【活動報告】戸田小テラコヤ海風遊舎様のイベントに協力しました

 2023年3月29日に益田市の戸田小学校において、戸田小テラコヤ海風遊舎様のイベント「防災かくれんぼ」が開催され、その中の防災パートの講師をしました。
 防災かくれんぼは日本かくれんぼ協会様が開催される防災とかくれんぼを一緒にしたもので、地震や水害での避難行動をかくれんぼしながら学べるという非常に面白いイベントでした。
 当日は当研究所が戸田小学校のある小野地区全体の被害想定をざっくりと話した後、地震では落下物から頭を守るためにかごや座布団で頭を隠しながらのかくれんぼ、水害では水中の見えない危険なものを探るソナー棒を使い、3人一組をひもで縛ってのかくれんぼを行いました。
 防災学習というとかなり堅苦しいものが多いのですが、今回のイベントのように遊びながら避難行動を身に着けることができれば、いざというときにも思い出して行動してもらえるのかなと思います。
 参加してくれた子からは「かくれんぼで隠れる場所を探すという行動と安全な場所を見つけながら避難する行動が同じだということがわかった」といった感想が出てきて、防災かくれんぼは非常に有効なのではないかと感じました。
 こういった視点で災害対策の行動が学べるというのは面白いなと思いましたので、興味のある方や内容の詳細については日本かくれんぼ協会様にぜひお問い合わせいただければと思います。
 今回お声がけいただきましたことに感謝します。

日本かくれんぼ協会(日本かくれんぼ協会のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】「やってみよう防災キャンプ・春の巻」を開催しました

 2023年3月25日から26日にかけて、益田市の北仙道公民館で「やってみよう防災キャンプ・春の巻」を開催しました。
 当日は15名の子にご参加いただき、段ボールシェルターづくりや心肺蘇生法、ポリ袋炊飯、暗闇体験などを体験してもらいました。

搬送法の一コマ。担架で安全な場所まで搬送する練習をする。

 今後の予定は未定ですが、次回もしやるとしたら、もっと内容を練り込んで、、リピーターも初めての人も楽しみながら防災を学んでもらえるような企画をしていきたいと思っています。
 今回参加してくれた皆様、参加を許可してくださった保護者の方、会場を快くお貸しいただきました北仙道公民館の皆様、そしてさまざまな形でこのイベントを支えてくださった皆様に心から感謝します。
 ありがとうございました。

避難の手段を考える

 避難の時には徒歩でといわれていますが、起きる災害と時期、そして場所によっては、避難の手段が変わる場合があります。
 例えば、歩いて行ける範囲に避難所がない場合には、何らかの交通手段を使用しなければそもそも避難をすることができない場合があります。
 山間部の小集落などの場合には集落そのものが危険な場合がありますが、他の場所へ避難しようとすると自家用車などを使わなければどうにもなりません。
 逆に都会地になると自家用車は使えません。徒歩でなければそもそも交通渋滞に巻き込まれて移動ができない状態になっているでしょう。
 また、来るのが予測できる台風や大雨の場合には、あらかじめ被害の出そうな時間が予測できますから、それまでに避難を完了すればよいことになります。交通機関などが通常通りに動いている状態のときに避難を行うのであれば、あらゆる手段を使うことができます。
 でも、地震のように突然発生する災害については、道路の被害や信号機の停止などによる渋滞が予測されますから、自由の利く徒歩での避難が推奨されるのです。
 いつ被害が起きるのかがある程度予測できる災害の場合には、早めの避難をするのなら悩まなくて済みますし、ぎりぎりになって避難しようとすると、避難に使うための選択肢はほぼ徒歩一択になります。
 可能であるなら、避難の手段がたくさんあるうちに避難行動を開始、完了するように避難の手段や計画を立てておきたいですね。

