえず半日前程度で「中国地方西側」といったざっくりとしたエリアについて予想を出してみるとのこと。
最終的には都道府県単位を目指しているようですが、元々どこにできるかわからないものを予測するのですから、それだけでもすごいことだと思っています。
線上降水帯ができると、できた部分では確実に大雨が降ります。この予想が出たら、こまめに気象情報をチェックして、雨雲レーダーなどで線上降水帯の気配が出たら、危険な場所に住んでいる人は避難の準備をするようにしてください。
ちなみに、避難情報を発表している地方自治体も私たちも、手に入る情報に差違はありません。その情報が出たらどうするかを決めてあるかないかだけの違いなので、気象庁の情報や都道府県等の土砂災害警戒情報を見ていると、避難情報が出そうかどうかの予測も可能です。
情報を上手に使って、安全に避難できるように準備して下さいね。

線状降水帯予測の開始について(気象庁の報道発表資料のウェブサイトへ移動します)

顕著な大雨に関する気象情報(気象庁のウェブサイトへ移動します)

【お知らせ】災害時外国人サポーター養成研修(西部会場)が開催されます

 令和4年6月5日に鹿足郡吉賀町で令和4年度災害時外国人サポーター養成研修が開催されます。
 これは災害時に日本語を充分に理解できない在日外国人の人をサポートする人を養成する講座で、毎年開催されています。
 去年はオンライン開催だったのですが、今年は時期を早めて、会場で実施されるようです。
 ここでは難しい行政用語をいかにわかりやすい日本語に翻訳してお知らせするかということと、実際に派遣されたことを想定しての実践訓練もあります。
 今年は避難所設営訓練もあるようですので、興味のある方は是非ご参加下さい。
 募集方法や締め切り日などの詳しいことは、以下のリンクからご確認下さい。

https://www.sic-info.org/event/post-22193/(しまね国際化センターのウェブサイトへ移動します)