備蓄の種類

 災害時に備えるべきアイテム類は3日から1週間程度準備して備蓄しておくように国からは情報発信がされています。人によってはひと月程度準備しろと言っている方もいるようですが、都会地や消費地で生活している人の場合には、支援物資がどれくらいで届くのかまったく予測ができないので、国が言っているよりは長めに準備しておいた方がいいのかなとも考えます。
 ただ、どんなに少ない量でも1週間分のアイテムをリュックサックに詰めるのはかなり至難の業で、非常用持ち出し袋が嫌がられるのには物理的に無理だという誤解や錯覚があるのかもしれないと思うこともよくあります。
 もともと、備蓄には三種類あると筆者は考えています。
 一つ目は普段から持ち歩く防災ポーチ。本当の緊急時に自分の命をつなぐために必要な最低限のものが入っています。
 二つ目は、大雨や台風時などに1泊から2泊程度の生活必需品を詰めて避難に使う非常用持ち出し袋。
 最後は文字通りの備蓄で、5日から1週間程度家や倉庫などに保存してある状態の生活必需品となります。
 家に備えておく備蓄については、普段生活に使っているさまざまなアイテム類を少し多めに準備しておけば大丈夫です。特に食事と水に関しては普段使いである程度保存がきくようなものを重視して買い物をするようにしておけば、そんなに難しい話ではないと思います。
 住んでいる環境によって備えるべきものがかなり異なるので、家に置く備蓄品については各個人や家庭でそれぞれ備えるべきものを準備しておくようにしてください。
 避難に使う非常用持ち出し袋については、車などをお持ちの場合には、家と車の中の両方に準備しておけばかなり安心です。
 その際、車の中はかなり温度差が激しい空間ですので、クーラーボックスなど温度変化を緩やかにしてくれるような容器にいれておくといいと思います。
 そして、普段使いのカバンなどには、防災ポーチを入れておいてください。
 防災ポーチと飲料水が確保されていれば、一日程度は生命の維持が可能になります。
 一口に備蓄しろと言ってもさまざまな形がありますので、それぞれの目的に応じた準備をしておくことをお勧めします。

地震に備える

 日本ではさまざまな災害が起きますが、その中でも地震は起きた時には勝負がついているためにどれくらい事前にしっかりと準備をしておくのかが大切になります。
 地震への備えとして、一番大切なのは何かの下敷きにならないことです。
 地震の揺れでも、揺れだけで死んでしまう人はほとんどいないと思いますが、揺れによって生じる建物の倒壊や家具などの転倒では、怪我をする人がでてきます。
 つまり、何かの下敷きにならないように対処しておけば、とりあえず命を守ることはできるはずです。
 例えば住んでいたり出かけていく先がきちんと耐震化されていることで、建物の下敷きになる可能性を下げることができます。
 また、家具や電化製品の配置を考えたり、寝室から撤去することで、それらの下敷きになることを防ぐことができます。
 机などの遮蔽物の下に身を隠すのもいいとは思いますが、まずは落下物になりそうなものを撤去することでより安全が確保できます。
 いつどんなときに起きるのかがわからない以上、どこにいても下敷きにならないように気を付けておくことが大切だと思います。

目的と手段

 どんなことであれ、「目的」を達成する、そのための方法として「手段」が存在しています。
 ただ、どうしたものか、よくこの目的と手段がひっくり返ってしまうことがあるので注意が必要です。
 防災関係でいえば、最終的な目的は「自分の命が安全に確保できること」で、そのために自主防災組織やその他のさまざまな支援の形が存在しています。
 ところが、例えば自主防災組織を作ることが「目的」になってしまって、組織を作るための手段が模索されているという不思議な事態が日本のあちこちで起きています。
 自分の命が安全に確保されるのであれば、自主防災組織がなくても問題はないはずなのですが、なぜか「自主防災組織がなければ自分の命が守れない」として、無理やりに組織化しようとしているケースをあちこちで見ることができます。
 こうなってしまうと、組織化が目的なので、組織ができると目的達成となり、その後放置になってしまっているのものも、筆者の知る範囲では非常に多くみられます。
 防災に関して言えば、「自分の命を安全に確保すること」が目的で、その手段として、例えば自主防災組織があったり、地区防災計画があったり、マイタイムラインを作ったりするのです。
 そこをしっかりと理解したうえで、目的と手段を間違えないように対策を考えていきたいものです。

防災計画は現実的ですか

 東日本大震災における大川小学校の損害賠償請求事件では原告が全面勝訴しています。このことは割と有名な話なのですが、この中で裁判所が「事前防災の予見と不備」を大きな理由にしていることはご存じですか。
 人が集まっている学校などでは、想定されうる災害についてきちんと精査し、条件変更のたびに防災計画をきちんと見直すことが必須とされています。
 詳細は裁判所の判例をご確認いただきたいのですが、筆者の解釈では、この判例の前提にあるものは、学校に限らず、人が集まる施設では起こりうる災害とその対策についてしっかりと精査したうえで可能な限り犠牲者を出さないための対策を行う必要があるということなのではないかと思っています。
 学校や病院、介護施設、保育所やこども園などでは、ほとんどの場合防災計画が作られていると思います。ただ、それはきちんとそれらがある場所の状況を反映し、的確に安全確保ができるものになっているでしょうか。
 特に介護施設などでは、筆者の知る限りでは防災計画のひな型を適当に手直ししたものが備え付けられていることが多いですし、見直しや改訂もまったくされていないものもよくあります。
 法律上は防災計画が立てられていて計画書が備え付けられているので問題がないと判断されるのですが、それで安全がきちんと確保されているでしょうか。
 防災計画を一から作れというのは結構ハードルが高いと思うのですが、これらの施設に義務付けられている避難訓練の状況や結果を防災計画書に反映させることはできると思います。
 もしあなたが防災担当をしているのであれば、今からでも遅くはありません。
 自分の担当している防災計画書を見直し、地域の災害リスクや要件をきちんと満たせているか、そして実際に安全確実にできるような計画になっているかを確認し、しっかりとした安全を確保してください。
 余談ですが、介護施設は特に地域の中では危険な場所に建てられていることが多いです。立地からすでにリスクがあるのですから、しっかりとした対策を作って実行できるかどうかを確認することをお勧めしておきます。

大川小学校津波訴訟判例文(裁判所のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】青原小学校の避難訓練を見学しました

机の下に避難するときには足をしっかりと持つ。基本的な行動ができているのがすごいです。

 去る2月22日に津和野町立青原小学校で行われた避難訓練の見学をしました。
 当日は地震からの避難ということで、地震時の身の守り方から校庭への避難までを実際にやってみました。
 こういった訓練では、避難開始から避難完了までの想定で行われることが多いのですが、実際には避難完了後からが長い時間となりますので、その時間を安全に過ごすための対策もしておいた方がいいなと、避難訓練後の状態を見るたびに思います。
 先生方は一生懸命に取り組んではおられますが、やはり専門家ではないのでどうしても視点が学校や研修会などで教えられたものになってしまいます。
 そのため、訓練でどのような視点を持つのがよいのかや必要な対応方法などを専門家が助言できる環境ができるとよいなと思っており、当研究所もできる範囲で各学校に協力できればと考えています。
 このたび見学の機会をいただきました青原小学校の皆様にお礼申し上げます。

地震の強さと時間の関係

 地震の強さと揺れている時間は割と比例しているようです。
 気象庁のウェブサイトによれば、「日本付近で発生する地震による強い揺れは、マグニチュード7クラスの地震であれば約10秒間、マグニチュード8クラスの地震であれば約1分間、マグニチュード9クラスの地震であれば約3分間継続します。」とあり、強い地震ほど長く揺れる傾向があるようです。
また、マグニチュード自体は小さくても、震源が複数になると長くなる傾向があります。
 例えば千葉県によると、関東大震災はマグニチュード7クラスの地震が3回立て続けに起こったとされており、5分程度揺れていたようです。
 揺れる力が強いか、揺れる時間が長くなれば被害は大きくなりますが、実際にいつどんな地震が起きるのかは、起きてみないとわからないというのが困りものです。
 世界的に大きな地震が毎日のように起きていますが、地震の揺れが長いときには、とりあえず大きな被害が出そうだなという意識でいれば間違いなさそうです。
 ちなみに、マグニチュードの数字が一つ大きくなると、その力は約32倍に増えます。単純に乗数で増えていくので、例えばマグニチュード1と3では、数字が2つ大きくなるので32×32=1024となり、力の強さは約1,000倍大きいことになりますので、マグニチュード7や8では大きな被害が出るというのはイメージしやすいのではないでしょうか。
 ともあれ、揺れている間の時間は体感的には短い時間でも非常に長く感じるものです。大きな揺れが収まったら、とりあえず安全確保、それから情報収集をするようにしてください。

気象庁:震度・マグニチュード・地震情報について(気象庁のウェブサイトへ移動します)

関東大震災(関東地震)(千葉県のウェブサイトへ移動します)

消火器は備えていますか

 災害時に限らず、日常生活でも火事を誘発するようなちょっとしたミスをすることがあります。
 実際、どのタイミングでどんな場所から出火するかはわかりません。
 消火用水バケツを用意している人もいるとは思いますが、てんぷら油などの油火災や漏電、ショートによる電気火災では水での消火は厳禁です。
 消化能力やさまざまな火災に対応しているところを考えても、消火器は必須のアイテムだと思っています。
 書いている筆者自身も、ある時立て続けにボヤを出し、スプレー缶タイプの携帯消火器がなかったら、家が丸焼けになっていたかもしれないという事態になったことがあります。
 消火器は粉末式でなくても構いません。スプレー缶の炭酸ガス式のものでも初動であればしっかりと消せます。
 気を付けるのは、できる限り普段火を使う場所に近いところに置くことと、冷静になることです。
 そして、火が見えなくなってもスプレー缶からガスが出なくなるまでは徹底的に火元に吹き付けること。
 どうせ中途半端に残っても使い道に困るので、完全に無くなるまで吹き付けてやりましょう。
 本式の消火器は少々火が強くてもしっかりと消すことができます。
 スプレー式の簡易消火器と、しっかりと消せる消火器。
 それぞれに準備して、いざというときに備えておきたいですね。